再びshelaさんに注目が集まったのは、2021年10月。インターネット掲示板に「元avex歌手だけど質問ある?」というスレッドが立ち上がると、世間は「shelaではないか」とざわつき始めた。もちろんこれは真っ赤な偽物。だが2022年、彼女が自身のYouTubeチャンネルを立ち上げると、MVが100万回再生されるなど、改めてその根強い人気を印象づけた。本人を直撃し、今後の音楽活動の展望を聞いた。
「偽物」に怒りなし。10年の空白を埋めた掲示板の熱量
――2021年にご自身の偽物が出現した騒動について、ご本人であるshelaさんはどのようにご覧になっていましたか。shela:私自身は、掲示板の存在を人づてに聞いて拝見しました。当時、最後のシングル曲『Crystal』を出してからすでに10年以上出していましたので、盛り上がっている掲示板を見て、率直に「私のことをまだ覚えている人がたくさんいるんだ」と驚きました。偽物さんに対する怒りの感情はまるでなかったですね。それよりも、いかにも私が言いそうなことを言っているあたり、「よく調べてあるなぁ」なんて思ってしまいました。
――掲示板が現れて1年弱で、ご自身のYouTubeチャンネルを立ち上げられますよね。
shela:そうなんです。きっかけは知人から「『歌ってみた動画』をあげたら、見てくれる人いるんじゃないの?」と言われて。でも、当初はぜんぜん乗り気ではなかったんです。掲示板で盛り上がっているのには驚きましたが、最後のシングル曲からだいぶ月日が経っていますから。
悩み抜いた結果、今でも「復活してほしい」と待ってくれているファンの方に恩返しをしようと思って、動画を撮り始めたんです。最初は「チャンネル登録者数も100人いればいいなぁ」と思っていました。新たなファンを獲得しようとは考えていなくて、当時のファンの人たちが喜んでくれたら、私の感謝の気持を伝えられるかなと思ったんです。
もしあのころにSNSがあったら…
――2022年に「歌ってみた」動画をあげたとき、かなりの速さでコメントが書き込まれていきましたよね。リアルタイムで見ていたので覚えています。shela:本当にありがたいことだと思っています。ご自身の青春時代と重ねて、また聴いてくださっている方が多く、コメントは本当に涙を流しながら読みましたね。
――コメントを読んで、どのようなことを考えましたか。
shela:曲をリリースしていた当時には知ることのできなかった思いがたくさん書かれていて、本当に嬉しく思いました。反面、少しの後悔もありました。というのは、当時、ファンの方からのリアクションというのは非常に限られていたんですよ。たとえば、お手紙をいただいたり、ラジオの公開収録に来てもらったりなど、直接顔を合わせる機会はそう多くなかったと思います。だからファンの方たちが何を感じてくれたのかを知るチャンスが少なかったと思います。現在のように、SNSが発達していたら、また違った歌詞が書けたかもしれないですよね。
「いずれ戻れるほど甘くない」音楽業界から離れた真意
shela:2009年には初の舞台を踏ませていただきました。役柄は歌手だったのですが、最初は「自分にできるのだろうか」と不安でした。けれども、そこで出会った俳優さんたちに支えていただき、無事に千秋楽を迎えることができました。改めて表現することの醍醐味を味わったように思います。その後は、子育てですね。
――いずれは音楽活動に戻ろうという意志はあったのでしょうか。
shela:いえ、「いずれ戻ろう」で戻れるほど甘い世界ではないのは知っていますし、そういった考えはなかったですね。目の前の子どもを育てることに集中していました。だから、偽物さんが現れて、知人がYouTubeチャンネルを立ち上げようという流れは、まったく予想していませんでした。
――今後の歌手としてのご活動の展望をお聞かせください。
shela:ありがたいことに、当時からのファンで、「ぜひ復活してほしい」という強い熱量を持っている人がたくさんいてくれます。なかには昔お邪魔した学園祭ライブを最前列で聴いてくれていた人もいて、その人たちがいろいろなイベントの実現に向けて動いてくれているんです。
直近で決まっているものとしては、3月1日に赤羽で行われるワンマンライブがあります。また、上野で6月に行われるフェスにも参加が予定されています。こうしてファンの方から求めていただき、歌う場を与えていただけることが非常にありがたいと感じています。
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shelaさんがたどり着いた、人への感謝という境地。たとえ10年以上の空白があろうとも、ファンから真に愛された歌い手は再びステージに呼ばれる。若さで駆け抜けた躍動感のある”20世紀最後の大型新人”が、21世紀に魅せるパフォーマンスに注目したい。
<取材・文/黒島暁生>
shela
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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