特殊清掃の仕事をしていると、住人が逮捕されてしまった部屋や、夜逃げしてしまった部屋の清掃依頼に遭遇することが多々あるという。
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、詳しい話を聞いた。


大手企業に勤める“ゴミ屋敷”の住人

盗撮で逮捕された“大手企業社員”の部屋はゴミ屋敷…特殊清掃に...の画像はこちら >>
事件で住人が逮捕された後の部屋を清掃する仕事が入ることもあるという。

「盗撮で逮捕された人の家の後片付けをしたことがあります。二次元系のアニメのフィギュアがたくさん置いてあって、ゴミが溜まっていて床が見えないような状況の部屋でした。足の踏み場もなく、尿が溜まったペットボトルも散乱していて、完全にセルフネグレクトのような状態。ブルーレイデッキがなぜか6個置いてあって、モニターも複数あり、同時に録画と再生ができるような仕組みになっていました」

一度目の逮捕であれば、即実刑ということはないのだが、執行猶予中の2回目の逮捕だったようで実刑判決を受けたようだ。

「不動産屋から依頼が来て、強制的に引き払うとのことでした。費用は連帯保証人だった親が支払ったようです。片付けの流れとしては、夜逃げした現場と同じです。でも今回は連帯保証人がいたので、貴重品とか身分に関わるものは引き取ってもらいました。

フィギュアなどのコレクションをどうするかの相談をしたところ、『全て捨ててください』とのことだったので、こちらで処分させてもらいました。元住人が刑務所から出てきた時には何もかもなくなっているので、相当ショックを受けると思います」

仕事はできそうなのに、掃除ができなくなってしまうワケ

盗撮動画や写真が入ったデータのようなものは証拠品として全て警察に押収されていた。

「盗撮自体が趣味だったのか仕事だったのかはわかりません。出てきた資料から察するに、誰もが知る大手企業に勤めている人でした。でも掃除が全くできない人だったようで、ひたすら消費だけして、ゴミを捨てることができない感じでしたね。
コンビニで買ってきた弁当がそのまま捨てられずに腐っていたり。ただ単に、物を買ったりして消費をすることだけで生活をしていたような部屋でした」

大手企業に勤めるような人がなぜ、そんなひどい暮らしをしてしまうのか。

「清掃中に出てきた資料によると不規則な時間帯で働いてる形跡がありました。出張が多かったり夜間の仕事が多かったり、相当ストレスが溜まっていたんでしょうね。ゴミ屋敷の人はなぜか自分の尿をトイレではなくペットボトルに入れるんですよね。大手企業に勤められるような、きちんとした人でもセルフネグレクトになってしまうと、全てどうでも良くなってしまうのでしょうね」

金銭的に余裕があったからなのか、集めているコレクションも目を引くようなものだった。

「中には価値のありそうなフィギュアもあったのですが、依頼主からは『全て処分してくれ』とのことだったので、ひたすらゴミ袋に詰める作業をしました。本来ならば全て競売にかけてお金になったら、依頼主様にお返しするという形なのですが。捨てたことにして勝手に転売するような業者も中にはあると思いますが、トラブルに繋がりかねないのでうちは絶対やりません」

住人が夜逃げした部屋の後処理は…

定期的に夜逃げの後処理の依頼もくるという。

「弁護士が絡んでいる案件だからだと思うのですが、依頼が何件も同時に来ることが多いです。基本的に住人とは音信不通で、必要最低限の金目のものとかだけがなくなってることがほとんです。たまに、財布が残ってる時があるんですが、その場合は“もしかしてさらわれたのかな?”と勘繰ってしまいます。
夜逃げの現場の場合、連帯保証人をつけていないケースが多く、清掃費用は保証会社負担になってますね。まれに何十年も住んでいた人の夜逃げ現場に遭遇することがあるのですが、その場合、連帯保証人も連絡がつかず、保証会社にも入っていないため、不動産屋が清掃費用を負担することになります」

連帯保証人がいなくても、親族の連絡先がわかれば退去費用を請求することもあるという。

「一応、親族に『費用を負担してもらえませんか?』と相談はしてみるものの、『うちは関係ありません』と言われたらもう請求できないので、泣き寝入りすることになります。今回は、住人が帰ってこないケースの清掃でしたが、中には逮捕された後に戻ってくる予定がある家の清掃依頼もありました。最初は退去するはずだったのですが、突然戻ってくることになり、現地調査のみでまだ手をつけられてない現場もあります」

そもそも夜逃げをしそうな人には貸さないよう、審査を厳しくしている不動産屋も存在する。

「夜逃げをしそうな人を見極めるポイントとしては、免許証の失効回数を見ます。免許証の下一桁が紛失や盗難による再発行の回数なのですが、数が多いほど私生活がしっかりしていない証明にもなるので、5回とか6回とか紛失してる人は審査に落としたりしているそうです。

また、引越しを繰り返している人は審査を厳しくしている会社もあるようです。“この人は近隣住民とのトラブルが多発している人なのかもしれない”と想像ができる場合は、審査を落とす場合もあるそうです。ちょっとした私生活の癖というものを見直さないと、審査に通りにくくなることもあるので注意しましょう」

<取材・文/山崎尚哉>

【特殊清掃王すーさん】
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。
これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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