「パンツ万博」という名に見覚えはあるだろうか。昨年末に放送された「THE W」の舞台上で、「1秒も面白くなかった」という霜降り明星・粗品氏による、あまりにもストレートで容赦のない酷評をされ“公開処刑”のようなダメ出しを食らった、結成1年目のお笑いコンビだ。

放送直後からSNSでは賛否両論が巻き起こり、瞬く間に注目を浴びる存在となった二人だが、意外にも本人たちの表情に悲壮感はない。

世間の反響をどう受け止めたのか。喧騒をよそに、独自のスタイルを貫き続けようとする芸人魂と、騒動の裏側にあった本音を語ってもらった。

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「1秒も面白くなかった」と言われた瞬間の心境は?

ーー世間では粗品さんのコメントが話題になりました。しかし、それ以前に審査員全員が対戦相手のエルフに票を投じ、7対0という結果になったことはどう感じましたか?

みぎぃ:勝つつもりでやっていて、ミスもなく出来たので驚きましたね。

飛騨ニョッキ:票が表示される順番も粗品さんが一番最後で、あの時は「1票でもいいから入って!」と思っていました。でも、0票という結果が出てみたら「これは逆に面白いか」と思いました(笑)。

ーーその後、粗品さんのコメント「1秒も面白くなかった」。やはりショックでしたか?

みぎぃ:気づいたら刺されていた感じだったので、ビックリして。でも、コメントの後半が褒めてくださるような内容だったので、後味としては嬉しさが残りましたね。

飛騨ニョッキ:私たちより前の出演者にもキツめのコメントをおっしゃっていたのを見ていたので、ある程度の覚悟はありました。だけど、0票の上に「1秒も面白くなかった」はフレーズが強すぎて、視聴者感覚になって笑ってしまいましたね(笑)。

放送後に悔しさが深まる

ーーつまり、あの瞬間はお二人ともダメージを感じていなかったんですね。その後も悔しい感情は浮かびませんでした?

みぎぃ:出番直後は、終わった安心感が大きかったです。
でも、放送が終わる時間が近づくにつれて、「負けたんだ」という実感が湧いて痛みというより悔しさが出てきましたね。

飛騨ニョッキ:私は、もう少し後かな。放送後の反省会(Huluなどで配信)で、他の芸人さんへの粗品さんのコメントを見てみると、「あれ? 私たちがもらったコメントって、ワーストじゃない?」と思えてきて。負けている人でも、粗品さんの票は入っていたり、褒めていたりする中で、「私たち、0票でくたばった後に、粗品さんのコメントでオーバーキルを食らってたんだ」と(笑)。それに気づいた時が、めっちゃ悔しくなりましたね。

粗品に対するみぎぃの母の反応は……

ーーとはいえ、ゴールデンの時間帯にテレビでネタをできるのは喜ばしいことですよね。

みぎぃ:そうですね。私の母は、決勝が決まった瞬間に叫びすぎて飼っている猫がビビっていたらしいです(笑)。

ーーしかし、全国にあの審査が放送され、公開処刑のような形に。私も子供がいるので、もし自分の子供がゴールデンタイムであんなにディスられたら見ていられないかもしれないと思いました。ご両親はなんとおっしゃっていましたか?

みぎぃ:私のお母さん、もともと粗品さんが好きだったんですが、あの瞬間から嫌いになってました(笑)。

ーー気持ちはわかります(笑)。

みぎぃ:夢で、粗品さんをビンタしたらしいです(笑)。
実家に帰った時も、粗品さんのことをけちょんけちょんに言っていて、私が粗品さんをフォローするという、謎の構図になりましたね(笑)。

なぜ放送中に投稿したのか

ーー飛騨さんは出番後、まだ放送が続いていた20:41にX(旧Twitter)にポストを投稿しています。これはどんな気持ちからですか?

飛騨ニョッキ:さすがに強いことを言われたから、見ている方に、「めっちゃ傷ついてる」と思われていたら嫌だなと思って(笑)。

みぎぃ:実際にあの日以降、同期の芸人が「めっちゃ良かったよ!」って異様に激しく言ってくれたり、変に気を使われている感じがする時もたまにあります(笑)。

ーー大幅にマイナスに振られすぎて、正しい評価がどこにあるか見えにくくなっちゃってますね(笑)。

飛騨ニョッキ:そうなるだろうとは思ったから、投稿したという部分はあるかもしれませんね。

粗品にDMを送ろうと思っていた

ーー決勝で演じたネタは、これまでも舞台にかけてウケていたんですか?

飛騨ニョッキ:ネタの候補としては、あのネタの他にラーメン屋の設定のネタがありました。爆発力はラーメン屋の方があったのですが、今回の決勝で演じたものが安定してウケていたので、こちらにしました。

ーー審査員のコメントは、ネタの構成など「舞台に立つ前の時点まで」の部分が中心でした。一方、ほとんど言及されていない、舞台に上がった後の“パフォーマンス”としてはどうだったんでしょうか?

飛騨ニョッキ:決勝が決まってから、いろいろな劇場にも立たせてもらえたので、パフォーマンスは上がっている感覚はありました。もちろん、完璧ではありませんが。

みぎぃ:ミスもありませんでしたし、出番直前まではすごく緊張していたんですが出た瞬間に「やるしかない」と切り替えられて、思い切りやれました。

ーー今回の結果やコメントを受けて、「お笑いをやめたい」という気持ちには?

みぎぃ:私はなりませんでした。2026年も頑張ろうと思えましたね。


飛騨ニョッキ:決勝の後、粗品さんがどこかで「一回でも決勝に行った芸人の相談にはいつでも乗る」と言っていたという情報を得て、ネタに関しての質問をDMで送ろうと思ったんですよ。でも、何を質問しようか、今DMしていいものかとか、色々考えているうちに5日くらい経ってました(笑)。その状況を思い返すと、思ったよりは落ち込んでいたんだろうなと思います。

残念ながら集客力に変化なし

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「2026年も決勝を目指す」と力強く宣言
ーーあの放送後、劇場でお客さんが増えたりなど、身の回りで状況の変化はありますか?

飛騨ニョッキ:ビックリするくらい変わらないんですよ。私たち、以前から集客ができなかったんですが、決勝に出てXの投稿もバズったのに、集客力は1ミリも変わってない(笑)。

みぎぃ:私は、決勝の後に「いい機会だ! 声かけられるかな」と思って原宿を歩いてみたんですよ。でも、誰からも声をかけられず、順調に買い物が完了しました(笑)。

ーーなかなか人生変わらないですね。今後の目標を教えてください。

飛騨ニョッキ:2026年の決勝で「(ネタ時間の)4分パンパンに面白かったです」って言われることですね。

ーーおお!「1秒も面白くない」の逆!

みぎぃ:そのためにも、まずは審査をしてもらえる場所(決勝)まで行かないと。

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第一線で活躍する先輩からの強烈すぎる洗礼。
しかし、パンツ万博のふたりはそれを受け止めながらも、被害者の物語に回収されてしまうことも拒否した。あの日、「1秒も面白くなかった」と言われたコンビが、2026年の冬にどんな4分間を繰り広げるのか、今から楽しみだ。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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