全国からサウナーが通う人気施設
銭湯の数は50年前の10分の1以下となる1562軒にまで激減。業界全体が「落ちぶれ」の象徴のように語られるなか、東京・山谷で創業80年を迎える「湯どんぶり栄湯」は、全国からサウナーが通う人気施設へと変貌を遂げている。3代目・梅田清治郎氏は、どのようにしてこの銭湯を蘇らせたのか。「2代目の父が体調を崩したのを機に28歳のときに代替わりしました。その時点では毎日しっかりお客さんも来ていて『めちゃくちゃヤバい』という状況ではなかったです。ただ、継いだ当初のお客さんは60代以上が7~8割。『この人たちがいなくなったら、大丈夫かな』っていう危機感は正直ありました」
そこで、将来への予防策を早い段階から打ち始めた。
「駅から近いわけじゃない“町の銭湯”なので、若い層に届けるために、’15年ぐらいからSNSを本格的に始めたんです。今ではXのフォロワーは1万人超え。無料で発信できるのは、本当に武器ですね」
大事にしているのは自分目線
梅田氏がまず大事にしているのは、自分目線だ。「もともとサーフィンやスノーボードで日本中、海外も含めていろんな風呂やサウナに入ってきたんです。
栄湯は銭湯としては異例なほど設備投資に力を入れている。今の目玉は’24年にオープンした薪サウナだ。
「自分自身が薪の香りや音が大好きで『これは入れたい』と。とはいえ、常設の7人用サウナを一から造ると1000万円でも足りない。ウチが導入したのはトレーラー型の薪サウナで、駐車場から“ドッキングするだけ”なんです。工事が要らない分、コストは半分ぐらいで済みました」
お客さんの声も重視
「銭湯って、ただ湯船を沸かしておけばいいわけじゃない。お客さんの動線とか、どこが混むかとかも大事。『ここに物置あったらいいよね』『サウナハット掛ける場所が欲しい』って言われたら、すぐつけます」
現在の経営状況は…
一方で、「『湯どんぶり』って名前の通り、経営は結構どんぶり勘定」と笑う梅田氏。「そもそも継いだときに“いい状態”“悪い状態”っていう基準もよくわかってなかったので、横ばいからちょっとずつ上げていくイメージでやってきました。数字を細かく追うより、『また行きたい』って思ってもらえるかどうかが一番大事だと思っています」
業界全体が縮小し廃業が相次ぐなかでも、逆風を追い風に変え続けている「湯どんぶり栄湯」。縮む業界を生き延びる多くの“残留組”にとって希望の光となり得るか。
※週刊SPA!1月27日号より
取材・文/週刊SPA!編集部
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