アイドルとして、日本だけでなく台湾でも熱狂的なファンがいた彼女ですが、なぜセクシー女優デビューしたのでしょうか?
「楽しそうなことをやる」そして「やることは自分で決める」、そうやって自分をプロデュースしてきた円井萌華さんの、根底にあるものは何なのでしょう。
中学受験のお金を両親に返すため子役デビュー
――まずは円井さんの経歴をお聞きします。子役として活動されていたというのは本当ですか?円井萌華(以下 円井):はい、子役を始めたのは小4くらいですね。
――幼少期から、芸能界に興味があったんでしょうか?
円井:きっかけはスカウトでした。正直言って、とくに芸能界に興味はなくて。スカウトされたのでやろうかな、と。
――興味がないのに始めた理由は?
円井:……お金がほしくて(笑)。
――いや、大事な理由ですよ(笑)。お小遣いがほしかった?
円井:実は中学受験を考えていて。でも塾代や学費は、親が払ってくれますよね。だから、のちのち少しでも返せればいいな、と考えたんです。
――それは親孝行な理由ですね。
円井:中学受験は自分が「したい」と言い出したので、親に世話になりっぱなしなのもな、と。
友達と一緒にデビューするはずが、なぜかソロアイドルに
円井:大学1、2年のときですね。
私もアイドルファンで、「楽しそうだな」と思ったので、デビューを決めました。
――……あれ、でもソロデビューですよね。誘ってくれた友達は?
円井:私のライブを見に来てましたね。どうも、私がアイドルしているところを見たかったみたいです(笑)。
――地下アイドルはグループのイメージがあるんですが、円井さんはソロなんですね。
円井:もともと、地下アイドルと言えばソロのほうが多かったんですよ。今はグループメインで、歌やダンスもバッチリな子たちが増えましたけど。
私は地下アイドルが流行しだした頃に始めたので、歌もダンスも「大丈夫なの?」って子もいて(笑)。それが微笑ましくて、応援しているファンも多い世界でしたね。
アイドルはフリーで活動
円井:ないですね。ダンスのフォーメーションが覚えられないので、グループは無理です(笑)。
……それと、私はやることは自分で決めたいんです。
――一人で活動することに不安はなかったんでしょうか?
円井:ほかの大人の手が加わると、楽しくなくなっちゃう気がしたんです。
それに、ファンとの距離の近さも変わります。フリーだからファンと近い位置で交流できるわけで、それができなくなるのはファンも望んでいないんじゃないか、と考えていました。
一度は就職したけれど、再びアイドルの道へ
――収入的には、どうだったんですか?アイドル活動だけで生活できていました?円井:はい、バイトなどはしないでも暮らせていました。メチャクチャ稼いでいたわけじゃないですけど、一般的なサラリーマンの平均年収よりは多めで。
――それはなかなかですね。
円井:ただ、大学卒業のタイミングで就職しました。最初はメガネ屋で販売員を、そのあと転職して、小さな会社ですがコピーライター的なお仕事をしていました。
――それは初めて知りました。
円井:一応、アイドル活動も続けていたんですよ。「就職するので、活動頻度は減ります」って告知して。
でも結局会社は辞めて、アイドル活動を本格的に再開して。その頃、台湾で路上ライブを始めました。
――なぜいきなり台湾に?
円井:台湾にも、思い付きで行ったんです。
誰かにオファーされたわけでもないのに勝手に台湾に行って、勝手に路上ライブして……そうしたら台湾のイベンターさんに見つけてもらって、イベントに出演させてもらえるようになりました。
――すごい行動力ですね。
円井:とにかくやりたいこと、思い付いたことを「楽しそう」と思ったら、行動にしちゃうタイプなんです。中学受験もそうですし、アイドル活動もそう。
「これをやるぞ!」と決意を持って始めるより、とりあえず「楽しそう」で始める感じで生きています(笑)。
某夢の国から「デビューします」といきなり電話
円井:けっこう、ノリみたいな感じで始めちゃいました(笑)。
――やっぱり。でも円井さんはもともと、デビュー前からセクシー女優さんのイベントにファンとして参加していたんですよね。
円井:はい。
――じゃあ、いつかは自分もデビューするかも、と?
円井:それは全然思っていなかったんですよ。デビューを決めたのは、本当に思い付きで。某夢の国で友達と遊んでいるときに、突発的に「デビューしよう!」って思って、その場で電話しました。
――本当に、思い付いたら即行動、なんですね。
円井:はい、だから動機を聞かれると、困っちゃうんですよ。本当に思い付きなので(笑)。
セクシー女優になって両親の反応は
――ご両親には話したんですか?円井:自分からは話していません。でも、少なくとも父親にはすぐバレましたね。父親がよく読んでいる週刊誌の袋とじに私がいて。表紙にも写真が(笑)。
父親から「頑張ってるねー」みたいな感じで、電話が来ました。
――いや、そこは気を付けましょうよ(笑)。
円井:たしかに(笑)。でも、たぶんバレても大丈夫だろうなって気持ちがあったんです。両親はかなり自由に育ててくれて、やりたいことを全部やらせてくれるタイプ。
とくに父親は性産業に偏見がない人で。セクシー女優に関しても「本人がやりたいなら、好きにさせよう。生きていければいい」って考えてくれているみたいです。
母親からもなにも言われてはいませんね。黙認してくれています。
――アイドル時代のファンの反応はどうでした?
円井:最初は「病んだ」って方もいたらしいんです。でも、私があまりにも楽しそうにセクシー女優をしているのを見て、途中から応援してくれるようになりました。
……アイドルとしては清純派でやっていたので、ショックを受ける方がいたのは仕方ないかな、と。
女優は引退しても業界にはいたい
円井:楽しく活動しているので、たぶん大丈夫かと(笑)。髪型も黒髪ロングの清楚系だったのを金髪ショートにイメチェンしたので、これまでと違う作品も撮っていきたいですし。
――ほかに頑張りたいことや、やってみたいことはありますか?
円井:毎月、トークイベント「エケチェン!まるもえワンダーランド」を開催しています。毎回セクシー女優さんをゲストに呼んでトークしているので、ぜひ来てもらいたいです。
やりたいことは……アイドルグループをプロデュースしたいですね!
――おお、いいですね。それまでの経験を生かせますし。
円井:あと、キャストが全員セクシー女優のコンカフェを作りたいです。キャバクラはもうあるけど、コンカフェでかわいい服を着て、もアリじゃないかなって。でも「人件費が高そう……」とか、いろいろ考えちゃって。
――リアルな悩み(笑)。でも、これだけやりたいことがあるなら、まだしばらく引退は心配しなくても良さそうですね。
円井:そうですね。もし女優としては引退するとしても、業界のどこかにはいると思います。私はこの業界、天職だと思っているので。これからも楽しく活動できるように頑張ります!
<取材・文/蒼樹リュウスケ、写真/杉原洋平>
【蒼樹リュウスケ】
単純に「本が好きだから」との理由で出版社に入社。雑誌制作をメインに仕事を続け、なんとなくフリーライターとして独立。「なんか面白ければ、それで良し」をモットーに、興味を持ったことを取材して記事にしながら人生を楽しむタイプのおじさんライター
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