ーー対談をする前に、角さんの本(『引き寄せの法則を全部やったら、効きすぎて人生バグりかけた話』)をZ李さんがXアカウントで紹介されていましたね。
角 予想外だったので、すごく驚きました(笑)。
Z李 俺もこの分野は多少かじっているので、楽しく読ませていただきました。8万部のベストセラーとなんて、すごいですね。
角 ありがとうございます。そうなんですか? Z李さんって、公営ギャンブルや裏社会の情報を発信してる人というイメージが強かったので、驚きました。
Z李 そんなこともないですけどね。いや、そうかもしれないっすね。
角 でも保護猫やったり、炊き出しなどで「徳積み」もちゃんとしてるじゃないですか。実は、引き寄せの法則とギャンブルって相性いいのかなと思ってて。
Z李 俺の周りは引き寄せとかスピ好きな人間、めちゃくちゃ多いんですよ。特にギャンブルとトレードやってるヤツに多い。
角 やっぱり「見えちゃう系」の人が多いんですか。
Z李 そうそう。知り合いにもLSDとDMTにハマって、未来予知できるとか言い出したヤツがいて。そいつはペルー行ってアヤワスカ(※)やりまくって、「シャーマンの資格取った」って帰ってきたんですよ。絶対、公的資格じゃないですけど。
「脳の蛇口」を閉じないと、スピリチュアルは危険な代物になる
Z李 彼はトレーダーなんだけど、「チャートの右側が見える」って言ってますね。未来が見えるっていうか、「これで合ってる」って確信が持てる感覚。もちろん普通に負けるときもあるんですけど。一回、松果体の「蛇口」を壊すと戻りづらくなるんすよ。角 蛇口(笑)。
Z李 ”脳の蛇口”ね。紙だのキノコだので一気に開いちゃうと、シャーマンみたいなプロが閉めてくれないと、フワフワしたまま日常に戻っちゃう。
角 そう、ちゃんと「閉める」までが儀式なんですよね。
Z李 それがわかってないとマジで危ない。アヤワスカやって「もうわかった」と言って儀式の途中で帰っちゃった知り合いがいたんですよ。蛇口開けっぱなしのまま。
角 うわ、そのパターンは嫌な予感しかしないですね。
Z李 自宅に戻ってからも、「あの体験は何だったんだ」って追いかけたくて、現地の売人からシャブやLSD買ったりしてるうちに、最終的にビルから飛んじゃった。
角 スピリチュアル界隈だと「開く」話ばっかりで、「どうやって閉めるか」は誰も教えてくれないですからね。非日常的な感覚で舞い上がって、そのあと人生ぐちゃぐちゃになる人は普通にいます。でも一方で、アヤワスカなどで“確信”を得て、人生ハイパーモードに入る人もいるわけですよね。
Z李 そう。だから「完全なオカルト」とも「完全な作り話」とも言い切れない。どっちも混ざってる感じ。そういうのが、「引き寄せ」って言われれば、まあそうなのかなとは思いますね。
「何度財布を落としても戻ってきた」Z李氏の超神秘体験
ーースピリチャルとギャンブルの話に戻ると、Z李さんはゲン担ぎで数字を決めることはあったりしますか?Z李 俺はゲン担ぎとかほとんどしないんですよ。賭け事で数字迷ったときに、4と1で悩んだら「まあ1にしとくか」くらい。それも別に神様に聞いてるわけじゃなくて、ただの決め方。スピリチュアルでベット方向を決めることはほぼないっすね。
角 意外とドライなんですね。Z李さんから見て、運がいい人の共通点とはなんですか?
Z李 一言で言ったら「波が小さい」。ずっと右肩上がりとかじゃなくて、デカい上下があまりない。いいときも悪いときも振れ幅が小さくて、変な底抜けを起こさない。周りのギャンブラーを見ていると、そういうヤツはずっと生き残ってますね。
角 分かりやすい「大当たり」とかじゃなくて、致命傷を食らわない人でしょうか。
Z李 そう。俺も自分で「運はいいほうだな」と思ってて。10代から20歳くらいの頃なんて財布落とすと、二日以内に落とした時よりも金が入ってる財布を拾うっていう、意味わかんないイベントが3回くらいあった。
一番上に絶対的な最高神がいて、キリストやブッダや系列他社みたいな感じ
ーーそれはだいぶバグっていますね。Z李 駅とかトイレとかにポンと置かれてて、「あ、財布だ」って開けると、自分が落としたときより札束が厚い。そのつど交番に届けてたけど、さすがに3回続くと「これ守護天使的な何かいんのかな」とは思うようになるよね。何か「戻ってこよう」というお金の意思みたいなものを感じたし。だから俺の中では「まあ大丈夫だろうな」っていう感覚がずっとあるんですよ。
角 では、守護天使などを信じてるタイプなんですね。
Z李 神様は信じてないけど、「絶対的な何か」はいると思ってる。ピラミッドの頂点に創造主みたいなのがいて、そこから下に宗教なり神様なり教祖なりがいっぱいぶら下がってるイメージ。キリストだのマホメットだのブッダだの、全部チャンネル違いの同じ系列会社みたいなもんで、一番上にはでっかい何かがいるんだろうな、くらい。
角 ふわっとした一番上の存在は認めつつ、現場の神様はあまり信用してない感じですね。
