カラフルかつポップなスタイルでインスタグラムやTikTokを中心に人気を集めている、彫師のアラレさん。
自身には、顔をはじめとした各所に「お気に入りのタトゥー」が入っており、かわいさと芯のある姿の発信が注目を集めています。


今回は、彫師になったきっかけや施術に関するこだわり、今後の活動について伺いました。

「タトゥーが心の支えに」全身タトゥーの女性彫師が大切にする仕...の画像はこちら >>

彫り師になったきっかけ

ーーどのようなきっかけで彫師の道に進まれたのでしょうか。

アラレさん:小さい頃から、将来は絶対アートで食べていくんだっていう謎の自信がありました。いろんな表現活動をしていく中で、自分の絵が人の体の一部になる素晴らしさを感じたのが、タトゥーに惹かれたきっかけです。

ーーアートの中にもいろいろなジャンルがある中で、彫師にこだわった理由を教えていただけますか。

アラレさん:私自身、タトゥーに救われたことがあったんです。気持ちがかなり不安定で、楽しいと思えるものもあまり見つからない時期がありました。そんな中で、タトゥーを入れられる年齢になって「せっかくなら、自分が本当にやりたいことをやってみよう」と決意しました。

タトゥーを入れてみたら不思議と心の支えになっていき「もう少し生きてみようかな」と思えるようになりました。

ーーつらい時期に、タトゥーが希望のような存在になっていったのですね。

アラレさん:次のタトゥーを楽しみにする気持ちが、前に進むきっかけになっていったという感覚ですね。

また、彫師という仕事を通して、タトゥーだけでなく人との関わりについても多くのことを学んでいます。タトゥーからもらったものはとても多いと感じています。


『Dr.スランプ アラレちゃん』が由来に

「タトゥーが心の支えに」全身タトゥーの女性彫師が大切にする仕事の流儀。「今は入れないほうがいい」と伝えることも
アラレさんのInstagramより
ーー活動名である“アラレ”の由来について教えてください。

アラレさん:見習い時代に、師匠からいただいた名前が“アラレ”でした。彫師は見習いから正式な彫師になる過程で、彫師名をいただくことがあるんです。

アラレといえば『Dr.スランプ アラレちゃん』をイメージする方が多いと思います。明るく元気な性格で、見る人を楽しくさせるような存在というイメージがあるので、お気に入りの名前です。

ーーたしかに、アラレさんにはカラフルでかわいらしい『アラレちゃん』に通ずる雰囲気がありますよね。

アラレさん:カラフルなオーバーオールが好きなのもあって、元々アラレちゃんだったのかなってくらい違和感がない名前です。

SNSでは私の雰囲気や作品のイメージが伝わるように、髪型や服装で世界観を表現しています。

顔には“ティラノサウルス”と“逆トラバサミ”

「タトゥーが心の支えに」全身タトゥーの女性彫師が大切にする仕事の流儀。「今は入れないほうがいい」と伝えることも
左手の甲に自身で彫ったタトゥー。ピカソの「泣く女」がモチーフになっている
ーーご自身に彫られているタトゥーの中で、一番気に入っているものを教えていただけますか?

アラレさん:気に入ってるタトゥーは、自分に彫っているものすべてです。

私にとってタトゥーは、体のうえに乗っている絵を通り越して、自分自身っていう感じ。心とも切り離せない存在です。

ちなみに、首や足、お腹や腕、あとは顔にもタトゥーが入っています。足は基本的に自分の練習で使っています。

「タトゥーが心の支えに」全身タトゥーの女性彫師が大切にする仕事の流儀。「今は入れないほうがいい」と伝えることも
顔の左側には「ティラノサウルスの化石」が彫られている
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右頬には「逆トラバサミ」
ーーお顔にもタトゥーが入っていらっしゃいますが、なにをイメージされた絵柄でしょうか?

