プロレスでも生きたのは「柔道で厚くなった背中」
──1・4東京ドーム大会もかなり目前に迫ってきましたが、今は準備とか練習とか、どんな状況ですか?ウルフ アロン(以下、ウルフ):変わらずに練習を続けている段階ですね。やれることも増えてきましたし、もう半月ほどで試合ですから、気持ちも高ぶってきています。
──プロレス転向発表の直後、『報道ステーション』の番組中、道場でロープワークされている姿が映りましたが、あの時点ではロープワークはまだ難しそうでしたね。
ウルフ:あの時はそうですね。やり方とか分からない状態で初めてのロープワークだったので。でもしっかりと練習を積んでいけばできるようになりますし。そこは何でも最初からできるってものはないと思うので。
ウルフ:いや、受け身も柔道とはまた全然違いますからね。もちろん生きる部分もありましたけど、変えなきゃいけない部分のほうが多かったですね。背中が柔道で厚くなっていたので、何回受け身を取っても壊れないというところは生きましたけど(笑)。
どんな競技でも変わらない「トライ&エラー」
──プロレスの世界に入ってからここまで、難しい部分、大変だと思ったところはありましたか?ウルフ:もともと体力もある程度あったので、難しいという考え方はあんまりしてなかったですね。プロレスの技術を学んでいくのは、もちろんそんな簡単にはいかないですけど、難しいというよりは、しっかりと頭で考えてやっていかなきゃいけないなと思いましたし、1日1日できることが増えたりすると、やりがいも感じますし。
──下積みとしての仕事も苦にはならない?
ウルフ:今はまだデビュー前の練習生なので、日帰りの巡業には帯同させてもらうんですけど、地方とか泊まりの巡業は行ってないんです。デビューした後にそういったものがあったりもするのかなと思うんですけど。ただ、抵抗みたいなものはないですね。
ウルフ:うーん……特に、ないですね。最初はできなかったとしても、やりながら頭と体を使ってトライ&エラーしていけば、必ずできてくるものだと思いながらやってるので。最初はうまくいかないのは当たり前で、それをそのままにせずに、「どうしてうまくいかなかったのか」を考えながら、また先輩の動きとかも間近で見ることもできる環境にいて、そこで学びながらやれているので、むしろ、これ以上ない環境で練習できてるなと思います。
──「トライ&エラーして覚えていく」という感覚は柔道と共通ですよね。
ウルフ:それはそうですね。柔道もうまくいかなかったら、そこを考えながらやってきたので。それは僕がもともと持っているものなので、そこはどんな競技だろうが何だろうが、生きると思います。
「むしろ一からやれるところがいい」
──ただ、柔道では頂点まで行ったところから、プロレスではまた一からのスタートになります。そこに思うところはないですか?ウルフ:ないですね。あったらやってないと思うので。むしろ一からやれるところがいいと思ってます。一からやらないと、結局どんな物事でも、土台がない状態になるじゃないですか。僕はそれがすごくイヤなので。
ウルフ:そういうのはそこまで考えてないです。やっぱりまずは、プロレスラーとして試合ができる状態でデビューするというのが僕の一つの目標ですから、入場をどうしようとかは、深くは考えてないですね。対戦相手を倒す、今回だとEVILを倒すっていう、それだけですね。
──本当に試合に集中しているんですね。
ウルフ:はい。他のところをどんなに考えていても、試合がうまくできなかったらそれはダメだと思うので。やっぱり試合で強いところを見せるのが一番で、他のものはそこに付随してくるものだと思うんですよ。なので、まずは試合ですね。
テーマ曲も必殺技も公開は当日のリングで「驚かせられたら嬉しい」
──おそらく今、ファンは「テーマ曲はどうするんだろう」とか、「コスチュームはどんなものなんだろう」とか「必殺技は?」とか考えていると思うんですよ。そのあたりはまだ一切公開されてないですよね?ウルフ:そりゃあ出さないでしょう。
──ただ、過去には事前に公開した例もあるわけですよ。例えば、同じ東京ドームでデビューした北尾光司さんのときは、入場コスチュームも事前に公開して、プロモーションしてたりして。
ウルフ:僕は正直、今はそういうものを出してやっていく段階ではないと思いますね。地に足をつけてやるという意味でも、そこは当日見てもらって何か感じてもらう方がいいです。
──必殺技はどうですか?
