―[ゼロ恋愛 ~経験値ゼロから学ぶ恋愛講座~/堺屋大地]―

 こんにちは、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの堺屋大地です。
 筆者はLINE公式サービスにて計1万件以上のチャット恋愛相談を受けてきました。
また知人経由で対面の相談を受けることも多く、性別・年齢問わずさまざまな方の恋のお悩みをうかがい、知見を深めているのです。

 2020年国勢調査によれば、日本人の「生涯未婚率」(50歳時の未婚割合)は年々上昇しており、女性は17.8%、男性に至っては28.3%にも及びます。そんななかで、恋愛がうまくいかないという方々にも筆者の知見が少しでも役に立てばなによりです。

※この記事は本人の許可を得て掲載しています。ただし、プライバシー保護のため実際のエピソードから一部変更しています。

「僕の恋心は“迷惑行為”なんでしょうか」29歳女性にアプロー...の画像はこちら >>

12歳年下の「29歳女性」の恋人がいる「41歳男性」

 今回お話を伺うのは水野隆文さん(仮名・男性・41歳)。水野さんには12歳年下の恋人がいるそうですが、その彼女と付き合うまで「おぢアタック」という言葉に翻弄されていたんだとか。

 おぢアタックとは35歳以上の男性が8歳以上年下の女性に恋愛感情を抱き、口説き落とせるかもしれない、付き合えるかもしれないと勘違いしてアプローチする行為のことです。

「現在29歳の彼女とは職場の先輩・後輩という関係性でした。僕は数年前から彼女のことを好きだったので、食事や飲みに誘って少しずつ距離を縮めていたんです。

 でも、周囲から見ると僕の言動はわかりやすかったようで、年下の同僚や女性の同僚から、『一回りも年下を狙うのやめてくださいよ(笑)』とか、『向こうからしたら迷惑でしょ(笑)』とか、さんざんからかわれていたんですよね」(水野さん)

 同僚たちからおぢアタックという言葉で釘を刺されたことはなかったそうですが、同時期にネットで流行っていたおぢアタックという言葉を知った水野さん。

「自分の恋心は迷惑行為に該当するのか…?」と愕然としたそうです。

「おぢアタック」という言葉を知り、あきらめていた

 心が折れてしまった水野さんは彼女と付き合うことはあきらめて、自分から恋愛的アプローチをするのをやめていたとのこと。

「ただ、その後、彼女のほうからよく飲みに誘ってくれるようになって、向こうが好意を示してくれたので、けっきょく付き合えることになったんです。
もちろんすごく嬉しかったし、今はすごく幸せです。だけど手放しで喜べないというか、引っかかることがあって……。

 僕に『やめなよ』『迷惑だよ』と言っていた同僚たちは、彼女の行動を微笑ましく見守っていたり、なかには背中を押して応援したりする人もいたようなんです。

 周囲の人たちが温かく見守ったり応援してくれたりしたから、彼女は勇気が出せて僕を誘えたのかもしれませんが、同僚たちは僕のときとは態度が真逆だったわけです。

 それってセクシズムやエイジズムだったんじゃないのってモヤモヤしています」(水野さん)

“おじさんは叩いてOK”の「おじさん差別」が蔓延

 セクシズムとは性別にもとづく差別や偏見、エイジズムとは年齢にもとづく差別や偏見を表した言葉です。

 たしかに水野さんが不快感を抱いたり傷心したりしていたのであれば、同僚たちの言動はジェンダーハラスメントやエイジハラスメントと言えるのかもしれません。

 いずれにしてもおぢアタックは迷惑行為認定されているのに、若い女性から中年男性に恋愛的アプローチをする「逆おぢアタック」は応援されるという現象に、水野さんは強く違和感を抱いた模様。

 そもそも日本では平成時代から中年男性軽視の風潮があり、“おじさんは叩いてOK”という暗黙の了解が蔓延しているという問題がありました。いわゆる「おじさん差別」です。

 ただ、おぢアタックに関しては、中年男性にしつこく口説かれて心底迷惑している若い女性もいるのでしょうし、なかにはそれが原因でメンタル不調に陥っている若い女性もいるかもしれません。

 ボディタッチや性的発言といったセクハラに発展してしまっているケースや、社内の男性上司・女性部下であればパワハラに該当するようなケースもあるのでしょう。

 実際に、年上の中年男性に口説かれてつらい思いをしている若い女性がたくさんいるからこそ、おぢアタックという造語が生まれ、知れ渡るようになったのは想像に難くありません。

思考停止して迷惑行為だと決めつけないでほしい

 一方で41歳の水野さんと29歳の彼女のような事例があるのも事実。


 水野さんのケースは年下女性からアプローチしてくれたから付き合えたものの、そうでなければおぢアタックという概念や言葉のせいで、両想いの男女が付き合えないという残念な結末を迎えていた可能性も充分あるわけです。

 おぢアタックという言葉が生まれた理由を考えれば、中年男性から口説かれ精神的苦痛を味わってきた若い女性が多いという背景があることは透けて見えます。

 しかしおぢアタックという言葉は、セクシズムからのジェンダーハラスメントや、エイジズムからのエイジハラスメントの問題をはらんでいるのも見逃せません。

「正直、“35歳以上の男性が8歳以上年下の女性を口説くこと”を、安直に迷惑行為だと認定するのはやめてほしい。周囲の人たちは、思考停止でおぢアタックという言葉でひとくくりにせずに、個別にその2人の関係性をきちんと見たうえで、それぞれ個々のケースとして判断してもらいたいですね」(水野さん)

 さまざまな問題をはらんだ「おぢアタック」という概念。今年もその是非について議論をしていく必要があるのかもしれません。

<文/堺屋大地>

―[ゼロ恋愛 ~経験値ゼロから学ぶ恋愛講座~/堺屋大地]―

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。本連載意外に『SmartFLASH』(光文社)でドラマコラム連載、『コクハク』(日刊現代)で芸能コラム連載。そのほか『文春オンライン』(文藝春秋)、『現代ビジネス』(講談社)、『集英社オンライン』(集英社)、『週刊女性PRIME』(主婦と生活社)、『女子SPA!』(扶桑社)などにコラム寄稿。LINE公式のチャット相談サービスにて、計1万件以上の恋愛相談を受けている。公式SNS(X)は@SakaiyaDaichi
編集部おすすめ