E-girlsの活動を経て、現在は俳優として活躍している石井杏奈さん(27歳)。特に2025年は、主演ドラマ『私は整形美人』にはじまり、ドラマ『PJ ~航空救難団~』『小さい頃は、神様がいて』、Netflix映画『10DANCE』とジャンルも演じた役も多岐にわたっていました。

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 最新出演作は、スピッツの同名曲を原案に、福士蒼汰さんと福原遥さんが主演を務めるラブストーリー『楓』。スクリーンで公開中です。

 そんな石井さんに、2025年とこれまでの道のりを振り返ってもらいました。また、躍進を遂げる石井さんが、共演から年月が経つ今も、1年に1度は電話をするほど慕っている先輩俳優からもらった言葉や、芸能界に入る際に家族からかけられ、大切にしている言葉を聞きました。

全部の役を好きになれた1年間

——2025年は特にさまざまな役を演じて活躍しました。改めてどんな1年でしたか。

石井杏奈(以下、石井)
:今までやったことのないほど体を使う役がありましたし、確かに役の幅も広かったですね。役者人生の中ですごく充実していた年でした。自分とは真反対だと感じる役はあまりなく、全ての役を楽しみながら、全部の役を好きになれた1年間でした。

「別の道を選んでいたら…」と悩んだ過去も。石井杏奈(27)が明かす、先輩・寺尾聰からの“忘れられない言葉”
(C) 2025 映画『楓』製作委員会
——演じるにあたっては、どこか自分と似ている部分を見つけて役を広げていくことが多いですか?

石井
:そうですね。まったくのゼロから作るというより、たとえばあまり人に好かれない役だとしても、どこか共感したり、いいところがあると感じます。そうしたところを探して、いかに自分に近づけるか考えていくことが多いです。

「別の道を選んでいたら…」と考えることもあったが

「別の道を選んでいたら…」と悩んだ過去も。石井杏奈(27)が明かす、先輩・寺尾聰からの“忘れられない言葉”
石井杏奈さん
——芸能界に入られて15年ほど経ちました。傍から見るととても順風満帆に歩んでいるように映りますが、ご自身の中では悩んだことや大変だったこともありますか?

石井
:いっぱいあります。
振り返ると、中学生活よりも仕事をしていたなとか。みんなが高校を受験していたときの分岐点とか、ダンスを頑張っていたときとか。そうした分岐点では悩むこともありましたし、「別の道を選んでいたらどうなっていただろう?」と考えることもあります。

E-girlsで頑張っていたときも、その前は楽しくダンスをしていたけれど、仕事になったことで好きじゃなくなってしまった瞬間もありました。そのなかで「もっとこうなっていきたい」という夢が出てきて行動しました。今はダンスをしていてよかったと感じますし、振り返るたびに、今に繋がっていると感じています。どの分岐点も正解だった。自分の好きな人生を歩めているなと。悩んだことも間違っていたわけではないと思います。

先輩・寺尾聰とは今でも1年に1度は電話を

「別の道を選んでいたら…」と悩んだ過去も。石井杏奈(27)が明かす、先輩・寺尾聰からの“忘れられない言葉”
石井杏奈さん
——悩みながら進んでくるなかで、多くの人と出会ってきたと思います。これまでに影響を受けた先輩を、どなたかひとり教えてください。

石井
:寺尾聰さんと学園もの(2016年の日曜劇場『仰げば尊し』)でご一緒したとき、お話する機会がたくさんありました。寺尾さんも音楽をされていましたが、私にも「音楽はやり続けなさい」とお話してくださいました。
「俳優としてやっていくにも、音楽のリズム感を持っている人のお芝居は、佇まいも含めて、またちょっと違うんだよ。それが武器になる」と。そのことは忘れないようにしています。

——たくさんの生徒役の方がいたと思いますが、石井さん個人をきちんと見てアドバイスしてくださったんですね。

石井
:はい。それから、クランクインの日には生徒役のみんなを前に、「自分とみんなとは年齢も芸歴も違うけれど、そういったことはエンドロールに記載されない。みんなの名前が連なっているだけ。ここから、“よーい、ドン”だぞ」とお話されました。尊敬する先輩が、同じ土俵で対等に戦ってくださっているのを痛感して、そのマインドは絶対に一生忘れないようにしようと思いながらやっています。

——寺尾さんのことは、これまでにも幾人もの若い俳優さんから、影響を受けたとお話を聞いたことがあります。

石井
:寺尾さんは、「よーい、スタート」のギリギリまで、ひとりひとりのことを考えて、ずっとお話して、いろんなことを伝えてくれるんです。今でも年に1回くらい電話しています。


——そうなんですか!?

石井
:はい。そうしたときにも「杏奈の道は間違ってないよ。間違っているときは、すぐに言うから」と言ってくださって。本当に私の先生です。

大ファンだったスピッツの楽曲「楓」原案の映画に出演

——さて、最新出演作の映画『楓』は、スピッツの同名曲から生まれたラブストーリーですね。

石井
:スピッツさんのことは大好きで、「楓」もずっと自分のプレイリストに入っていました。それくらい好きだったので、その楽曲が原案になった映画が作られるとは!という衝撃と、そこに自分が出られるということで、本当にうれしい気持ちでした。

——もともと楽曲のファンという目線から、今回の物語を前にした印象を教えてください。

石井
:曲をより理解できました。こういう意味もあったかもしれないと。優しい嘘があったり、健気な愛があったり。深みのある物語だなと。「楓」の聴き方も変わり、すごく前向きに聴けるようになりました。


自身が演じた役は「応援したい」と思える女性

「別の道を選んでいたら…」と悩んだ過去も。石井杏奈(27)が明かす、先輩・寺尾聰からの“忘れられない言葉”
(C) 2025 映画『楓』製作委員会
——石井さんは、共感できる部分を探し出して役を深めていくとのことでした。今回演じた日和は、福士さん演じるカメラマン・涼への思いを秘めながらアシスタントを務めている、とても明るい女性でした。

石井
:私は日和が大好きです。不器用だけど、愛嬌があって、自分のやりたいことをまっすぐにできる。演じながら、毎回愛おしいなと感じていましたし、脚本を読んだときから、日和を応援したいと思いました。観てくださる方にも、そう思っていただけるような日和を目指しました。共感できるというより、応援したい、共感したいという気持ちが強かったです。

大事なのは「勝てるよ」ではなく「負けるな」の精神

——本編に「おもんぱかる(慮る)」という言葉が印象的に登場します。さきほど寺尾さんからの言葉もありましたが、石井さんが好きな言葉やフレーズがほかにもありましたら、最後に教えてください。

石井
:ずっと掲げてきたことで、特に今年は強く思っていたのが「負けるな」という言葉です。芸能界に入るときに、家族に言われたんです。この世界に入るうえで、「自分自身にも人にも負けるな」と。今年は体力的にきつい日が多かったのですが、そうなると精神にも影響してきます。
そんなときに、何度も「負けるな」と思っていました。

——芸能界に入るときにご家族から言われた言葉なんですね。

石井
:そのときはなんとなく「負けないよ。頑張るよ」と答えていた気がします。でもいまは改めて、「負けたくない」と強く思っています。勝ちたいということとは違うんですよね。「勝てるよ」ではなく「負けるな」と自分に向けることで、踏ん張る力になりましたし、これからもそう思っていたいです。

<取材・文・撮影/望月ふみ スタイリスト/道端亜未 ヘアメイク/八戸亜季子>

【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
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