こんにちは、シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)です。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。

シューフィッターとして過去2万人以上、2025年もざっくり200名ほど相談者様の足に触わりました。体感的にそのうちの3割ほど、とくに男性に「本当の幅広足」でお悩みの相談を受けました。今日は幅広足向けの靴を紹介していきます。

「本当の」とわざわざ強調したのは、思い込みで自分の足が幅広だと信じている方が多いからです。幅広の靴がちょうどよかった、というのはあまり当てになりません。大半の方は、幅はせまく、JIS規格でいうE~2Eの方が大半です。ゆるすぎる靴は指先を靴の中でぶつけてしまい、靴ずれやマメの原因になりますので、自己判断には注意が必要です。

どこかのショップでちゃんと測定をして、「4E以上」と判断された方におすすめの幅広靴をカテゴリー別でピックアップします。

①ウォーキングシューズ~日常履き部門

日本人に大人気の幅広靴はハズレだらけ。本当に必要な「幅広足」...の画像はこちら >>
アンダーアーマー「UAチャージド サージ4 エクストラワイド」(7700円)。公式発表は4E。実際に3Eの筆者が履くと完全に足が遊んでしまうくらいには幅が広く、甲も高い。いわゆる「ザ・昭和型」の甲高幅広で、お財布にもやさしい1足。通勤~ウォーキング~ランニングまで使えて、販売されてからまる2年以上売れ続けている、とにかく息の長いモデルです。
ABCマートでも販売しているので、試しやすさ、買いやすさも優秀。超軽量でバランスのクセもなく、丈夫です。体育大学のガタイの良いラグビーの部活生がこれを履いて走り込んでいるのをよく見かけますが、壊れているのをほとんど見たことがありません。つま先が広い割には、カカト周りはきちんとコンパクトにつくられており、ネンザの心配もありません。

②意外と知られていない4Eのフラッグシップモデル

日本人に大人気の幅広靴はハズレだらけ。本当に必要な「幅広足」用シューズ4選
ニューバランス「Made in USA 990v6」。3万9600円。写真は公式HPより
ニューバランス「Made in USA 990v6」(3万9600円)。実はD、2E、4Eの三択から選べるニューバランスのフラッグシップモデル。4E以上の幅広スニーカーはどうしてもシニア寄りのデザインになりがちですが、それらを一蹴する圧倒的美しさと歩きやすさ。大谷翔平がプライベートで履いていることでも有名なモデルです。4万円弱という価格に腰が引けるかもしれませんが、ニューバランスの技術と職人技をこれでもかと詰め込んだ珠玉のモデル。履き心地は控えめに言っても天国です。ニューバランスといえば996や574といったクラシックモデルばかりが目立ちますが、実はどちらも幅は「D」。ニューバランスは細くて、と敬遠している方でも、990の4Eなら難なく入ります。4E幅は実店舗にはほとんど在庫がなく基本はオンライン販売なので、ショップで足長のサイズ感覚をつかんでから購入しましょう。


③4Eでもまだきついなら、究極の幅広5E

日本人に大人気の幅広靴はハズレだらけ。本当に必要な「幅広足」用シューズ4選
ムーンスター「 SPLT AMM117」。6050円。写真は公式HPより
ムーンスター「SPLT AMM117」(6050円)。4Eでもダメなら5E。JISでは「F」にランク付けされる究極の幅広ですが、日本のムーンスターがしっかりカバーしているのはさすが。かなり重い体重を想定しているため、ミッドソールとインソールにもソフトな素材を使っています。ABCマートでは「足裏まくら」シリーズとしても展開していますので、目にする方も多いかもしれません。ニューバランスとどことなく雰囲気が似ていなくもありませんが、こちらは合皮のスエードを使用することでコストをカットしています。目立つロゴもないので、価格よりだいぶ高見えするところも気が利いています。完全にウォーキングシューズとして設計されているので、走るのは不可。とはいえ日常履きや旅行には十分対応できます。ソフトすぎて歩きづらい場合も、カップインソールが取り外せるので硬めのインソールにカスタムも可能です。

④本格革靴+4E+フォーマル

日本人に大人気の幅広靴はハズレだらけ。本当に必要な「幅広足」用シューズ4選
スコッチグレイン「シャインオアレイン4E」。4万1800円。写真は公式HPより
スコッチグレイン「シャインオアレイン4E」(4万1800円)。革靴の幅広はなかなかの玉石混交の世界で、革製を謳っておきながら一部に合皮を使っているものも多々あり(しかも法律上はセーフ)、粗悪品が非常に多いジャンルです。靴の設計をしていた立場からあえて言いますが、「革靴が超幅広を謳っていたら疑え」。
数少ない例外が国産のスコッチグレインです。シャインオアレインシリーズは名前の通り、全天候型で雨も平気、メンテも簡単で修理もラクと三拍子そろっています。黒のストレートチップは冠婚葬祭やフォーマルな場でも一応は最上級にランク分けされるので、転職や就活用に用意しておいて損はありません。スコッチグレインは革底の4Eシリーズも展開していますが、ガンガン歩けてヒールの中も実は空洞でクッションが効くこちらのタイプが個人的には好みです。

ネットで「超幅広」を宣伝に使うスニーカーや革靴も多いのですが、格安製品はおすすめしません。超幅広=ルーズなつくり、と生産サイドも消費者サイドも勘違いしているところが多く、カカト周りもふまずもルーズなコッペパンのような靴がほとんど。履いた瞬間は痛くはありませんが、歩き続けると確実に靴ずれを起こし、ネンザの原因になるので要注意です。幅広靴であってもカカト周りがユルユルであれば、それはフィットしない靴です。「痛み」だけではなく、「カカトがしっくりくる=本当にフィットしている」という感覚も大事にしてください。

【シューフィッター佐藤靖青】
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。
靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』。著書『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』
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