東京都内で日本酒ブランド「UNO」を手がける和田桃さん。元No.1キャバ嬢の和田さんが、日本酒造りの第一歩を踏み出したのは、約3年前。
当時、日本酒の知識はほぼゼロだったが、「自分のお酒を造りたい」という思いだけで、石川県の酒蔵に電話をかけた。
数百年の歴史を持つ酒蔵に、素人がいきなり飛び込む——。常識で考えれば無謀な挑戦だが、「常識のなさが強み」と語る和田さんの熱意が通じ、日本酒造りに携わることに。

現在は石川県と長野県の2つの酒蔵で4種類の日本酒を製造し、2026年からアメリカ・カリフォルニア州での販売も始まる。知識ゼロでのスタートから3年。日本酒業界に新風を吹き込む女性起業家の軌跡を追った。(記事は全2回の2回目)

蔵元を動かした、業界の常識に縛られない行動と熱意

「何を言われても凹まない」元No.1キャバ嬢が知識ゼロから日...の画像はこちら >>
——日本酒造りを始めたきっかけを教えてください。

和田桃:以前、キャバ嬢をやっていたのですが、コロナ禍でキャバ嬢を続けられなくなったんです。そんな中、「自分らしい仕事をしたい」とライブ配信を始めました。ライブ配信をするうちに、リスナーさんと一緒にオリジナルのお酒で乾杯できたら楽しいなと思ったんです。

もともと日本酒は大好きだったんですけど、全然詳しくなくて。「好きだから作ってみたい」という、本当にそれだけでした。

——知識と経験がない中で、どのように日本酒造りを始めたのでしょうか。


和田桃:実は、いきなり石川県で数百年続いている酒蔵に電話をかけたんです。もちろん、最初は門前払いでした。でも諦めずに何度か電話をしたら、たまたま近くにいらした社長が電話にでてくださって。そこで思いを伝えたら、「協力するよ」と言ってくださったんです。

——歴史ある酒蔵に素人が飛び込むのは、かなり勇気がいりますよね。

和田桃:そうですね。でも、良くも悪くもあまり常識がないので(笑)。しつこくできてしまったというか、何を言われても割と平気なんです。メンタルが強めというより、何も考えていないに近いんですけど。

「今では応援していただいている」蔵元との関係

「何を言われても凹まない」元No.1キャバ嬢が知識ゼロから日本酒造りに挑戦。蔵元を動かした“常識のなさ"という武器
日本酒造りをする和田さん
——石川県だけでなく長野県の酒蔵でも、日本酒を造っていると伺いました。

和田桃:長野県の酒蔵とは、日本酒の試飲会で出合いました。私のホームページを見ていただいて、「ぜひうちで日本酒を造りませんか」と言ってくださったんです。長野では、実際に酒蔵に入らせていただいています。


——どのような関係性ですか。

和田桃:もう、何から何までお世話になっていますね。酒造りに関しても、初心者だった私に時間をかけて知識を教えていただいて。ほかの酒蔵さんも紹介いただいたり、アメリカへの輸出に関してもたくさんアドバイスをいただいています。

私も、「蔵開き」という新酒を発表するイベントは、長野まで行ってお手伝いをさせてもらっています。

——気難しい職人気質の方が多いイメージですが、心を開いてもらうコツは?

和田桃:リスペクトを持って接することですね。皆さん、本当に誇りを持ってお酒を造っていらっしゃるので、失礼のないようにというのは意識しています。あとは、誠実に向き合うこと。それだけだと思います。

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和田さんの前職は、キャバクラ嬢。在籍した3店舗すべてでNo.1を獲得した実績を持つ。その前は営業事務として5年間勤務。
人と向き合い、信頼関係を築いてきた経験が、酒蔵との交渉でも活きた。

猫をきっかけに認知を広げる戦略

「何を言われても凹まない」元No.1キャバ嬢が知識ゼロから日本酒造りに挑戦。蔵元を動かした“常識のなさ"という武器
株式会社UNOで和田さんが手がける日本酒
——和田さんが手がける日本酒は、ラベルに猫のイラストが描かれていますね。

和田桃:保護猫3匹と暮らしていて、実は日本酒の名前は、うちの猫の名前からとっているんです。ラベルのデザインもうちの猫たちをイメージしていて。保護猫を飼っている関係で、売上の一部を保護猫支援団体に寄付しています。

猫をきっかけに、うちの日本酒を知ってくださる方もいらして。

——猫好きの方が、日本酒を買ってくれるんですね。

和田桃:日本酒の知識がある方からすると、私のやり方が邪道かもしれないという自覚はあります。同じフィールドで戦っても、多くの名だたる日本酒には勝てない。だから、猫がきっかけだったり、私自身に興味を持ってもらったりというところから認知を広げるのもありかなと考えています。

知識ゼロから3年。「まだまだ挑戦し続けたい」

「何を言われても凹まない」元No.1キャバ嬢が知識ゼロから日本酒造りに挑戦。蔵元を動かした“常識のなさ"という武器
株式会社UNO代表取締役社長 和田さん
和田さんは輸出酒類卸売業免許を取得し、経産省傘下のJETRO(日本貿易振興機構)の支援を受けて、これまで10か国以上でサンプルショーに出展。2025年春にはシンガポールと台湾で卸取引を開始し、2026年にはアメリカ・カリフォルニア州での販売も始まる。


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——海外展開にも力を入れているそうですね。

和田桃:日本国内の酒屋さんに、うちの日本酒が並んでいてもなかなか手にとっていただけないと思うんです。でも、海外に輸出している日本酒はまだ少なくて。なので、海外でUNOの日本酒の知名度を上げて、日本に帰ってくるというのを目標にしています。

「何を言われても凹まない」元No.1キャバ嬢が知識ゼロから日本酒造りに挑戦。蔵元を動かした“常識のなさ"という武器
日本酒造りをする和田さん
——今後の展望を教えてください。

和田桃:最終的には、自分の酒蔵を持ちたいと考えています。あとは、日本酒造りだけでなく、日本酒や日本ワインを輸出する事業もやりたいです。日本の酒蔵やワイナリーって、海外進出に消極的なところが多いので、そこを手伝えたら嬉しいなと。

——まだまだやりたいことが。

和田桃:はい。試行錯誤を続けながら、自分なりの道を探していきたいです。
 
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「何を言われても凹まない」。
和田さんは、知識や常識がなかったとしても、人と誠実に向き合い、諦めずに挑戦し続ける。その姿勢が、蔵元たちを動かし、応援したくなる存在へと変えていった。

業界の常識に縛られない「素人」だからこそ、自由な発想が生まれ、海外市場という新たな道が開けた。知識ゼロでのスタートから3年。和田さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

<取材・文・撮影(インタビュー風景)/オオサキサオリ>

【オオサキサオリ】
ライター、JSA認定ソムリエ。前職では都内の外資系ホテルでソムリエとして勤務。レストランにて著名人・芸能人・富裕層などを接客した経験を持つ。現在はホテル、飲食ジャンルを中心に執筆活動を展開中。X(旧Twitter):@writer_sosk
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