ギャンブラー、インフルエンサーとして「運」の使い方を熟知したZ李と、スピリチュアルに精通するオカルト研究家・角由紀子。「運がいい人」と「運が悪い人」の違いが生々しく語られた第一回に続き、今回は「裏社会とスピリチュアル」について赤裸々に語り尽くした。
因果応報の正体から霊感商法の仕組みまでを大暴露!
【Z李×角由紀子】裏社会とスピリチュアルの“意外な関係性”。...の画像はこちら >>
ーー裏社会の人たちにとっても、「開運法」があったりするんでしょうか?

Z李 ありますよ。「悪いことしてる自覚」があるから、みんな結構運を気にしてます。ヤクザほど腕に数珠をジャラジャラ巻いて「波動」とか言い始めるし、神棚もちゃんと置いてる。「ゼロ磁場の神社がいい」とか言って、千葉と富山と奈良を線で結んだレイラインがどうとか、そういうのも大好き。

角 裏社会で人気のパワースポットって、やっぱりあるんですか。

Z李 名前は出せないけど、裏社会で共有されている「ここは効く」っていうスポットはたくさんある。出雲大社行きました、伊勢神宮行きました、将門の神社行きましたって、インスタに上げてる人間もいる。平清盛の遠縁の子孫を自称してるヤツなんだけどさ。

角 それは面白い人ですね(笑)。

Z李 そいつが出雲行って、伊勢行って、将門ゆかりの鎧神社まで行ってるから、「それ全部行くのはやばいよ」って言ったんですよ。出雲側と朝廷側と将門側、全部にいい顔するみたいなもんだから、「道真公と同じことしてるぞ、お前。祟られて死ぬぞ」ってテキトーに脅したら、マジで震え上がっちゃって。


角 その後、どうなったんですか。

Z李 「どうしたらいいですか」って聞いてくるから、「もう朝廷側にやられるから、とりあえず将門に謝っとけ」って言ったら、次の日には首塚行って、そのあとも将門由来の神社を三日くらいでコンプリートしてた。で、ちょっといいことあると「将門のおかげだ」って言う。

角 完全に操られてる(笑)。

悪いことしてる自覚があるからこそ、神社仏閣にハマる悪人も多い

Z李 スピってるヤツなんて、そんなもんですよ。彼の中では「将門神社を何か所も回った」というのがサンクコストになってる。で、何百万円もかけて買った数珠も「その数珠は敵対する側の石だ」とか言われると、「やっぱりそうだ」とか言って海に埋めに行ったりね。

角 もったいないですね(笑)。

Z李 そこで俺が「まさか東の海じゃないよね? 将門死んだの東だからね?」って追い討ちかけると、「どういうことですか」ってさらに食いついてくるから、「壇ノ浦の戦いで将門の流れがあるんだよ」とか、テキトーなことを言う。それも信じる。スピ依存って、そのくらい操りやすい状態なんですよ。

角 でも、そうやって神社やスピで、自分の罪を相殺しようとしてる裏社会の人、多いですよね。

Z李 めちゃくちゃ多い。
悪いことしてる自覚があるから、「神社行っとけばチャラになる」「高い石買っとけばバランス取れる」と思いたいんですよ。でも、許されるわけないじゃないですか。どれだけ数珠つけてもね。

角 それでも中には、悪いことしてても運が良さそうな人っていますよね。その違いについてはどう思われますか?

Z李 います。捕まらずに親分になるやつとかね。でも、そういうヤツってだいたい人徳がある。若い衆に無茶させても、どこかでちゃんと面倒見てたり、飯食わせたりするから、「あの人のためなら」と動いてくれる人間が多い。結局、人の心が分かるかどうかだと思いますよ。

スピよりも科学的に考えると「因果応報」の仕組みがわかる

ーー「人に恨まれるかどうか」が運の分かれ目なんですね。

Z李 そう。裏社会って因果応報が一番早い世界なんですよ。リーガルなモラルが通用しない分、「あいつ詐欺師だからやっちゃっていいでしょ」「あいつ悪いことしてるから金取ってもいいでしょ」ってなりやすい。
悪いことしてるヤツほど詐欺に引っかかったり、報復されたりしやすい。

角 逆引き寄せみたいなやつですね。

Z李 犯罪者視点で考えると、「どうせやるなら悪いヤツから取ったほうが心理的負担がない」。だから、狙われやすいんです。それが因果応報の正体で、「宇宙が裁いてる」というより、「人間がそう動くようにできてる」ってだけ。

角 それでも、助けが来やすい人はどんな人なんでしょうか?

Z李 シンプルに、普段からいいことしまくってる人かな。困ったときに「応援してくれる人」や「力貸してくれる人」が多いから、降ってくる雲の糸の本数が違うんですよ。同じくらいピンチになっても、1本しか糸が垂れてこない人と、10本垂れてくる人がいる。そこが運の差。

角 なるほど! 地味だけど、いちばん現実的な運の守り方だと思います。そこまで見えてると、「引き寄せ」というより「選別」ですね。

Z李 運の悪い方向に全力で突っ込んでるやつを避けてるだけですからね。


著名人御用達占い師のあざとすぎる「手口」

角 私のところにも「当たる占い師を紹介してほしい」とか、「一番効く引き寄せのやり方を教えてほしい」とか、よく来るんですよ。世間が求めてるのは、努力しなくてもラッキーになる方法とか、「今すぐお金が入る方法」なんですよね。

