移動に欠かせない交通手段のひとつである電車。しかし、通勤や通学の時間帯は混雑するため、殺伐とした雰囲気がある。
車内では譲り合いの精神を持って、お互い気持ちよく過ごしたいものだ。
 今回は、満員電車での“理不尽な行為”に困惑したという2人のエピソードを紹介する。

“当たり前”の行動ができない若い男性に募る苛立ち


満員電車でドアを塞いだまま動かない男性…さらに突然“膝蹴り”...の画像はこちら >>
 山田慎一さん(仮名・40代)は、最近、通勤電車に乗ること自体が憂うつになっているという。

 主要駅まであと3駅のタイミングで、電車はすでに満員状態。ドアが開いても降りる乗客はほとんどおらず、ホームには重苦しい空気が漂っていた。

「それでも普段なら、ドア付近の人が一度外に降りてくれるんです。それが、暗黙のルールというか、当たり前の行動だと思っていました」

 その“当たり前”を完全に無視する若い男性が、1週間ほど前から同じ車両に乗るようになった。

「いつも同じ位置で、片側のドアを完全に塞いだまま動かないんです。スマホから顔も上げず、周りを一切気にしていませんでした」

 巷では“ドア地蔵”と呼ばれている行為だ。

 周囲の乗客が一度ホームに降りてスペースをつくるなか、その男性だけは車内に立ち尽くしたまま。これまでは何とか体をよけて乗り込んでいた山田さんだったが、その日は人の流れに押され、どうしても避けられなかったという。

「仕方なく『すみません』と声をかけたんですが、完全に無視でした。イヤホンもしていないのに……」

動かないどころか、突然の膝蹴り


 そして、体を横にずらそうとした瞬間だった。

「いきなり太ももに衝撃が走りました。
振り返ると、その男性がこちらをにらんでいたんです。膝で蹴られたとすぐにわかりました」

 痛み以上に、「なぜ蹴られなければならないのか」という理不尽さが勝ったという。

「まったく意味がわかりませんでした。混んでいてツラいのはお互い様です。ただ、トラブルを避けたい気持ちで、何も言えませんでした」

 男性はその後、何事もなかったかのように2駅先で下車した。その間、山田さんは背中を向けたまま、立ち続けるしかなかった。

「翌日からは別の車両に乗るようにしました。でも、太ももに残った感触は、今でもはっきり覚えています」

降りる人の流れを止めてしまう迷惑行為


 一方、加藤浩紀さん(仮名・20代)も、朝の満員電車でドア地蔵に遭遇し、イライラした瞬間があったという。電車が駅に到着し、多くの人が一斉に降りようと動き出したタイミングだった。

「私の前にいた男性だけが、まったく動かなかったんです。普通は一度外に出て、通路をあけますよね。でも、その人はイヤホンをしたまま、スマホを見て固まっていました」

 わずか数秒の行動が、車内の混乱を招いたようだ。


「降りる人がつっかえて押し合いになるし、私も後ろから押されてバランスを崩しそうになりました。でも本人は、“自分には関係ない”という顔で突っ立っていました」

 降りる人たちは仕方なく、体をねじりながら“その男性”を避けて下車することに。そこだけ人の流れが途切れ、車内はしばらくざわついていたそうだ。

 そして、混乱の余韻はその後も残っていたという。

「男性が降りた後も、どことなく空気がピリついていましたね。なんとなく落ち着かない感じが続きました」

 乗り換え駅に到着し、乗客が一気にホームへ流れ出たところで、ようやく体の緊張がほどけたそうだ。

 電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。

<取材・文/chimi86>

【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

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