ジャーナリストの石戸諭氏は、「議員定数削減が成立しなかった背景には自民党の後ろ向き姿勢だけでなく、地道な合意形成を欠いた維新の戦略の甘さがある」と指摘する(以下、石戸氏の寄稿)。
自維定数削減ならず
政界は激動の1年だった。なんといっても日本初の女性首相の誕生が大きな話題になった。高市早苗首相以外で特に存在感を高めたのは日本維新の会で代表を務める吉村洋文大阪府知事である。維新が連立入りーー。正確には閣外協力だがーーしたことで、急浮上したのが家議院の議員定数削減だ。吉村氏自身が「改革のセンターピン」と位置づけ、高市首相も一定の意欲を見せていたが、結局、審議さえされずに自維は成立を断念したというのがこれまでの経緯だ。吉村氏はYouTubeで「腹が立つ」と連発し、怒りを見せていたが、あくまでパフォーマンスか。本音であれば、政治的にナイーブと言うほかないからだ。
そもそも連立協定には定数削減の「成立を目指す」としか書かれていない。”自民党用語”とも言える表現で、「目指したのは事実だ」と言い張ることができる。自民党内にも後ろ向きな議員が多いことは傍目にも明らかだった。
さらに言えば、維新の本気度もまた疑わしい。熱心に取り組んではいたのだろう。吉村氏は2ディアを通じて高い目標を打ち上げ、改革政党をアピールしてきた。では、足元で何をやっていたのか。
維新の’26年の課題
議員定数削減はもとより優先度の高い課題ではない。減らすには丁寧な議論が必要で、勢い任せで実現できるものではない。大阪では議席を減らして痛みを伴う改革が成功したのだといくら主張をしても、冷淡に言えば一自治体の成功体験でしかない。多くの国民には伝わりにくい政策だ。だからこそ、メディアを通じて野党にプレッシャーをかけるという方法ではなく、地道な説得こそが鍵を握っていた。吉村氏は臨時国会の会期中に立憲、国民民主、公明といった各野党の党首たちを直接説得する機会をつくっていないと語っている。党首クラスに自分の言葉で熱意を伝え、合意形成を目指していくことは議会政治の王道であり、本気度のバロメーターになる。一部であってもオープンな党首会談をセットして説得を試みれば、ネット以上に伝わるものはあるだろう。
不成立という結果に立腹するのはいいが、責任の一端は吉村氏自身にもある。そこまで不満があるなら閣外協力を解消すればいいが、それもできない。維新にとっての本丸は、自民の協力なしには実現しない副首都構想である。足兄を見透かされたまま、強気だが未熟な態度をとれば前に進むものも進まない。維新にとっては「大人の知恵」”も問われる26年になりそうだ。
【石戸 諭】
ノンフィクションライター。’84年生まれ。大学卒業後、毎日新聞社に入社。その後、BuzzFeed Japanに移籍し、’18年にフリーに。’20年に編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞、’21年にPEPジャーナリズム大賞を受賞。近著に『「嫌われ者」の正体 日本のトリックスター』(新潮新書)
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