そのブームの一翼を担う、観客参加型の大喜利が体験できるカフェが秋葉原にある「ボケルバ」だ。今回はボケルバの店長を務めているせんだい氏に、ブームの背景を伺った。
仕事帰りに大喜利を楽しみに来る会社員も。利用者の2割はヘビーユーザー
せんだい:元々は僕が個人で大喜利を行うイベントを主催していました。主に首都圏で、レンタルスペースなどを定期的に借りていました。コロナ禍になってイベントは一時中断していたのですが、ボードゲームカフェを運営していた会社から「大喜利のお店をやりませんか」と声をかけてもらったんです。そこから『ボケルバ』を2023年4月にオープンしました。
――ボケルバの利用はどのような形になるのでしょうか。
せんだい:時間帯や曜日で利用料は変わってくるのですが、基本料金にワンドリンクを注文していただいています。定額料金なので、スタートから終わりまでいられます。
せんだい:大喜利カフェを出す時に、OKがもらえた物件が秋葉原だったんです。周りにはコンカフェや変わったコンセプトの店もあるので、結果的にはよかった。意外とオフィス街とも近いので、仕事帰りに来る人も多いです。
――オープン当初は、どのようなお客さんが来ていましたか?
せんだい:最初は大喜利イベントに参加してくれていた人たちが、主にお客さんとして来てくれました。カフェと名乗っているので、「お茶を飲みにきました」という人もいます。基本的には、「大喜利をしに行くぞ」って来てくれている方がほとんどです。リピーターは利用者全体のだいたい5~6割くらい。そのなかの2割が週1、2回ほど通っているヘビーユーザーです。
――利用者はどのような年齢の方でしょうか。
せんだい:年代は幅広くて、上は60代、70代で下は小学生も来たりします。男女比は、男性の方が多かったのですが、今は女性も増えてきています。「紅白大喜利合戦」というイベントを企画してみたら、女性のエントリーの方が多かったです。
――普段の客層はどのような感じですか?
せんだい:平日夜は、スーツを着てくる人も多いです。大喜利が趣味というか、仕事終わりにダーツをしに行こうみたいなノリだと思います(笑)。芸人さんがふらっと遊びに来て参加することもあります。
せんだい:思ったよりもハードルが低かったって言われます。最初は「自分が出した回答がつまらなくて、スベったらどうしよう」って不安に感じている人が多い。でもみんなで大喜利を楽しむというスタンスで来ているので、周りも笑ってくれたりフォローしたりする。想像よりも、怖くはないと言われます。
――ステージに上がると、何度もお題に答えなければならないのですか。
せんだい:思いついたら挙手してもらえれば、スタッフが指名します。思いつかなかったら、ほかの人の回答を見たうえで、そこから発想を得てネタをかぶせることもできます。だいたいステージに5~6人ほど上がってもらって、お題に答えたらまた次のメンバーに代わるスタイル。たまにその場にいる人たちのなかで、面白かった人を選んでトーナメントをやったりもします。
――大喜利に参加をしていると、面白い回答ができるようになりますか。
せんだい:もちろん、大喜利は上達すると思います。よく大喜利はセンスって言われているので、生まれ持った才能みたいにとらえられたりします。でもセンスは磨くことができる。大喜利を重ねることで、面白い回答ができるようになっていく。だからリピーターの方も多いです。
大喜利の歴史は『一人ごっつ』。TikTokで大喜利がバズる
せんだい:松本人志さんの『一人ごっつ』(1996年~1997年放送)の放送が始まり、お題を見てホワイトボードで回答するスタイルをみんなが「面白い」と感じた。その頃から、素人参加型の大喜利イベントから始まりました。僕も大喜利を行うコミュニティに参加していて、自分でもイベントを開催するようになりました。2000年代になると『着信御礼!ケータイ大喜利』(2005年~2020年)という番組も始まって、ハガキ職人と呼ばれる人たちも出てきた。ネットで大喜利するのも盛り上がるようになっていました。
――ちなみに、大喜利と言うと『笑点』のようなオチを思い浮かべる人もいると思いますが、それらとの違いはありますか?
