アーティストであり、援助交際や宗教問題なども語れる社会派だ。そんな彼女も、現在は2児の母。人生のフェーズが変わり、いま感じることとは――。
出産して訪れた「絶縁した母との雪解け」
――Marukidoさんといえば、援助交際やドラッグなど、社会の歪みを淡々とリアリティをもってえぐるリリックに定評がありましたよね。また、宗教2世として苦しんだご自身の経験も過去には語られています。Marukido:そうですね。私は2022年と2025年に子どもを出産し、現在は夫とともに4人家族になりました。当時はどちらかといえば人生に対して捨て身なところがあり、さまざまな問題について歌にすることで昇華してきたように思います。宗教に苦しめられた自身の生い立ちも、さまざまなところで話してきました。母とはわかりあえず、一度は絶縁もしたんです。しかし、子どもができて、「家庭をつないでいかないといけないな」という心境に変わっていきました。
――といいますと?
Marukido:現在は、母とも雪解けをして、実家の隣の敷地に建つ家に家賃を払って暮らしています。一度は絶縁をしましたが、妊娠がわかったとき、「この子から祖父母を奪ってはいけないのではないか」と感じて、連絡を取ったんです。
「祈り」にすがる姿に芽生えた不信感
Marukido:最初はぎこちない感じでしたね、それはお互いそうだと思います。夫の「絶縁していても、家族は家族だよ」という言葉も、背中を押してくれたかもしれません。夫は会社員ですが、有力な政治家の一家に生まれた人です。家族のつながりの大切さをいろいろとわかっているのかもしれません。
――Marukidoさんがお母様と絶縁されたのは、お子さんであるご自身よりも常に宗教を優先させる姿勢に疑問を抱いたからだと伺っています。お子さんができたからといって、簡単に打ち解けるものでしょうか。
Marukido:宗教で善とされている勤行に勤しむ彼女は、たとえば中学受験をするときも「勉強もやって、勤行も5~6時間やりなさい」みたいな感じの人でした。私が小学校でいじめられ、うさぎの糞を食べさせられるなどのひどい扱いを相談したときも、「お祈りしなくちゃね」としか言わなかったことも、よく覚えています。皮肉にも中学受験の勉強でさまざまなことを学んでいくことで、母の信仰しているものに対する不信感が芽生えてきたんです。
一方で、私の教育に対しては非常に投資をしてくれました。親子の時間など奪われたものもいろいろあるけれど、学ぶことの意味や大切さを教えてくれたのは事実です。自分が母親になってみて、子育てに翻弄されるなかで、そのありがたさを感じ始めたところです。
名門校から夜間高校、そして大学中退2回。その理由は?
Marukido:ありがとうございます。私は中学受験を経て共立女子中学校に進学したのち、高校までを過ごしました。途中で退学して夜間高校へ行き、大学を2つ中退しています。中退した理由は、ビジネスへの関心が強くなったことです。当時、さまざまなスタートアップ・ベンチャーが台頭するなかで、私もアプリケーションソフトの開発などに没頭していました。今はもう巨大資本になった、私たちの生活に不可欠なサービスを提供する企業などが成長していく姿を間近で見られたことも、かけがえのない財産です。そうした意味では、知的な好奇心が当時からあるといわれればそうなのかもしれません。
――インプットとアウトプットを絶えず繰り返して、クリエイティブな活動をしてこられたMarukidoさんにとって、家事育児と向き合う時間はどんなものでしょうか。
Marukido:さまざまなことをポジティブに捉えられたらいいなとは思うものの、本心で言えば、私自身がもっとも自分が母親になったことを受け入れられていないかもしれません。これまで合法と非合法のあわいを縫うようにして、それを言語化してきましたが、母親になったら「そんなことはマズイ」とどうしても思ってしまって(笑)。
出産や子育てによって、これまで抱えていたジレンマがより激しくなって、いったん自分がバラバラになったんですよね。そして自分を再構築している最中なのかもしれません。
――では、今後の展望を伺おうと思ったのですが、今は分解したご自身を再び組み立てているという感じでしょうか。
Marukido:正直に言えば、そうなるでしょうね。ただ、夫と知り合ったことで政治に対する関心も出てきたし、AIについての興味なども、もともとありましたので、自分の発想力を社会貢献に結びつけられればいいなと思っています。表現活動ももちろんかけがえのないものですが、まだ世の中にないサービスを提供することも、同じくらい素敵なことだなと今は感じています。
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波乱万丈だった人生が、妊娠と出産によって再び大きく揺れる。Marukidoさんが経験した、価値観の転倒。これまで心地よく感じていたものが嫌悪の対象になり、忌み嫌っていたしがらみの引力に絡め取られる。「大人になった」「社会に適合した」としたり顔で評論する気はない。彼女はきっと今も、激情を飼いならしながら正気を装う表現者であり、社会を好転させようともがく一介の市民でもあるのだろう。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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