元メガバンク行員の金融ライター、渡辺智です。
筆者はメガバンクに11年間勤めた経験があり、FP1級の知識を活かして5000人以上のお金に関するコンサルを行ってきました。


年収3000万円、金融資産は1億円超。誰もが「もう一生安泰だろう」と思うような顧客がいました。

元メガバンク行員として私は、そんな成功者を何人も見てきました。

しかし現実は、お金が増えたからこそ崩れていく人生も少なくありません。交際費、見栄、女関係、そして止まらなくなる欲。今回は、銀行では決して語られない、お金持ちほどハマる落とし穴の話です。

年収3000万円、金融資産1億円。それでも不安が消えなかった理由

「年収3000万円、資産1億円」一生安泰に見えた金持ちの悲し...の画像はこちら >>
私が銀行員時代に担当していた顧客の山田さん(仮名)は、年収3000万円、金融資産は1億円。

正直、銀行員の目から見ても文句のつけようもありません。

都内に持ち家があり、ローンは完済。仕事も安定していて、健康面の不安も特にない。これで不安を感じる人のほうが少数派でしょう。


実際、周囲からこれ以上何を心配するのかといわれ続けてきたそうです。

それでも本人は、どこか落ち着かない。夜になると、ふとこのままで大丈夫なのかと考えてしまう。

その小さな不安が、後に人生を大きく狂わせる入口になるとは、このときは思っていませんでした。

お金が増えるほど、人間関係と出費は膨らんでいく

資産が増えると、生活が楽になると思われがちですが、実際は逆の場面も多く見てきました。

年収3000万円クラスになると、交際の質と量が一般人とは異なります。

食事は1回3万円が当たり前になり、ゴルフや会食、紹介の席が毎週のように入る。断れば空気が悪くなる。仕事に影響が出るかもしれない。そんな思いが、出費を加速させます。

さらに厄介なのは、本人が浪費している自覚を持ちにくいことです。

収入がある分、使っても残高は減らない。だから大丈夫だと思ってしまう。


気づいたときには、固定費と付き合いに縛られ、以前より自由は減っていました。

お金が増えるほど、人間関係と出費は膨らんでいくのです。

銀行員が何度も見た「女と欲で崩れていく」資産家の末路

「年収3000万円、資産1億円」一生安泰に見えた金持ちの悲しい末路。最後に残ったのは孤独だけ
パーティ
山田さんとは別の話ですが、銀行員として働いていた頃、資産家の男性たちが、女関係で崩れていく場面を、私は何度も見てきました。

彼らに共通しているのは、最初から遊び目的だったわけではないという点です。

会食の席で知り合った女性。仕事を尊敬してくれる若い相手。最初はただ食事するだけのつもりだったものが、次第に頻度が増え、店もグレードアップしていく。

1回数万円の食事、ホテルのバー、気づけば定期的な小遣いのような支出が生まれていました。

お金がある男は、求められます。必要とされ、褒められ、頼られる。その感覚が、仕事とは別の快感として染みついていくのです。

家では得られない刺激、年齢を忘れさせてくれる時間。それを手放す勇気は、想像以上に難しい。


やがて支出は膨らみ、嘘が増え、資産管理は雑になっていきます。それでも本人はやめられない。欲の対象は女ではなく、承認と高揚感そのものだからです。

最後に残ったのは、お金でも女でもありませんでした。誰にも本音を話せず、誰にも信用されない孤独だけが、静かにそこに残っていたのです。

お金よりも大きい「失ったもの」

多くの人は、いくら失ったのかという数字に目を向けます。

ですが、私が現場で見てきたのは、それ以上に大きなものを失っていく姿でした。

家族からの信頼、安心して眠れる夜、自分を律する感覚。お金はまた稼げても、これらは簡単には戻りません。

お金があること自体が問題なのではありません。お金があるから大丈夫だと思い込み、自分の欲や不安に無自覚になることが、最大の落とし穴です。

本当に守るべきものは、通帳の残高ではなく、崩れたあとに気づく“日常”そのものなのだと思います。


<文/渡辺智>

【渡辺智】
某メガバンクに11年勤務。リテール営業やプライベートバンカー業務を経験。その後、外資系保険会社で営業。現在は金融ライターとして独立。FP1級保有。難しい「お金の話」をわかりやすく説明することをモットーにしています。公式SNS(X)は、@watanabesatosi7
編集部おすすめ