アラレさん:左側にはソウ(Saw)という映画に登場する『逆トラバサミ』を、右側にはティラノサウルスの化石を彫りました。


日常でインスピレーションを受けたものを自身に彫ることが多いです。

「今は入れないほうがいいと伝えること」も仕事

「タトゥーが心の支えに」全身タトゥーの女性彫師が大切にする仕事の流儀。「今は入れないほうがいい」と伝えることも
施術中のアラレさん
ーーお客さまへの施術を行うときに、大事にされているポイントはありますか。

アラレさん:3つあります。まず、タトゥーは体に残るものなので、それを踏まえてバランスを見たり、時間が経ってもきれいに残るデザインをご提案しています。

2つ目が、痛みの感じやすさにつながるので、お客さまの体調をこまめに確認すること。

3つ目は、タトゥーで後悔してほしくないので、カウンセリングの段階で「このまま進むと後悔してしまう」と感じたお客さまには、施術を見送るようお話する場合があります。

ーー3つ目の「後悔するかもしれないお客さま」とは、どのようなケースでしょうか。

アラレさん:たとえば、タトゥーを入れることについて「まだ迷いが大きい」「周囲の意見に気持ちが揺れている」と感じられる場合です。

心の整理がついていない状況で決めたタトゥーは、数年後に大きな後悔につながってしまう可能性があります。

彫師として私は「タトゥーを入れること」だけでなく「今は入れないほうがいいと伝えること」もまた、重要な仕事だと考えています。

ーータトゥーと向き合う姿勢に、強い責任感を感じます。

アラレさん:タトゥーは、人生に長く関わり続けるものです。その瞬間の勢いやノリだけで終わるものではなく、何年も、何十年もその人の生活や気持ちと一緒にあるものだからです。


だからこそ簡単に勧めるものでもないですし、しっかり考えてもらう時間が必要だと思います。

かわいくてポップなタトゥーにこだわりたい

「タトゥーが心の支えに」全身タトゥーの女性彫師が大切にする仕事の流儀。「今は入れないほうがいい」と伝えることも
実際に彫った作品
ーーアラレさんの作風はカラフルでかわいらしいスタイルが多く、元気が出ます!

アラレさん:元々サイケデリック系の絵がすごく好きで「色ってこんなにたくさん使って表現していいんだ」という感動が、現在のスタイルにつながっています。色を重ねれば重ねるほどバランスは難しくなりますが、好きなもののためなので日々の勉強は楽しいです。

ーーアラレさんにとって、タトゥーはズバりどういうものか教えていただけますか?

アラレさん:私にとってのタトゥーはお守りに近い存在で、ファッションとも少し違って心に近い感覚です。

なので、社会に浸透してる白黒のタトゥーや、かっこいいデザインだけではなく、心に寄り添えるような元気な色で、かわいくてポップなタトゥーにこだわっていきたいです。

ーー今後、新たにチャレンジしてみたいことがありましたら教えてください!

アラレさん:最近、来年からの3年間の目標を1ヶ月ごとに細かく分けて立てています。見た目はふわふわしているんですけど、計画があると安心するタイプで(笑)

一つひとつコツコツ積み上げて、かわいいタトゥーを世界中に広めていきたいです。

ーーこれからのアラレさんの活動を通じて、どんな方がタトゥーに親しめると思いますか?

アラレさん:SNSの影響でタトゥーとの距離が以前より近くなっている一方で、まだまだ厳しい意見もあるので「タトゥーが好きだけど、周りに反対されるからガマンしている」という人も少なくありません。

そういう人が「タトゥーが好きだから入れるね」って言えたり、言えなかったとしても、自分の好きなことを信じられるようなパワーを届けられたら嬉しいです。

もっと自由に、自分の「好き」を選べるような社会になっていけば嬉しいですね。私の発信が、好きを表現するきっかけになればいいなって思います。

<取材・文/松浦聡美 写真/本人提供>

【松浦さとみ】
韓国のじめっとしたアングラ情報を嗅ぎ回ることに生きがいを感じるライター。
新卒入社した会社を4年で辞め、コロナ禍で唯一国境が開かれていた韓国へ留学し、韓国の魅力に気づく。珍スポットやオタク文化、韓国のリアルを探るのが趣味。ギャルやゴスロリなどのサブカルチャーにも関心があり、日本文化の逆輸入現象は見逃せないテーマのひとつ。X:@bleu_perfume
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