Z李 みんな大好きですよね、その手の話。で、そこにガッツリ乗っかってるのがスピリチュアルビジネス界隈。著名人からごっそり金取ってる先生、いっぱいいますよ。

角 やっぱりいるんですね。

Z李 客からしたら「すごい先生」「有名人御用達の先生」なんだけど、やってることはだいたい決まってる。まずは事前に個人情報を全部集めるんですよ。SNSやニュース記事で過去の炎上も家族構成もチェックしておいて、「あなた、昔こういうことありましたね」とか言う。

角 コールドリーディングの王道ですね。あらかじめ仕込んでおいた情報を、いかにも今降りてきたみたいに言うやつ。

Z李 そう。「最近、胃が疲れてますね」とか「お父さんとの関係がテーマですね」とか、誰にでも当てはまりそうなことを言いつつ、相手の反応を見て細かい設定を詰めていく。
で、「今のままだと危ないけど、このブレスレットを身につけて毎日瞑想すると流れが変わります」とか言って、高い石を売る。

角 まだそんなベタな霊感商法があるんですね。

Z李 さらに、「三か月後に大きなお金が入ってきます」とか、「今年の秋に人生が変わります」とか、遠めの期限を設定したポジティブ予言をセットでつける。これ言っておけば、当たっても外れても自分の責任にならないから。

角 外れたら「あなたの信じる力が足りなかった」と言える。

Z李 そう。「途中で不安になりましたよね? そのときに波動が下がっちゃったからです」とかね。で、落ち込んでるところに「じゃあ次はこの講座に出ましょう」「この高いセッションを受けましょう」と畳みかける。そうやって「当たる先生」の看板を維持しながら、サブスクみたいに金を落とさせるビジネスモデルですよ。

「予言」をどんどん先延ばしにして思考力を奪う

ーー占いだけではなく、引き寄せ系のビジネスではどうでしょうか?

角 引き寄せ系の講座も似たような構造ですね。「3か月後に理想のパートナーが現れます」「半年以内に好きな仕事で独立できます」とか、甘い予言をばらまく。

Z李 しかも、そういう予言って、外れても「まだ途中です」「カルマが残ってました」でいくらでも延長できる。期限が来たら「次の3か月で本番が来ます」とか言えばいい。
予言をどんどんローリングさせていく。

角 ローリング予言(笑)。

Z李 で、一番タチが悪いのは、「努力しないで引き寄せましょう」とか言い出すやつですよ。努力してると「それは古い現実のやり方です」みたいに否定して、「ただ願えばいい」「ただ信じればいい」と教える。そうなると、現実に対して何もしなくなるじゃないですか。

角 行動しないほうがスピっぽい、みたいな価値観になりますね。

Z李 そう。「私は波動が高いから、何もしなくてもお金が入ってくるはず」とか言い出した瞬間、だいたい人生が詰み始める。行動量は減るのに、期待だけは無駄に上がるから、現実との差分がどんどんつらくなる。で、そのギャップを埋めるために、さらに占いと講座に課金していく。

角 本当に悪循環だと思います。

現実から目を逸らすと、運はどんどん悪くなる

Z李 ああいうビジネスって、「外部にハンドルを渡す装置」なんですよ。本来自分で回すべきハンドルを、「先生お願いします」「宇宙にお任せします」って渡しちゃう。そうすると、自分の判断力と行動力がどんどん弱っていく。

角 しかもハンドル渡されてる側は、「自分はスピリチュアル的に目覚めている」と思い込んでいますからね。

Z李 そう。実際には借金と依存度だけ上がって運が悪くなってるのに、「これは魂の試練だ」とか、「カルマの精算だから」とか、全部スピ用語で正当化する。

角 そうですね。「前世で貴族だったから今つらい」とか、「魂レベルが高いから社会になじめない」とか、全部ストーリーにしちゃう。

Z李 あれやりだすと、本当に何もしなくなるんですよ。現実を変えるための行動力が、きれいに削られていく。

角 引き寄せも同じで、「現実を動かすための燃料」に使うか、「現実から目をそらす麻酔」に使うかで、運の方向がまったく変わってしまいますよね。

Z李 麻酔として使い始めた瞬間から、運は下り坂。現実をちゃんと見た上で、「とはいえ、うまく転ぶかもしれないしな」とか、「ここで一発チャレンジしてみるか」と思えるヤツのほうが、結果的に運がいい。占いも引き寄せも、その程度の距離感で付き合うのが一番だと思いますね。

(第三回に続く)

【Z李】
座右の銘は「給我一個機会、譲我再一次証明自己」。経歴不詳、表と裏の境界線上にいるインフルエンサー。X(旧Twitter)のフォロワー90万人超。週刊SPA!にて2021年より長編小説『飛鳥クリニックは今日も雨』を連載、2023年に書籍化。2025年にてドラマ化もされた(配信サイトLeminoにて視聴可能)。新著『君が面会に来たあとで』(幻冬舎)。

【Z李×角由紀子】裏社会とスピリチュアルの“意外な関係性”。ヤクザが数珠を巻くのは「悪いことをしてる自覚があるから」
【角由紀子】
オカルト研究家。上智大学文学部を中退後、2013年にオカルト専門メディア「TOCANA」を立ち上げ、約8年間編集長を務める。自身のYouTubeチャンネル「角由紀子のヤバイ帝国」は登録者数30万人超。主な編集本に『見つけてください』(横澤丈二著/徳間書店)、著書に『引き寄せの法則を全部やったら、効きすぎて人生バグりかけた話』(扶桑社)など。

【Z李×角由紀子】裏社会とスピリチュアルの“意外な関係性”。ヤクザが数珠を巻くのは「悪いことをしてる自覚があるから」
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