声優アイドルグループ・i☆Risメンバーで、ソロでも活躍する芹澤優が12月7日、Zepp DiverCity(TOKYO)にて「Yu Serizawa 31st Birthday Live ~Choose Me!~」を開催した。
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今年で31歳になった彼女のバースデー記念公演とあり、お祝いするべく多数のファンが駆けつけたことで2階席までほぼ満員の大盛況。
グループでの活動に加え、2016年に初のバースデーソロライブを開催して以来、ソロでこれだけの動員を毎年のように続けているのは、さすがのひとことだ。

コンセプトは“芹澤優総選挙”

今回は、声優、アイドル、ソロアーティストなど、さまざまな顔を持つ彼女が、それぞれ別の存在としてパフォーマンスを行い、ライブの最後に誰が一番人気なのかを決める“芹澤優総選挙”というコンセプト。

「芹澤優ちゃんに清き一票を!!」と叫び、トップバッターを飾ったのは“ソロアイドル”の芹澤優。1曲目の「最悪な日でもあなたが好き。」では、「あなたが好き」という歌詞に合わせて、「おれもー!!」と答える客席のボルテージは、開幕早々で最高潮に。

5曲目を歌い終わったタイミングで袖に引っ込み、バンドの演奏で場を繋いだあとは白を基調とした衣装に着替え、“声優”の芹澤優が登場。歌ったのは「恋愛裁判、開廷です!」とシャウトして「TRIal HEART ~恋の違反チケット~」(劇場版『プリパラ み~んなでかがやけ!キラリン☆スターライブ!』劇中歌)だ。

アップテンポな楽曲で、跳ねるようなベースラインや小刻みなギターのカッティングが心地良く、間奏明けのサビ前で一拍止まるブレイクのタイミングも完璧。

踊りながら何気ない顔で歌いあげる高い歌唱力

続く「COMETIC SILHOUETTE」(TVアニメ「キラッとプリ☆チャン」挿入歌)は、4つ打ちのダンスミュージック。ベース、ドラムの安定したリズムとギターのカッティング、キーボードの演奏が噛み合い、自然に体が動いてしまうパフォーマンスは、「宇宙だってダンスホール」という歌詞にぴったり。

さらに驚いたのは、間奏前の十数秒間の高音ロングトーンを、きれいなチェストボイスで歌いきったところ。ほかの曲でも、余裕で出る音程なのにあえて声量を抑えて裏声でささやくように歌い上げるシーンもあった。特に歌がうまいと喧伝されることもなく、踊りながら何気ない顔で歌いあげる高い歌唱力であることも見過ごせない。

i☆Risやソロを含め、何年もほぼ同じメンバーで一緒に演奏を重ねてきたバンドとの息もピッタリ。そのハイレベルな生演奏は、ファンでなくとも一聴の価値アリといえる出来だった。


8曲目の終わりでまた舞台袖にはけて、お着替えタイム。ここでは幕間に事前録音したラジオ風の音源「セリラジ」を流し、過去を振り返ったり、やってみたい役などのトークを展開。このライブは配信ナシでDVD化されることもないとのことで、会場に足を運んだファンだけが聞けた幻の音源となる。

素の自分としての「人間・芹澤優」

ここからはホットパンツにブーツの新衣装で登場した“ソロアーティスト”の芹澤優が、新曲の「TIMELESS POWER feat. MOTSU」から「UNGLE FIRE feat. MOTSU」、「YY Vivace」を立て続けに披露。

芹澤優、31歳バースデーライブの“芹澤優総選挙”で見せつけた多彩な引き出し
「Yu Serizawa 31st Birthday Live」
次に登場したのは、“i☆Risのメンバー”である芹澤優だった。「§Rainbow」では、なんと客席の扉から登場。コンサートホールやアリーナクラスの会場ではアイドルが客席を練り歩く演出をたびたびみかけるが、ライブハウスの客席降臨はなかなかにレアな機会。誇張無しのゼロ距離から芹澤成分を浴びたファンたちにとって、忘れられない体験となったのでは。

そして最後に登場したのは、“人間”芹澤優。声優、アイドル、ソロの次が思い浮かばず、苦肉の策で「人間」をひねり出したのでは…? ライブ鑑賞中に考えていたその疑問をライブ後に本人にぶつけたところ、「いや、自然に最初から思いついてました」とのこと。

なんでも、声優、アイドル、ソロ、i☆Risメンバーとしての自分はどれも本来の自分から遠く、素の自分を「人間・芹澤優」とくくることは、彼女にとって自然なことだったという。そして、このパートでは自分で作詞をした曲を歌ったのだ。

まだ31歳にして引き出しの多さ

新衣装のミントグリーンのドレスを身にまとい登場。
「今年は(この曲を他のライブで歌わずに)とっておいたの。大事なときに歌いたいから」と語り、「告白」を歌唱。

間奏明けのサビで泣きそうになり、少し声がかすれる場面もあった。さらに誕生日を祝う「Merry Birthday!」を歌唱して本編は終了。

芹澤優、31歳バースデーライブの“芹澤優総選挙”で見せつけた多彩な引き出し
「Yu Serizawa 31st Birthday Live」
アンコールでは、“芹澤総選挙”の1位が発表された。どの芹澤が選ばれるかによって、演奏する曲を変えるという練習量が必要なライブ構成だったが、夜公演では“声優”の芹澤優が選ばれ、「ヒロインズドラマ」(TVアニメ「キラッとプリ☆チャン」挿入歌)を演奏することに。

しかし、“i☆Risのメンバー”が1位だった場合にやるはずだった曲についてMCで言及があり、客席からの声援により、本当はやるはずではなかった曲を大サービスで追加することに。

「今年1年、この曲に支えられた。ひとりで歌うのは初めて」と語り、「HERO」を歌う。舞台上で歌う彼女だけでなく、客席のファンたちも一緒に歌詞の「ありがとう」を噛み締めていたはずだ。

ライブを通して改めて気づくのは、声優、アイドル、ソロのどれもで豊富な楽曲が溢れていること。声優の数が増え続け、競争が激化する業界において、人気のキャラソングを持つ人は決して多くはない。
さらにグループでは「ぴあアリーナMM」をソールドアウトさせ、ソロでもYouTubeで1000万再生突破の楽曲を持つ。まだ31歳にしてこの引き出しの多さ。今後のさらなる活躍に注目したい。

【芹澤 優】
1994年、東京都生まれ。2月25日には、『MFゴースト 3rd Season』オープニングテーマ「TIMELESS POWER feat. MOTSU」をリリース。「JUNGLE FIRE feat. MOTSU」「ROCK ME KISS ME feat. MOTSU」に続く、続投となる。i☆Risとしては来年春から「i☆Ris 11th Live Tour 2026」が開催決定

<取材・文/森ユースケ>
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