『孤独のグルメ』原作者で、弁当大好きな久住昌之が「人生最後に食べたい弁当」を追い求めるグルメエッセイ。今回『孤独のファイナル弁当』として取り上げるのはカツサンド。
孤独のファイナル弁当 vol.19 「下仁田トーストカツサンドの喜び」
下仁田に行った。ここにはドラマ『孤独のグルメ』のSeason7「群馬県甘楽郡下仁田町のタンメンと豚すき焼き」でロケした場所だ。’18年だ。もう7年前か。その後、別の仕事で下仁田に行った。ついでにロケした店に挨拶して何か食べていこうかと思ったら、折しも町の祭礼で飲食店は軒並み休み。残念。しかたなく一軒だけ営業していた駅前のどうでもいいような喫茶店「HIRO」に入った。店探しで歩き回って汗かいて疲れたのでビールを頼み、小腹が空いていたのでカツサンドを頼んだ。
生ビールは最高にうまかったが、まったく期待していなかったカツサンドが、あまりにおいしくてビックリした。
「どうでもいいような喫茶店」と思った自分を激しく責めた。申し訳ございません! お見それいたしました! 心の中で土下座した。
そして今回、三たび下仁田を訪れる機会に恵まれた。もちろん前回行きそびれた中華「一番」に行って、ご挨拶してタンメンと餃子を食べた。しかし、その前にHIROに寄ってコーヒーを飲み、お持ち帰りのカツサンドを頼んでいった。
下仁田取材が終わり、HIROに寄ると時間通りにカツサンドはできていた。これを高崎から東京への上越新幹線内で食べる算段である。段取りバッチリ。
紙箱の蓋を開けるとカツサンドが3つ。この圧巻の見た目は、写真をご覧くだされ。
しかもこのパン、トーストされているのだ。そこが素晴らしい。このカツサンド三葉の断面を眺めて缶ビール一本飲める。
この指が入る隙間がないカツ密空間から、なんとかカツサンドをひとつ取り出し、大きく口を開け、3分の1ほどをガブリと食べる。パンから肉まで一気に噛み切って口に入れる。この時のパンから肉への噛み心地が最高。肉は柔らかく、噛み切るのに力はいらないが、でも「肉!」というみっちりした噛み応えが歯から伝わってくる。
噛み切った部分をもぐもぐと咀嚼すると、パンの香ばしさ、バターの香り、ソースの香りと酸味にまみれたコロモの味、の中から現れる豚肉の存在感たっぷりなうまみ。噛み心地。ああ、もうシアワセです。
ため息をついてアイスコーヒー。口の中がリセットされ、カツサンド次のひと口だ。3口で一個のカツサンド。でもまだ2つも残っている。ニンマリする。
カツサンドはトーストされているほうが絶対うまい。できたてでなくても、冷たくなってもトーストのほうが絶対うまい。いや、この店の肉がいいのだ。揚げ方もいい。ソースもいい。己の買ったトーストカツサンドを褒めちぎりながら食い進む優勝パレード感がさらに俺を陶酔させる。
―[連載『孤独のファイナル弁当』]―
【久住昌之】
1958年、東京都出身。漫画家・音楽家。代表作に『孤独のグルメ』(作画・谷口ジロー)、『花のズボラ飯』(作画・水沢悦子)など。Xアカウント:@qusumi
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