女優業は、実は活動歴10~15年の間に引退する人がほとんどである。なかなか15年以上は難しく、20年目を迎える女優などごく少数派。だからこそ“レジェンド”と呼ばれ、彼女たちは希少価値が非常に高い存在なのだ。
活動歴が長くなることによる影響
なぜ10~15年がピークとされ、活動をやめるのか。理由は様々だが、その中の一つに“年齢の壁”が大きく関係する。今をときめくトップ女優たちの多くがデビュー時は20代前半で、10年経つ頃には30代へ突入。やはりどんな商売においても、30歳前後は人生について悩む時期だろう。一般女性としての幸せを掴みたくなったり、見切りをつけるという意味で引退を決める例も決して少なくはない。また活動歴が長くなると、ビデオ撮影も何もかもがマンネリ化しがち。特にメーカー専属だと、作品のネタも尽きてきて似たようなことの繰り返しとなり、相当な人気がない限り売り上げは落ちていく。たとえ安定したオファーが継続できても、新しい“何か”に挑戦をしないと、延々と似たような日々を送ってしまうのだ。
そして「もうそろそろいいかな?」と本気で思い始めた時、セクシー女優は引退を決心する。マンネリからの脱却には、環境や自身のあり方を変えるのがベストなので、これは前向きな卒業と言えようか。
肩書きが強い人のセカンドキャリアには“意外な道”も
当たり前だが、肩書きが強ければ強いほど可能性を広げやすい。引退後の稼ぎ口としてYouTubeやファンクラブ運営は定番中の定番で、売れっ子は現役の時から、すでにこの2つを始めている。ある程度チャンネルを育てておけば引退後の武器となり、収入の安定を図れるため“欠かせないマストアイテム”的な立ち位置だ。今までの撮影ギャラを全て補えるほど稼ぐには相当な努力が必要だが、すでに有名人なら貯金があり、ファンクラブなどの収益は一般職に比べたら十分に高い。売れ続ければお金に困る可能性がグッと下がって「お金がネックで身動きが取れない」という障害が減る。セカンドキャリアを築く最中で収入の問題が起きないのは、とてもありがたいことだろう。
セクシー女優のセカンドキャリアに変化が…
肩書きがあるだけで様々なイベントや収録に呼ばれやすく、正直言うと、引退後1年間くらいは「先日引退した」というような肩書きをフル活用できる。1年引っ張れたらきっと次の道が作れるため「元〇〇」を早い段階で使いまくるのも手だと言えようか。
ただし、多くの人がインフルエンサーの道を歩みがちなので、意外性が薄れつつある。今はまだセクシー女優のセカンドキャリアが注目されたばかりだから良いけれど、みんなが右へならえをすればマンネリ化待ったなし。結局、椅子取りゲームになってしまうだろう。
このような現実を見越しているか、“みんなと同じ”に抵抗感を抱く人はお店を経営したり、全く違う方向に進む。
必ずしも人前に出続けるだけが次のステップではない。裏方+人気商売継続など、今は道を作ろうと思えばいくらでも可能な時代へと変化したのである。
“インフルエンサールート”が王道に?
昔はセクシー女優を引退したら夜職をするか、普通の女優を目指すか。あるいは一般職へ戻る、結婚くらいしか選択肢がなかったように思える。実際、いち芸能人としてテレビに出ることがかなり難しく、「女優引退=夜のお店へ入る」流れが本当に多かったのだ。最近は、上記で説明した通りインフルエンサーなどが増え、とにかく選択肢が増えた。夜職キャストに転身する例は相変わらず多いけれど、昨今の歓楽街の苦戦と「元女優」の肩書きが前ほど珍しくなくなったため、昔ほど活かしきれないとのこと。
だからこそYouTube開設やファンクラブ運営が流行り、インフルエンサールートがオーソドックスになったのかもしれない。
モノ作りは成人向けから出やすい
モノ作りは成人向けの範囲から外に出やすいメリットを考えると、将来性がある商売なことに間違いない。
セカンドキャリアの選択肢が増えるメリット
現在も元セクシー女優を名乗るタレントが多いけれど、さらに馴染みあるものになると私は思っている。「引退したら何もない」状態を防げるのなら、誰もが希望を持って活動できるようになるだろう。
事務所としても引退後、違う可能性を切り開いてくれる存在がいるだけで心強い。セクシー女優のセカンドキャリアは何も自分のためではなく、業界全体の未来を変えていく要素となり得るのだ。
文/たかなし亜妖
―[元セクシー女優のよもやま話]―
【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。
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