―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]―

就職氷河期世代はこれまでの人生においてさまざまな困難を乗り越えてきたわけだが、40-50代になって迎える新たな難問が「定年後」だ。人生後半も過酷な彼らは、いかに生き抜いていくべきか? 同世代のひろゆき氏が考える。

ひろゆきが考える定年後「70歳になってもコンビニで働くより、...の画像はこちら >>

「老後も働く」前提より「働かず生き延びられる」を目指すほうが現実的

 定年後も働くのが当たり前、みたいな話をよく聞きます。ただ、個人的な見解として、定年後も働く状況を前提にするのは、社会設計としてよくないと思っています。

 年金受給の高齢者が時給1200円で働く社会では、現役世代も時給1200円で働くことになります。しかも、高齢者は「時給+年金」で暮らせても、現役世代は時給だけで生活をして社会保険料も払い、高齢者を支えることになります。結果、家庭をつくれない人が増えて少子化も進み、よけいに財政が厳しくなって高齢者への保障も減る……という状況になるわけです。

 ただ、そうでなくても定年後に働くことを念頭に置くのはやめたほうがいい。というのも、「年金だけでは暮らせないから、定年後も働く」という前提で人生設計をしてしまうと、いつかは破綻する可能性が高いからです。

 定年退職をして70歳になってもコンビニやファストフード店などで働くことはできるとは思います。ただ、そうやって働けているうちはいいのですが、それを生活資金に充てているなら自転車操業状態。体力が落ちて働けなくなった瞬間、生活が維持できなくなってしまうのですね。

 そもそも「定年」という言葉は、退職だけではなく、働けなくなるという意味合いを持つ言葉だったりします。なので、「働き続ける前提」で考えるより、働けなくなったときにどう生きるかを基準にしたほうが現実的なのですね。

 働かないのであれば、生活コストがかかる便利な場所に住み続ける理由はほぼゼロ。
とはいえ、車がないと生活できないような場所は厳しいので、ある程度都市機能が残っていて、生活コストが低いところ。福岡、札幌、熊本、仙台あたりのアパートに住む、という選択肢がいいのではないかと思うのです。

 引っ越しも、体力があるうちじゃないとやる気が出ないので、定年した直後くらいのタイミングで動く、という感覚がいいと思います。

税収の大きい自治体は、手厚い支援が旨み

 他に気をつけるとしたら、「地方だし30年住めば家賃を払うよりお得」みたいな考えで一軒家を買わないこと。修繕費がかさんでマイナスになることもあります。場所によっては資産価値がゼロになりますし、老後で動けないのに雪かきが必要になる“詰みパターン”もあり得ます。

 それでも生活費が足りないのであれば、生活保護に切り替える、という選択もあります。その際には、税収の大きな自治体を狙うと手厚い支援が受けられる可能性が高いです。例えば、東京の港区は区民一人あたりの税収が多いこともあり、低所得世帯だと帝国ホテルの缶詰ギフトがもらえた時期もありました。

 年金をもらいながら無理に働くより、「働かない前提」で社会に養ってもらう方向に振りきったほうが、結果的に人生を楽しめる人もいると思うんですよね。働けなくなったら終わり、という人生より、働けなくなっても生き延びられるほうが、たぶん気が楽。お金を稼ぐことより、お金を使わない生活をつくったほうが、人生は安定するのですよ。


構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)

―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]―

【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!で10年以上連載を担当。新刊『賢い人が自然とやっている ズルい言いまわし』
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