※抜粋書籍/『医療奴隷』
●医師はいつから学力勝負に?
アロパシー医学が台頭する前の時代では、ホメオパシー医学やカイロプラクティックは、アメリカで非常に優秀な成績を残していました。しかし、その利権が欲しい人たちにしてみれば、健康の分野で優秀な成績を残すということは、お金の流れを失うということにつながります。そこでいまから100年以上前、アロパシー派は、徹底的にホメオパシー派を弾圧するという暴挙に出ました。その攻撃は、カイロプラクティックの医師にまで及んだのです。
こうして世界がアロパシー医学に席巻されてから、時代の動きに伴い、医師の性質も大きく変わってしまいました。
学力だけあるような人が、医師になれる時代が訪れたのです。
いまでは当たり前のようになっていますが、もともとは学力だけが高くても医師になることはできませんでした。むしろ、慈愛や神との契約など、人格的に優れた人こそが医師になっていたのです。
●勉強のできる医師はこうして作られた
この仕組みがどのようにして変化していったのか、簡単に説明しましょう。まず、薬は化学によって作られます。そのため当然ですが、化学を勉強していないと、薬物を取り扱うのは危険だと考えられるようになりました。
そして次に、数学を学ぶ必要が出てきます。
これは「疫学」という学問にも通じます。たとえば、東京都中央区にどういう病気の人がいるかを調べたとしましょう。
統計を取ったら、〇〇という病気が多く、そのなかでも男性はこういう症状、女性はこういう症状になるという傾向があったとします。
ほかにも20代はこう、30代はこう……と、さまざまなデータが取れたところで、これを中国の長春市と比較してどうか、あるいはニューヨーク市と比較してどうか、ということをやっていきます。
そうして統計学的に東京都中央区では有意に○○という病気が多いとわかると、「こういう薬を出せば治るのではないか」とか「○○という病気にならないためには、こういうワクチンを打てばいいのではないか」などと展開していくことができます。
よって、薬理学のためには化学が必要ですし、疫学のためには数学が必要になってくると言えます。
●ゲームの勝者に高額の報酬が支払われるようなシステム
最後にもうひとつ、英語を忘れてはなりません。治療法の特許を取るためには、英語で論文を書く必要があるからです。こうして、勉強がひと通りよくできる、頭のすごくいい人たちを医師にするように、ルールが変わっていきました。
皆さんも、高校や大学に入学するために受験勉強をしたと思います。あれは何かというと、ゲームのようなものです。
日本はもともと、こんな勉強の仕方をしていませんでした。
寺子屋で、大学受験をするために勉強していたのでしょうか? 読み書きそろばんという実学と、それから生きるうえで必要な、道徳や倫理といったものを学んでいたのではなかったでしょうか。また当然、剣道のような武道も学んでいました。これは魂の鍛錬と言えるでしょう。
そんな生活がいつの間にか、医師という地位やお金持ちになるために競争するというルールに支配されてしまったのです。
ゲームの勝者に高額の報酬が支払われるようなシステムに社会を設計し、医師はお金持ちの代表格のような職業になっていきました。
【吉野敏明】
1967年生まれ。神奈川県横浜市出身。1993年岡山大学歯学部卒業、歯学博士。日本歯周病学会歯周病専門医・指導医。精神科病院理事長、一般病院理事長を歴任。
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