アミューズメントカジノ店舗数は3年で3倍以上に増加
アミューズメントカジノとは、ポーカーやルーレットなどの遊技を提供する店舗で、風営法上はゲームセンターなどと同じ「5号営業」に分類される。80店舗に対する警視庁の一斉立ち入り調査の結果、6割にあたる48店舗で、ゲームの結果に応じたチップの景品交換や、チップの店外持ち出しといった風営法規定への違反が確認された。また、店舗間で共通して使える「ウェブコイン」と呼ばれるポイントの導入状況についても調査が行われ、8割を超える69店舗での導入が確認された。
東京都内のアミューズメントカジノは、令和3年の約60店舗から現在は約200店舗へと3倍以上に増加している。国際大会の開催などでポーカー人気が世界的に高まる中、国内の繁華街でも同様の傾向が見られる。
「ウェブコイン」の換金性が風営法違反の核心
アディーレ弁護士事務所の南澤毅吾弁護士によれば、今回の立ち入り調査で問題となっているのは、5号営業の核心である「ギャンブル性」だという。「風営法23条では、ギャンブル性の高い遊技を禁止するため、5号営業において『遊技の結果に応じて、客に物品その他の財産上の利益を提供すること』が禁止されています」
今回問題視されているのは、アミューズメントカジノでの勝ち額を「ウェブコイン」として貯めることができ、それが店舗外で換金されている可能性があるという点だ。これがギャンブル性を生じさせる原因となり、風営法23条違反の疑いが持たれている。
「ウェブコインは、ポーカーの勝ち額を『貯めておく』仕組みということで、ゲームセンターのメダルゲームにおけるメダルに類似しています。単に店舗内のポイントとして貯めておけるものであれば、法律上のリスクは低いですが、決定的な違いとして、異なる店舗間で共通のウェブコインが使われており、ウェブコインが店舗外に持ち出せてしまう仕組みとなっていました。ゲームセンターではメダルを換金することは当然認められていませんし、クレーンゲームも、警察庁の通達によって例外として認められているに過ぎません」
パチンコとの違い。なぜ同じ「換金」でも扱いが異なるのか
南澤弁護士は「風営法上、パチンコ店の営業は『4号営業』という別業態として管理されています。景品を適用されるルールがまったく異なるため、パチンコでOKだから問題ない、という論理は成り立ちません」と説明。さらに、2018年に成立したIR法(特定複合観光施設区域整備法)の影響も大きいという。
「IR法はポーカーをカジノゲームの一種として定義しており、IR特区内で認可された特定カジノ事業者のみに運営を認めています。『カジノ管理委員会』も設立されており、国の厳格な管理の下でしかカジノとしてのポーカーは認めない、という方針が明確化されています」
つまり、パチンコ店同様に、繁華街でカジュアルに楽しめるギャンブルという位置づけにはなり得ないのだ。
店舗側の「知らなかった」は通用するのか
店舗側が「当店は直接換金していない」「外部での現金化は把握していない」と説明していても、実態として換金ルートが形成されていれば、店舗側に責任が生じるという。「風営法上の判断基準としては、店側で提供しているウェブコインに価値があるか、という点であり、店がどう意図していたかは無関係です。店としては『外部で換金されていることは知らなかった』ことが反論したい点でもあると思いますが、実態として換金されていれば、店側には実態に即した対応を行う義務が生じます」
また、ゲームセンターにおけるメダルゲームでは、異なる店舗でメダルを共有できない仕組みになっていることも指摘する。これは、メダルが店舗外で換金されないようにするため、長年の警察の指導によって業界内での慣行となった運用だという。
「このような背景事情がある中で、ウェブコインの仕組み自体を黙認してしまうと、ポーカーに限って例外を認めることとなり、バランスが取れません。したがって、ウェブコインの換金ルートだけでなく、ウェブコインの仕組みそのものが問題視される可能性は高いです」
一般客は逮捕されるリスクがあるのか
アミューズメントカジノが風営法違反と判断された場合、そこで遊んでいた一般客が法的な責任を問われる可能性はあるのだろうか。南澤弁護士は「風営法違反に留まる場合には、単なる一般客であれば、逮捕・不利益を被る可能性はないでしょう。風営法はあくまで店を取り締まる法律であり、一般客は対象としていないからです」としつつも、「悪質なケースとして、賭博罪が適用される場合には、一般客も刑法犯として逮捕される可能性はあり得ます」と警告する。2025年5月には、東京都豊島区で中国人向けの「闇ポーカー」が摘発された際に一般客9人も同時に逮捕された事例があるという。
「この件は、アミューズメントカジノですらなく、直接金銭授受を行う、完全に違法な営業だったという背景事情がありますが、アミューズメントカジノに関しても、今後その違法性が公に確定した場合には、それでもなお訪れる一般客は悪質と判断され、『賭博罪』として逮捕される可能性もあり得るでしょう」
業界はどこへ向かうべきか。「競技性」へのシフトが鍵
南澤弁護士は、アミューズメントカジノ業界の今後について、「ポーカーの起源はギャンブルですから、射幸心を集客要素とせざるを得ない側面があることも事実です。しかし、今回の立ち入り調査によって、カジノ・賭博としてのポーカーは国として認めないという、当局の姿勢が明確化したと感じます」と分析。その上で、「民間でポーカーをテーマとした集客・事業を行う場合には、賭博性・換金性からいかに脱却できるか、ギャンブルではないスポーツとしてのポーカー、というクリーンなイメージを作ることが課題」と指摘する。具体的な方向性としては、「競技性にフォーカスし、e-Sportsやカードゲーム、麻雀のプロリーグのような形を志向すること」を提案。
「テキサス・ホールデム・ポーカーは技術介入要素が高く、海外を中心に競技として評価されています。スポンサーによる『賞金』という形であれば、賭博性に頼ることなく、プレイヤーのモチベーションに訴求できるでしょう」
また、よりカジュアルな形としては、「店舗内に限定した景品・サービスを法に触れない範囲で充実し、差別化する方向性もあり得る」ともいう。「今回のウェブコインに関しては、今後示されるであろう警察の指針・指導を遵守することは必須であり、利用者としても、賭博罪で逮捕されないため、安全性の高い店を選ぶ意識が必要です」と注意を促している。
タレントや経営者等、ポーカー愛好を自認する有名人が増えている昨今、学生のサークル活動にも取り入れられるなど、その裾野は確実に広がっている。
しかし、ギャンブル性を内包するゲームである以上、ひとたび線引きを誤れば、健全な娯楽がカネと欲望を呼び込む“抜け道”になりかねないという現実を、業界も利用者も直視する必要がある。
「パチスロで学費を稼ぎ、弁護士になった男」という異色の経歴を持つ。司法修習時代は、精神医療センターにて、ギャンブルを含む依存症問題について研修を受けた経験があり、一般市民の悩みに寄り添った、庶民派の弁護士を志す。
<取材・文/日刊SPA!取材班>
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