出世や評価は「仕事ができる人」に集まる――そんな常識が、いま揺らいでいる。社内ポジションに関係なく、若手や同僚から自然と応援される存在、“推しオジ”こそが組織を生き抜く鍵だという。
嫌われないように無難に振る舞うより、あえて「推される人」を目指すほうが、結果的に評価もチャンスも集まる。では、どうすれば推される中年社員になれるのか。プロの見解をもとに、その具体策を探った。

推しオジになるには?

「出世する中年社員」に共通している3つのパターン。自分の能力...の画像はこちら >>
社内ポジションに関係なく「推され力」は誰でも恩恵を受けられる万能スキル。嫌われることを恐れて社内で息をひそめるよりも、積極的に応援される存在を目指すべきだ。

「社内にファンをつくることは、本人の能力以上に評価されることに繫がります」

そう語るのは、企業の人事コンサルティングを多数手がける人材研究所の安藤健氏。

「出世する人は例外なく周囲の人に認められ、昇進しているというのが、キャリアに関するさまざまな研究結果で明らかになっています」

では、周りから評価(応援)される推しオジをどう目指すべきか。識者見解などを基にすると、大きく3タイプの推しオジ像がある。

何かに熱中する人は芯があって魅力的

「出世する中年社員」に共通している3つのパターン。自分の能力以上に評価される“コツ”とは
中年社員は[推され力]が10割
1人目は、学習意欲と好奇心の塊のような「熱オジタイプ」だ。

「何かに没頭している“熱量”が高いタイプの人です。例えば、資格取得やAIなどの新技術の習得に励む人や、毎日のルーティンを決めて健康管理に本気で取り組む人など、何かしら熱中しているものがある人は、仕事においても考えに芯が通っていて若々しい。新しいものを貪欲に吸収する姿勢は周囲に『この人と一緒にいるといいことありそう』と思わせます。ポイントは、周囲にどう思われるかという意識を持たないこと。評価を気にして発言が二転三転したり、失敗を恐れて尻込みしたりする姿勢は周囲から敬遠されてしまいますから」

また、ベストセラーを多数生み出すビジネス書作家の中谷彰宏氏は、「自分が興味のない話でも面白がること」と、推しオジになるコツを説く。


「現代は趣味が多様化しているので、自分と相手の興味が重なる確率なんて1%もない。肝心なのは『99%の自分がまったく興味のない話』に対して、いかに関心を持つかです。オススメは個人の“好き”が詰まっているスマホケースに着目して会話をしてみること。相手は、自分の好きなものに関心を持ってもらえたことで一気に心の距離が縮まります」

熱オジタイプは熱中×好奇心

□AIなど新技術好き
□常に何かに挑戦中
□なんでも面白がれる
□評価は二の次

失敗談を語れると親近感を持たれやすい

「出世する中年社員」に共通している3つのパターン。自分の能力以上に評価される“コツ”とは
中年社員は[推され力]が10割
2人目は、愛嬌と柔軟性を持つ「かわオジタイプ」。ダメな部分を積極的に開示していくような人だ。

「成功体験を積み重ねた人ほど過去のやり方に執着してしまいがちですが、そういう人は推されません。むしろ自分のプライドなど捨てて年下から学ぶべきです。周りに話すべき内容は、成功談よりも失敗談。例えば飲みの席で『しくじり先生』のように失敗談を語れる人だと、周りも親近感が湧き、『この人なら相談できる』と思われます。年齢に関係なく対等でありたいと考える今の若手は“借り”をつくることを嫌います。奢りでなくてもOK。会計のとき、少し多めに出してあげるくらいでいいでしょう」(安藤氏)

また、中谷氏は「推しオジになりたいなら「かっこいい」と言われる人よりも、「かわいい」と言われる人を目指すべきだ」と助言する。

「男性は縦社会に生きるがゆえ、『舐められちゃいけない』という気持ちが先行して相手にマウントを取ったり、過去の栄光にすがって自分を大きく見せたりしがち。
評価の基準が能力の優劣であるため、自分が格上と認められた証しの『かっこいい』という言葉を求めます。一方、女性は共感を重視する。相手との心の距離を考えた場合に必要なのは競争ではなく共感なんです。男性は女性の『かわいい』という言葉を舐められたと捉えがちですが、自分の内側に入れる共感言葉の『かわいい』は実は最高の褒め言葉です」

かわオジタイプは愛嬌×柔軟性

□失敗談をネタにする
□年下に学べる
□マウントは取らない
□過去の自慢をしない

後輩や若手を第一に考えられる人は推せる

「出世する中年社員」に共通している3つのパターン。自分の能力以上に評価される“コツ”とは
中年社員は[推され力]が10割
最後の3人目は、世話好きで面倒見のいい「やさオジタイプ」。自分の成果にガツガツするよりも、後輩や若手を第一に考えられる人である。

「仕事を抱え込んで『自分でやったほうが早い』などと息巻く人ではダメです。むしろ積極的に任せて、ミスがあっても頭ごなしに叱らず『どうしてそう判断したの?』と対話して聞いていく。このとき初めて『自分の成功ノウハウ』の出番になる。知識を惜しみなく共有し、若手が壁にぶつかっているなら自然と声をかけましょう。『若手を育てたい』と言いながら実際は放置しているベテランも多いですが、困っていそうでも関心を持たず、結果が出ないときだけ厳しく指摘するようでは、嫌われて当然ですよね」(安藤氏)

やさオジタイプは世話好き×懐の広さ

□手柄は後輩に譲る
□若手に機会を与える
□ノウハウを隠さない
□頭ごなしに叱らない

年始の今こそ推しになる好機!

「出世する中年社員」に共通している3つのパターン。自分の能力以上に評価される“コツ”とは
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さらに安藤氏は新年という「リスタートのタイミング」を活用することを提案する。

「年始のミーティングで、昨年一年を振り返って『昨年は失敗をしちゃってさ』と話題にする。節目を利用すれば、多少、普段と違っても、違和感なく失敗談を話せますよ」

「“推しオジ力”は資産のようなもの。積み上げが早ければ早いほどいい」と語るのは中谷氏。
その足がかりは「誰かが何か言ったときに一番に笑うこと」だという。

「誰かに追随するのではなく誰よりも率先して笑う。単純に笑っている人は感じがいいですし、他人の目線を気にして、反応を変える人は信頼されません。こういった日々の積み重ねが、“信頼貯金”になって、ピンチのときでも味方になってくれるファンを生みます。その練習のためにも、まずは家庭内など一番身近な人の好感度を上げること。部下に慕われたい上司になりたいと思ったら、まずは家族と1時間じっくり会話して反応を聞いてみてください」

今年は推しオジ戦略で最高の一年をスタートすべし。

【人材コンサルタント 安藤 健氏】
青山学院大学教育人間科学部卒。人材研究所にて、企業の採用・教育研修・評価報酬制度構築など組織人事コンサルティングを実施
「出世する中年社員」に共通している3つのパターン。自分の能力以上に評価される“コツ”とは
人材コンサルタントの安藤健氏

【著述家 中谷彰宏氏】
1959年生まれ。代表作『面接の達人』など、自己啓発や人間関係論を中心に多数の著書を刊行。「中谷塾」を主宰し、講演活動を実施
「出世する中年社員」に共通している3つのパターン。自分の能力以上に評価される“コツ”とは
著述家の中谷彰宏氏
※週刊SPA!1月13日・20日合併号より

取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/サダ

―[中年社員は[推され力]が10割]―
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