開花した才能の背景には、宝塚への憧れと挫折が
結瀬ことり:仲良くさせていただいていたスタッフの方に誘われて、『成功者の気分』というチャンネルに出演していました。これは、物件の内見をコンセプトにしたドラマ仕立てのものでした。そのなかのコーナーで、私が“キレる”シーンがありまして……意外とそれが評判がよくて(笑)。その部分に特化した内容にリニューアルして生まれたのが『パロディガール』です。内見中にキレるシーンが、のちの『パロディガール』のなかの佐山聡さん(初代タイガーマスク)が叱咤激励するシーンなどの原型になっています。
――結瀬さんは人気テレビ番組『学校へ行こう MAX』でデビューし、その後、俳優としてのキャリアを歩み始めますよね。昔から芸能への憧れがあったのでしょうか。
結瀬ことり:ありました。島根県に住んでいた私は、小学校2年生くらいから、宝塚歌劇団が大好きでした。中学3年ぐらいまで宝塚への夢が諦められず、一度受験もしています。ただ、身長なども足りていないし、結局端にも棒にも引っかからなくて。
島根から東京へ、本気で挑んだオーディション
――高校生の途中で島根県から東京都に引っ越しをしていますよね。結瀬ことり:そうなんです。番組でお世話になった方の「本気でやるなら、東京に来ないと」という言葉を真に受けて、行く気満々でいました。ただ、母は非常に真面目な性格で慎重な人なので、はやる私を「高校卒業してからでもいいんじゃないの」と宥める感じでした。でも、私は上京したいわけですよね。
――結局、反対を押し切った。
結瀬ことり:いや、もうちょっと実は複雑で……。当時住んでいた場所はコミュニティが非常に狭いので、私が上京したいと思っていることはすぐに伝わります。また、『学校へ行こう MAX』の放送日以前に、私がテレビに出ることが学校にも伝わってしまって。これが大問題になりました。
――それはたいへんですね。
「辞めます」と校長室で啖呵を切った
結瀬ことり:校長室に呼ばれて、大勢の先生がいるなかで「生徒手帳の規定を読んでみなさい」なんて言われて。私は芸能人になりたいという思いを話したと思いますが、全然伝わりませんでした。先生たちからは「そんなバカみたいな夢をみてないで……」という言葉もあったと記憶しています。で、私がかちんと来てしまって。今考えると本当に生意気なんですけれども、「教育者なのに、生徒の夢を応援できないような学校なら、辞めます」みたいなことを言って、そのまま帰宅しました。――まるでドラマの1シーンみたいですが、そのまま退学処分ですか?
結瀬ことり:いや、すでに学校から母に連絡が行っていたらしく、帰宅する私と入れ違いに母が学校へ出向いて、解決してくれました。具体的には、退学ではなくて東京の学校に編入するという方向で話がまとまりました。娘の突然の決断に納得しないなかで、よく学校との折衝を引き受けてくれたことに、今では感謝しています。
――その決断について、ご家族から何か言われましたか。
結瀬ことり:父は単身赴任をしていたのですが、この騒動で帰ってきました。その際、怒られるのではないかと思ったのですが、「みんなお前の味方だからな」と声をかけてくれたのが嬉しかったですね。
所持金120円で葛藤「歩くか、飲み物を買うか」
――最初はテレビでキャリアをスタートさせた結瀬さんですが、YouTubeの魅力はなんですか。結瀬ことり:視聴者の反応がスピーディーかつダイレクトな点だと思います。動画を出してすぐに反応が返ってくるタイムリーさは、どうしてもテレビとは違いますよね。
――おきれいな見た目によらず、貧乏耐性もあると聞きました。
結瀬ことり:そうなんですよね(笑)。思い出すのは、あるとき所持金が120円しかなくて、それだと最寄り駅まで帰れないんですよ。その日はうだるような暑さでした。途中の駅まで電車に乗ってそのあと歩くか、120円でペットボトルを買って飲んで家まで全部歩くか、悩んだりしました。結局、電車に乗る選択をしましたが。基本的に売れない役者なので、お金に困らないことのほうが少ないです(笑)。
目指すは朝ドラ・大河への逆転劇
――今後の展望を聞かせてください。結瀬ことり:歌もやっているのですが、いま、オリジナル曲が6曲に増えました。将来的にはライブをやりたいなとは思います。歌の合間にコントやダンスも挟むような、総合的に楽しめるライブです。
また、パロディガールは現在4号まで仲間が増えました。みんな、俳優人生が順風満帆とはいえない曲者揃いです(笑)。行く先に、そんなメンバーたちが、朝ドラや大河ドラマに出られるような逆転劇があればいいなと思っています。
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動画制作にあたって、結瀬さんは「元ネタを何百回と見る」という。『パロディガール』の魅力、それはおふざけを徹底して真面目に行う狂気だろう。そしてもうひとつ、高校時代に校長室で啖呵を切った結瀬さんの思い切りのよさも、動画のスパイスだろう。酔狂なコンテンツに飢えた時代に、これからもきっと彼女は彩りを添える。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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