異母きょうだい7人…父はやり手経営者
――最初、日本で暮らしていたyunaさん家族ですが、6歳で中国へ、そのあと10歳から大学生までをハワイで過ごし、そのあとLAに行きますよね。ハワイに渡ったのは、お母様がお父様を“諦めたから”だとか。yuna:そうなんです。私の父と母はいわゆる入籍をしていなくて。でも私と妹が生まれました。父は日本と中国で会社を経営していて、非常にやり手のビジネスマンです。あとでわかったのですが、母以外にも女性が複数いたらしくて、私が生まれる数ヶ月前に腹違いの姉が誕生していたようです。入籍もしていない2人なので離婚とは言わないのですが、関係が破綻したのをきっかけに、母方の親戚が多いハワイに移り住んだという経緯ですね。
――事業に別の家庭に忙しいと、あまりお父様と顔を合わせることも多くなかったのではないですか。
yuna:はい、私にとって父は「たまに顔を合わせる親戚のおじさん」みたいな認識でした。
女性にだらしない父を、それでも尊敬する訳
――現在、yunaさんとお父様のご関係はどのようなものでしょうか。yuna:女性には絶望的にだらしないのですが、経営者として、またひとりの男性として、尊敬しています。父はさまざまな修羅場をくぐり抜けてきたので、圧倒的なカリスマ性があって、意外と心根が優しい人でもあるんです。たとえば私が精神的につらくなって電話したときも、声のトーンなどでどんな調子なのかすぐに気づいてアドバイスをくれます。助言はいつも俯瞰してみてくれるので、まだ何も言ってないのに、「お前は今、周りにいろんな人を置きすぎていると思う。周りに置く人間は精査しなさい」とか、言われてみてはっとすることが多いですね。
――いかにも女性から好かれそうな方ですね。
yuna:やはり女性にモテるというのは、事業で成功していて経済的に余裕があることも無関係ではないものの、それだけでは続かないですよね。きちんと人間を見る目があって、誠実に考えてくれる人だから、好かれていたんだろうなと感じます。何より、父はバイタリティがあります。事業で失敗したとしても、へこたれずに次は必ず前回以上の成功を収めるんです。
3日間風呂に入らずゲームに興じる…個性的な母の素顔
――翻って、未成年のときはお母様とずっと一緒に暮らしていますが、「あまり育児の得意な女性ではない」と感じているようですね。yuna:母に対する感情は父に対するそれよりもいくらか複雑です。母に対して「優しくしたいな」とも思う反面、自分を守りながら母とも仲良くできる方法を模索しているところ、といった具合でしょうか。
私の記憶では、母はいつも昼過ぎくらいに起きてくるような感じでした。私はそれまで、お菓子などを食べてしのいでいたように思います。
母は能力のばらつきが非常に大きい人で、一般的な家事育児には向かないものの、少しの経験で語学を飛躍的にマスターできたり、ゲームなどの攻略にかけては冴え渡っていました。集中力が凄まじく、ハワイ時代には、3日くらいずっと集中してお風呂も入らずにゲームに興じていたこともあります。子どもも一緒になってやっていたので、親戚から「風呂くらいは入りなさい」なんて注意されたりして(笑)。結構極端なキャラクターの人だなと思います。
友人宅の家族団らんで知った「寂しさ」
――一風変わったご家庭で育ったyunaさんですが、ご友人の家の食卓に招かれて、団らんを経験したことで衝撃を受けたとか。yuna:ハワイに移住してから、友人の家に泊めてもらったことがありました。そこで夕食を囲んでいたら、なぜか涙が溢れ出してきて。
――家庭で満たされていないyunaさんが満足するための逃避先はどこでしたか。
yuna:思えば仕事だったのでしょうね。19歳からアルバイトをしていましたが、現在のような経営者という立場ではないにもかかわらず、一切手を抜いた記憶がありません。頑張ればそのぶん認めてもらえる世界で、とにかく結果を残して認めてもらうことによって、居場所を確保していました。あの当時の私は、仕事こそが自分の価値にほかなりませんでした。
仕事で満たせるのは「30%」
yuna:今は、幸せとはいろんなものから構成されるパラメータだと思っています。仕事は、たぶん幸せ全体の30%くらい。だから仕事に全部の時間を注いで認められたとしても、幸せ全体のうち30%しか満たせない。ほかに大切なものがいろいろあって、それらをバランスよく上げていくことが、人生にとって必要なんだろうと思います。
仕事はもちろん大切です。ただ、フルコミットするのではなく、人間関係にも向き合っていこうと今は考えています。幾分か、仕事との付き合い方が健全になったように思います。
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画面上でみるyunaさんは利発で判断力に富み、何事も瞬時に的確に最適解を見つけ出せるスーパーウーマンにみえる。だが“デキる女性”にならざるを得ない背景があった。欲しい形でもらえなかった愛情を羨むのではなく、両親をひとりの人間として客観視し、その美点を称える彼女はすでに、人生の泳ぎ方を誰よりもマスターしているように思える。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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