特殊清掃の仕事をしていると、一風変わった現場に遭遇することがあるという。その中には、“まさかこんなところで亡くなるなんて……”と驚いてしまったことも。

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都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、詳しい話を聞いた。

3世帯が住む一軒家で死後1週間も気づかれず…

変わった構造の家から清掃依頼がくることも。

「もともと2階建ての一軒家になってまして、本来は1人にしか貸せない物件だったのですが、2階部分をリフォームして、入居者を2組入れられるようにした物件でした。1階は大家さんが住んでいて、階段を上がったら賃貸になっている、いわゆる下宿のような感じになっている。玄関を開けると大家さんの家で、そこを通らないと自分の家に行けないといった変わった作りです。

一軒家に3世帯が住んでいるような家だったのですが、2階に住んでる人が孤独死してしまったのです。なぜか1週間くらい気づかれなくて、臭いと虫がすごいぞと、不審に思った隣の部屋の人が発見したようです」

一軒家なので、薬剤を撒く時は気を使う必要がある。

「薬剤を撒く時間に共用部分に出てもらうことはできないので、『この時間帯に薬剤を撒くので、部屋から一切出ないか、家に戻ってこないようにお願いします』と説明しました。予定通りの時間に終わらせなきゃいけないので、作業時間の逆算も大変でした。部屋の作りもおかしくて、各部屋にロフトがついているのですが、ロフトの繋ぎ目が雑で、隣の部屋に薬剤が入ってしまうような作りでしたね。

この薬剤を吸い込むと人体にとってかなり有害なので、漏れないようにきちんと密閉しなきゃいけない。古い作りの家で、天井が高くロフトの部分が高所になっており、足場も不安定だったため、かなり苦労しました」

玄関の前で寝袋に入ったまま孤独死

「まさかこんなところで…」特殊清掃業者が驚いた“孤独死の現場”。知らない家の倉庫で亡くなっていた男性の正体とは
※写真はイメージです
他にも特殊な現場にまれに遭遇するという。

「家の外、玄関の前で、寝袋を使って眠ったまま孤独死した家の清掃もありました。一軒家で玄関が人目につく通りにはなく、回り込んだところにあるので、遺体の発見が遅れてしまったんです。
家自体もゴミ屋敷になっていて、玄関が開かなくなっていました。ハシゴを使って2階までいって家に入るような生活だったようです。しかし、ゴミが溜まりすぎて、2階から家に入ることもできなくなり、外で寝ていたところ、凍死してしまったようです」

秋口のちょっと寒い時期だったことが災いし、命を落としてしまった。おそらく夏場は大丈夫だったのだろうが……。

「発見までは1週間くらいかかったようでした。コンクリートに体液が滲み出て赤黒くなっていて、発見当初は事件性があるかどうか、相続が発生するかなど、いろいろ問題点がありました。

なので、見積もりを出してから作業を進めるまでに1ヶ月くらいかかってしまって。その間も近隣住民から自治体に、『臭いから早く作業してくれ、いつになったら作業するんだ』とクレームが入ったようです。作業前に近隣の方に挨拶回りをしていたのに、作業がなかなか進まないため、弊社に直接クレームの電話がきたこともありました」

臭いも最初は生臭い臭いがすると近所で話題になってたそうだが……。

「遺体が発見された経緯としては、遺体のご家族の方がたまたま様子を見にいった時に発見したようでした。まだ、家族との関係性が残ってる方で良かったと思います。遺体を引き上げた後、警察が簡単に掃除をしてくれたようですが、臭いは全く取れていませんでした。
コンクリートに付着した臭いってとるのがかなり大変なんです。熱を当てて臭気成分を壊した後に塗装し直すといった作業工程です。

外だけの清掃予定でしたが、家自体がゴミ屋敷だったため、遺体から出た体液の清掃だけではなく、家全体を掃除する案件へと変わりました」

認知症で徘徊、“まさかこんなところで……”

また、“まさかこんなところで人が亡くなってるとは……”と驚いた現場もあった。

「問い合わせは不動産の大家さんからきたのですが、『敷地内で人が死んでたので、なんとかしてください』といった依頼でした。現場に駆けつけてみると、物件はアパートのような作りになっていました。1階は学習塾や事業所などに貸していて、2階は住居になっています。敷地内の脇の方に、ほったて小屋みたいな倉庫があるのですが、そこを開けたら人が亡くなっていたとのこと。見てみると体液が外まで流れていて、道路のドブまで続いていました。臭いもひどくて半径230メートルくらいは臭いがして、早めに対処しないとまずいぞ、と思いました」

こんなところで亡くなるなんて、どういった境遇の人なんだろうと思ったそう。

「最初はホームレスの方が寝たまま亡くなってしまったのかなと思ったのですが、しばらくして亡くなった方の死因と身元が特定できました。どうやら、認知症で徘徊していた高齢男性だったようです。おそらく、帰り道がわからなくなって、涼しいところで休憩しようとして小屋に入ったのだと思います。そのまま熱中症で亡くなってしまい、2週間ほど発見されませんでした。
ご遺族の方は捜索願いを出していたそうですが、最後は悲惨な姿で発見されてしまいました」

清掃費用は、親族の方が負担をしたそうだ。

なるべく人目につかないように作業する必要がある

「人通りも多く、人目につくところでの清掃でした。本当は隠密に清掃したかったのですが、難しかったです。ネットでも少し話題になってしまって、もっと早く清掃できていれば……と悔やまれます。認知症の方が帰れなくなって亡くなるというケースはたくさんありますし、暑い季節だけじゃなく、今のような寒い季節も注意しなくてはいけないことです。今回は遺族の方が費用を支払ってくれましたが、私たちは責任を取りませんと突っぱねる遺族も稀にいらっしゃるんです。その場合、裁判とかになって争うので、清掃が遅れてしまいます。その間も近隣住民の方は嫌な思いをしたり引っ越しを決意したりするので、早く収束する形で本当に良かったと思います」

他にも人目についてしまい問題になった現場もあった。大通り沿いのマンションの1階に住んでいる人が、ベランダで首を吊ったのだ。

「首を吊った明け方に見つかったのですが、発見した近隣住民がPTSDのような状態になってしまったんです。お祓いをしてくれとか、いろいろな声が届きました。もともと大手企業に勤められている方で、趣味も充実していたようでした。
部屋の中に精神安定剤などもなく、普通に生活感が溢れているお部屋でした。自殺された方のお部屋って、妙に片付いていることが多いのですが、この現場は散らかっていて、明日もまた生活をしていく予定だったであろう雰囲気でした。急に思い立ったのか、理由は本人のみぞ知るという形です。清掃中は、なるべくしゃがんで清掃し、外から見えないようにしたのですが、それでも近隣住民にトラウマを植え付けてしまったのかと思います……」

<取材・文/山崎尚哉>

【特殊清掃王すーさん】
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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