ウルフ:用意してありますよ、もちろん。今、練習の中で作り上げている段階です。ただそれも、公開するのは当日のリングですね。事前に分からないほうが、予想できて面白いと思うので。
ウルフ:そうですね。映画でも、見る前にある程度あらすじが分かっちゃうと面白くないじゃないですか。「結末はこうだよ」って言われながら見たくないですよね? それと一緒で、やっぱり自分の好きなことだったら、「知りたいけど知りたくない」とかあるじゃないですか。
──ありますね。
ウルフ:好きな漫画でも、「完結を見たいけど、終わってほしくない」とか。その感覚に近いと思うんですよ。「今知りたいけど知りたくない」みたいな段階が一番楽しいから、みんなで予想し合ったりもするわけじゃないですか。今はその時間なのかなと。僕は僕でしっかりと準備はするので、それで驚かせられたら嬉しいなと思います。
僕の持てる力全てを使って倒すだけ
──しかし、対戦相手のEVIL選手はキャリアも全然違うし、大きな存在だと思うんですが。ウルフ:もちろん実力もあるし、キャリアも長い選手というのは分かってますけど、リングの上ではそれは関係ないですから。僕の持てる力全てを使って倒すだけですよね。
ウルフ:投げたりもして、大体の体重だったり、どうやったら投げやすいかなというのが分かってきているので、それを試合でぶつけたいと思います。柔道の時もそうでしたけどやっぱり対戦相手がいて、そこに集中してると、動けてしまいますね。
──プロレスの会場は柔道の会場と雰囲気も違うし、独特なムードもあると思うんですが。
ウルフ:リングが一つで、そこに全部の視線が集中しているので、一番最初に愛知のTANAHASHI JAMという大会で挨拶させてもらった時は、すごく緊張しました。あそこで初めてプロレスのリング上の感覚みたいなものを知ることができたので、ちょっと噛んでしまったところもありましたけど(笑)、挨拶できてよかったと思います。
──柔道時代は、観客の存在って意識していたんですか?
ウルフ:しないことはないですけど、柔道ではお客さんに向かって話すことはないですからね。そこの感覚がやっぱ少し違うなとは思います。しゃべったりするのも含めてプロレスだと思うので、全体的にレベルアップするためには、全てできるようにならないといけないなと思いますね。
──戦いの中では、お客さんの存在は関係ないですか?
ウルフ:いや、関係あると思いますよ。やっぱり応援してもらうというのはすごく力にもなりますし。柔道もそうでしたけど、見てくれる方がいるから競技の価値も上がってくるので、もちろん僕たち選手が100%の力を出して競技をするってことが前提ですけど、その上で見て応援してくれる方がいて、それが力になってまたその競技も盛り上がってくるのだと思うので、そこはもう切っても切れない縁だと思います。
介入や反則攻撃「全然やってきていいですよ」
──でもEVIL選手や、彼が率いるHOUSE OF TORTUREは、好んで競技の枠からハミ出る人たちですよね。ウルフ:それも一つの生き方の証明なんじゃないかなって思いますね。僕とは考え方が違うだけで。僕はやっぱりそういうところは許せないなと思いますけど、そういった生き方をする人たちなんだなとも思うので、そこをどうにかするというよりは、僕はそれも含めて倒す、その一点だけでやっていきたいと思います。
──他の選手たちに介入されたりしそうじゃないですか?
ウルフ:あると思います。
ウルフ:課せられた任務が多いですよね(笑)。でも、それも全部できての強さだと思うので、プロレスラーとしてじゃなく、人間としての強さを証明できるように戦うだけです。人間力の強さはプロレスの強さでもあると思うので、そこを重ねながらも、ただ者じゃないなということを知ってもらいたいですね。
──では、リングに上がることに不安はない?