Z李 そうそう。だから特定の神社に人生預けるとかはしない。その代わり、「自分はそこそこ守られてるっぽい」という感覚は持ってる。
角 では「運は確実にある」とは思っているのですね。
Z李 うん。運の良し悪しは誰にでも絶対あるけど、どうにもならんぐらい運が悪い人間って、本当にいるんですよ。たとえば重罪でも不思議と警察の都合や刑事の匙加減で見逃されちゃうヤツもいれば、小さな罪でも助けの手が来ないヤツがいる。たとえば薬物で捕まったヤツで、科捜研が土日を挟んでたりたまたま混んでいたりして、尿の鑑定結果が起訴期限に間に合わなかったから不起訴になったケースもある。本当にいるんですよ、そういう種類の人間が。一方で、ちょっと調子崩しただけで事故ったり病気したり、弱り目にずっと祟られてるヤツがいる。
バカラで20連敗するほど運が悪い人間の共通点
ーー運気が悪い人とそうでない人の差とは何なんでしょうか?Z李 賭場だとそれが一番わかりやすい。バカラって勝率がほぼ2分の1で、20連敗とか30連敗とかは天文学的な数字なんですよ。
角 そんなに負け続ける人、現実にいるんですか。
Z李 いる。で、そういうヤツは分かりやすいんですよ。「それ絶対使っちゃいけない金だろ」っていう金を握りしめて、脂汗かいてテーブルに座ってるおじさんとかね。横から見てても「このおっさん、今日ここで人生決まるな」ってわかる。
角 それはもうオーラでわかる感じですか?
Z李 「今日勝たないとマジで終わる」みたいな雰囲気を背負ってますからね。清潔感あるイケメンでも「こいつ今日終わるな」と思うときはあるし、見た目じゃない。座り方とか、チップの置き方とか、呼吸の浅さとか、全体が「力んでる」。もう人間罫線(※編集部注:負け続けているため、他のプレイヤーから「逆指標」にされてしまう現象を表すギャンブル用語)ですよ。
角 その人を参考にすればみんな勝てる、というやつですね(笑)。
Z李 その運気悪そうなおじさんがチップ置くまで誰も動かないで世間話して繋いだりする。で、「来た来た」と思ったら、そのおじさんと逆にずっと張っていく。すると、勝率が体感で9割とかになっちゃうんですよ。50%のはずの勝負が、そいつの存在だけで90%に変わる。
角 怖い世界線の使い方してますね。
運が良い人は「力んでいない」
Z李 賭場の人間って運の流れに一番敏感なんですよ。だから、運が悪い人の特徴は何かと言われたら、「使っちゃいけない金を持ってきてる」「力みすぎてる」「絶対に負けられないという顔になってる」の三点セットかな。そういうやつはだいたい連敗する。角 逆に運がいい人は、そこまで力んでないですよね。
Z李 どっかで「まあここで負けてもいいや」って思える余裕がある。勝負事って、目的とか動機をちょっとずらすと、急にうまくいったりするんですよ。俺自身、仮想通貨のトレードとかでも「金増やしたい」モードでやってた頃より、「ちゃんとしたトレードを見せないと」モードになってからのほうが、明らかに調子がいいんです。
角 それは「運の使い方」を変えたとも言える話だと思います。
Z李 そうですね。BITGETという取引所でトレーダーのランキングが出るんですけど、今年はそこでも1位。俺のコピートレードしてるやつが1200人以上いて、中には子どもの顔をアイコンにしているヤツとかも多くて。
角 それ見ると、さすがに無茶できないですね(笑)。
Z李 そう。「こいつらの生活が、俺のクリック一発で変わるんだよな」って思うと、ハイレバでアホなトレードはしづらくなる。結果として、めちゃくちゃ調子いい。数字も勝手に増えるし、ランキングも上がるし、みんな喜ぶし。
角 優しい! 救世主だ(笑)。「求められてるアウトプットを安定供給する」に目的がすり替わると、ブレなくなるんですよね。
Z李 朝起きて歯磨きするみたいなもんです。「今日も予想出さなきゃ」「スクショくらいは当てておかなきゃ」っていう身だしなみ。金額の増減より、そっちを守るほうが大事になってくると、結果的に勝てますね。
(第二回に続く)
【Z李】
座右の銘は「給我一個機会、譲我再一次証明自己」。経歴不詳、表と裏の境界線上にいるインフルエンサー。X(旧Twitter)のフォロワー90万人超。週刊SPA!にて2021年より長編小説『飛鳥クリニックは今日も雨』を連載、2023年に書籍化。2025年にてドラマ化もされた(配信サイトLeminoにて視聴可能)。新著『君が面会に来たあとで』(幻冬舎)。
オカルト研究家。上智大学文学部を中退後、2013年にオカルト専門メディア「TOCANA」を立ち上げ、約8年間編集長を務める。自身のYouTubeチャンネル「角由紀子のヤバイ帝国」は登録者数30万人超。主な編集本に『見つけてください』(横澤丈二著/徳間書店)、著書に『引き寄せの法則を全部やったら、効きすぎて人生バグりかけた話』(扶桑社)など。
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