せんだい:世代によって大喜利のとらえかたも変わってきますね。『笑点』のように落語家さんが上手いことを言うみたいなボケもあります。でも最近の大喜利ブームは、放送作家の倉本美津留さんが開発したと言われるフリップ大喜利がメインです。フリップ大喜利とは、手持ちサイズのホワイトボードに書かれた文字やイラストで面白い回答を披露するやり方です。
せんだい:ここ数年の大喜利ブームに影響を及ぼしているのはYouTubeチャンネル『大喜る人たち〈大喜利動画〉』ですね。ネタを切り取ったショート動画も話題です。今ではお店のお客さんのなかには『IPPONグランプリ』を知らない世代もいます。
――TikTokのようにコンテンツが短くなっているのも関係しているのでしょうか。
せんだい:大喜利が流行った背景には、コンテンツの消費時間が短くなったのも関係していると思います。TikTokで「40秒でショートコントをやってください」っていうネタチャレンジがあるんです。大喜利だと、お題が出て回答を出すので数十秒で完結できる。そういう流行にも合っているんです。
――これまでテレビで芸人が行っていた大喜利が、YouTubeでより身近になったのでしょうか。
せんだい:そうですね。今までの大喜利は有名芸人たちが回答者だったので、距離感があった。でもYouTubeは、まだブレイクしていない芸人やアマチュアが参加している。そこに親近感を抱いて、「一般人も大喜利もやっていいんだ」っていう感覚につながったのだと思います。あと大学サークルのお笑いブームも影響があります。実際に大喜利に来るお客さんのなかには、お笑いをやっている大学生も多いです。
――プロになる方法が変わったのでしょうね。
せんだい:昔は師匠がいて修行をしないと出られないみたいなところから、今度はオーディションで受かった人がテレビに出られるようになった。そして養成所でレッスンをした芸人たちが出てきて、今は社会人や大学サークル出身の芸人も増えた。大喜利が流行っているのも、どんどんお笑いが身近になってきたっていうのもありますね。大喜利カフェにいる人たちも、普段は会社員をしている一般人がほとんど。でもそのなかから、どんどん外部のライブにも出始めた人もいる。そういう流れが来ていると思います。
――一般人だった人たちが、どのようなモチベーションで大喜利にハマっていくのか気になります。
せんだい:やっぱり「面白い」って言われたいんじゃないですか。芸人ではなくても、自分が言ったことで誰かに笑ってもらいたいって本能的に思っている人も多い。そういう人たちが集まって、大喜利をしているんじゃないですかね。
――よく芸人さんがお笑いを辞められない理由として「ネタがウケた時が忘れられないから」って言いますね。
せんだい:たとえば、プロ野球選手や相撲取りに素人が勝てるかっていうと、絶対無理じゃないですか。でも大喜利だったら、「次はもしかしたら勝てるかもしれない」っていう期待が持てる。「明日、人生最大の大爆笑が起きて、優勝するかもしれない」っていうモチベーションで、大喜利を続けているのかもしれないです。
大喜利は男女の出会いの場としても最適
せんだい:最近、多いみたいなんですよ。大喜利コミュニティで出会って結婚したみたいな話が。たとえば、タッグ戦だとペアでエントリーしなければならない。そうすると「誰々さんと組もう」とコミュニケーションが生まれて盛り上がることもあります。
――大喜利が出会いの場にもなるのですね。
せんだい:大喜利って、意外と自分の価値観や考え方も提示するみたいな要素があるんです。いわゆる笑いのツボを把握できる。パートナーを選ぶうえで、「こういう部分を面白がるんだ」っていうのが合うのは、気が合うってことに繋がっているんですね。大喜利って、終わった後に参加者たちが残って「あの回答は良かった」って面白かったことを言いあったりする。たとえば、異性から「〇〇さんって面白いですよね」って言われたら、そこから恋愛に発展することはあるのかもしれないですね。
――確かに、芸人さんがモテるっていうのに通じるものがありますね。
せんだい:そういう意味で、「この人と過ごせて楽しい」っていう雰囲気を出せるのかは重要だと思いますね。
――では最後に、大喜利ブームがどのように広がっていくと思いますか?
せんだい:今後の可能性の広がりとしては、お笑い芸人みたいに、大喜利だけを専門にやる大喜利プレイヤーの誕生を期待しています。お笑い芸人とはべつで、社会的に「大喜利プレイヤー」というポジションを認められたい。将来的に「大喜利プレイヤーで飯を食っています」って人が現れる世の中になったら面白いって思っています。そのためにも、彼らの将来を担う場所として続けていきたいです。
<取材・文/池守りぜね、取材協力/ボケルバ>
【池守りぜね】
出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。X(旧Twitter):@rizeneration
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