’25年6月の風営法改正でホスト業界は一変した。その裏で、ホストと闇金が結託し、女性を海外へ送り出す「人身売買」が急増していた。
借金返済のため海を渡るも、稼げず帰国すらできない――。その悲しき実情に迫る!

300万円の売り掛けを肩代わりし海外へ送る!

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 悪質ホストの存在が社会問題化するなか、’25年、風営法の大改正が行われた。

 色恋営業や売り掛けを抱えた客を風俗店に紹介するスカウトバックが禁止されるなど、ホスト・風俗・スカウト業界は激変の渦中にある。だが、その締めつけが思わぬ方向へと歪み始めているという。

「改正前後から海外出稼ぎ売春の紹介が増えているという実感があります。先日、警視庁や大阪府警と意見交換したところ、具体的な件数は不明ながら、捜査現場の感覚では“確実に増えている”という話でした」

 こう話すのは、風俗店の事業者団体・一般社団法人ナイトワーク法倫理向上協議会事務局の担当者だ。

 本来、法改正は売り掛けを抱えた女性客が意思に反して風俗店で働かされる構造を断ち切るという趣旨だったはず。

 ところが、現実はより危険な海外出稼ぎ売春が増えているというのだ。一体どういうことなのだろうか。

出稼ぎに行くことを担保に売り掛け分を貸し付け

ホストと闇金が結託し、女性を海外へ送り出す「人身売買」が急増。念書には実家住所と親の名前まで書かされ…
ホスト客[人身売買]極悪手口
ホストと闇金が結託し、女性を海外へ送り出す「人身売買」が急増。念書には実家住所と親の名前まで書かされ…
ホスト客[人身売買]極悪手口
「溜まった売り掛けが50万~60万円であれば、国内の風俗店でも返すことができたが、金額が200万円、300万円となると話が別。風営法改正後は、ホスト遊びをしたい女性客に対し、スカウトや金融業者などがお金を貸し付けるようになった」

 ホストへの売り掛けは、あくまで“ホストと客”という関係性の中で行われる。そのため、ホストとしては客をむげに扱えない。しかし、間に金融業者が入ると違う。「返済が滞ると、容赦なく海外へ飛ばしてしまう」という。


 こうした金融業者は、非正規の闇金の場合がほとんどだ。業界事情に詳しい元ホストのN氏もこう証言する。

「闇金業者が海外出稼ぎ売春のブローカーと組み、出稼ぎに行くことを担保に、売り掛け分を貸し付けたケースも流行っています。女性のツケは300万円。出稼ぎに行けば、それをチャラにするという条件を最近聞きました。女性には1円も入らないので、闇金はだいぶ稼いでるはず」

 闇金業者は、売掛金額と女性の容姿レベルを海外ブローカーに伝え、どの国に、どれくらいの期間で行かせるのかを決め、ホストにお金を渡すという。女性は念書を書かされ、海外に飛ばされる。

「念書には、借金額と返済額、女性の個人情報、ホストクラブや担当名、実家住所と親の名前まで書かされるんですから、逃げられません」(N氏)

闇金スカウトの利率は法外

ホストと闇金が結託し、女性を海外へ送り出す「人身売買」が急増。念書には実家住所と親の名前まで書かされ…
新宿・歌舞伎町には現在でも300店以上のホストクラブが存在するという
 一方で、スカウトが闇金化しているケースもあるとか。

「ホストと懇意にしているスカウトが売り掛けを立て替えて、女性を引き取るんです。期日までに返せなかったら、海外に送られる。スカウトはグループ自体が儲かっているのでお金をポンと出しますよ。ホストは女性とホテルに行った際に行為を動画に撮り、スカウトに渡す。リベンジポルノが担保になっているというわけです」(T氏)

 スカウトとしては海外に出稼ぎに行ってもらえば収入になる。
高額なツケが発生したら、猶予を与えずすぐ海外に送る流れが生まれているのだ。

「金利も凄まじいですよ。最近、私が見たものは借入金額150万円を、2か月後に230万円にして返すというもので金利は50%。月20~30%で設定することが多いようです」(同)

 ホスト側が積極的に動くのは、売り掛けを回収する以外の目的もあるという。

「女性を闇金業者やスカウトに渡すと、ホスト自身の小遣い稼ぎにもなるんですよ。例えば、180万円のツケだったら200万円を前金で出してくれる。20万円がホストに対する紹介料です」(同)

海外売春で月40万円しか稼げないケースも

ホストと闇金が結託し、女性を海外へ送り出す「人身売買」が急増。念書には実家住所と親の名前まで書かされ…
ホスト客[人身売買]極悪手口
ホストと闇金が結託し、女性を海外へ送り出す「人身売買」が急増。念書には実家住所と親の名前まで書かされ…
SNSには、海外で出稼ぎ売春する女性たちからの「稼げない」という声が多かった
 法改正後、水面下でこうした人身売買が横行しているが、海外出稼ぎ売春の現場は、以前のような濡れ手で粟の状況ではない。友人にホス狂が多いキャバ嬢のMさん(20歳)はこう言う。

「最近は本当稼げなくなりました。スカウトは『めっちゃ稼げるコは1000万円いく』と言うんですけど、実際にそんなに稼いだコは見たことがない。私が聞いた最高額は月500万円ですが、レアケースですよ。だいたいは月100万円いくかいかないか。
40万円しか稼げなかった知り合いは『日本の風俗のほうがよかった』と泣いてました」

 行き先については最近、韓国やオーストラリアが多く、次いで東南アジアだと言う。SNSでも「最近稼げない」という情報が多数あった。

「一日15万円以上稼げないと、海外に行く意味はないのですが、最近はオーストラリアでも一日10万円しか稼げないという声をよく聞きます。アジア圏はもっと低い。加えて『客からのクレーム3件で罰金』や『50万円の宣材撮影費を要求された』というケースも。今や海外売春で稼げるのはごく一握りで、残りの9割は苦しんでいます」(N氏)

 法改正で生まれた、こうした新たな状況について、前出の協議会事務局担当者は「出稼ぎ売春事情の調査を開始し、関係機関と対策を話し合っているところです」と話す。

ホストと闇金が結託し、女性を海外へ送り出す「人身売買」が急増。念書には実家住所と親の名前まで書かされ…
夜野 仁氏
 一方で現役ホストの税理士・夜野仁氏はホスト業界の現状についてこう述べる。

「風営法改正前から、大手グループでは徹底して売り掛けを禁止しています。研修などを行って違法行為をしないようしっかり管理しています。優良ホストが健全化に向け大きく舵を切るなかで、置いていかれた悪質ホストにより地下化が進んでいるのです。業界は改正以降、客足が鈍り、1~2割ほど減りました。大きな痛手だったのは売上金額やナンバーの表示規制。
あれは客が投じた金額が反映されるので、表示禁止になると課金競争も廃れます。売り掛けなしで飲む女性社長や金持ちマダムがホストから卒業してしまった。今後は、従来とは別の方法で魅力を提供していくしかないでしょう」

 ホスト業界が変革を迫られるなか、海外で危険に晒される日本人女性が一人でも減ってほしいものだ。

【夜野 仁氏】
現役の税理士・経営者という異色のホスト。歌舞伎町ALL NOTORIOUSに在籍。入店初日に売上4000万円、初月売上8700万円の伝説を持つ

取材・文/週刊SPA!編集部 写真/Shutterstock

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