ウルフ:不安は別にないですね。それを分かってこの道を選んだわけですから。
プロレスでは「脱・背中叩き」
──今回、東京ドームはチケット全席種が完売しました。超満員の大観衆の中でデビュー戦というのは、傍から見ると大変そうに思ってしまうんですが……。ウルフ:大丈夫ですよ。そういったものをちゃんと力に変えてやってきたし、これからもそうしていきますから。
ウルフ:別物だと思いますよ。どっちが上、どっちが下とかという話じゃなくて。柔道は柔道の緊張感があり、プロレスはプロレスの緊張感があって、それはリングに上がった時にもやっぱり感じるので、その違った緊張感に慣れていくということですよね。
──なるほど。
ウルフ:僕は、緊張することはすごくいいことだと思ってるんですよ。緊張するぐらいじゃないと、本気でやってるとは言えないと思うので。その緊張を楽しみながら、緊張の中に自分のリラックスを探しながらやっていければと思います。
──柔道の時は緊張を感じながらパフォーマンスを出すためのルーティンみたいなものはあったんですか?
ウルフ:いや、特にはないですね。顔を叩いたりとかぐらいで。逆にルーティンを作りすぎると、それができなかったらちょっとイヤな気持ちになるじゃないですか。試合に行く直前に顔を叩いて、誰かに背中を叩いてもらうぐらいでした。
──背中を叩いてもらうのは、プロレスの試合前もやりますか?
ウルフ:いや、いいかな(笑)。プロレスは一人で試合をすることが多くて、背中を叩いてくれる人がいつでもいてくれるわけじゃないとですからね。「脱・背中叩き」の必要がありますね。
「皆さん、その後もちゃんと見てください」
──本番が近づいている今は、何が一番のモチベーションになっていますか?ウルフ:モチベーションはずっとありますね。まず、デビュー戦が決まっているということが一つ、すごくありがたいことなので、それでモチベーションを上げてやってきています。そこから自分の方から志願した対戦相手に決まって、僕の中で憤りとか怒りといった感情もちょっとずつ表に出てきてる中で、この気持ちを全てぶつけるつもりで残りの期間も準備していきます。
ウルフ:もちろん考えてますよ! 皆さんデビュー戦だけに注目しがちですけど、その日からプロレスラーですからね。棚橋さんはその日に引退されますが、僕はそこからスタートなので、「皆さん、その後もちゃんと見てください」って言いたいですよ。
──むしろその後が本番ですからね。
ウルフ:もちろん、その後も見てもらうためには、やっぱりスタートダッシュが大事ですよ。そういう意味では最初から「次もある」というよりは、まず4日のEVIL戦に集中しています。
──1月5日以降は全大会に出場するのかとか、大会の中では第何試合あたりで試合するの?とか、いろいろありますよね。それも1月4日次第でもありますけど。
ウルフ:本当に、まずは1月4日です。本当にその後のことは言っててもしょうがないので。まずはこの1日、1試合に全てを懸けてやる。その後に試合があるということは、僕の中でもしっかりと認識は持ってますけど、そのスタートの日に最高のパフォーマンスをするという気持ちです。……ありがとうございました!
古今東西のプロレスラーの中から誰かをインストールするなら
──いや、勝手に締めないでください(笑)。最後にどうしてもお聞きしたいことがあって。ウルフ:今、すごくキレイに締まったと思ったのに(笑)。
ウルフ:ああ、東海道新幹線の「こだま」停車駅を全部言えちゃったりしたヤツですね(笑)。
──あの中で平然とズバズバ答えていく姿と、何も知らない他の出演者が気味悪がる姿が最高でした。さて、もしもリング上で古今東西のプロレスラーの中から誰かをインストールしてもらって試合ができるとしたら、誰がいいですか?
ウルフ:うーん、誰だろう……? いや、誰でもない感じがしますね。やっぱり僕は柔道家という側面もありながらも、今はプロレスラーになって新しい自分自身を作り上げてきたので、誰かをインストールする必要はないですね。とにかくこれから、僕自身をどんどんアップデートしていけたらと思います。
──なるほど。デビュー戦と、その後の戦いに期待しています。ありがとうございました!
【ウルフ・アロン】
1996年、東京都生まれ。6歳で講道館にある「春日柔道クラブ」に入門し柔道をはじめる。初出場の東京2020では、21年ぶりに男子100kg級で金メダルをもたらす。全日本選手権、世界選手権も制する”柔道三冠”も達成。2025年6月23日をもって新日本プロレスと契約。2026年1月4日「WRESTLE KINGDOM 20」でデビュー戦を行う
<取材・文/高崎計三 撮影/荒熊流星>
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