衝撃的なフレーズで00年代のメディアを席巻した、日本一著名な占術家・細木数子さん。2026年1月、彼女の半生を描いたNetflixシリーズの公開が発表され、大きな話題を呼んだ。
これについて、数子さんの養女であり、六星占術の後継者である細木かおりさん(47歳)に話を聞くと「私は脚本には一切関わっていないんですよ」と首を横に振った。
「他人ごとであれば…」映像化に対して思うこと
「一応Netflix側から、『こういう作品を制作します』という“ご挨拶”はいただきました。細木数子という人物に敬意と愛を持っており、昭和の時代を一人でたくましく生き抜いた、あっぱれな女性であるということを世界に広めたい、と。ただし、脚本をチェックすることはできるのかうかがったところ、『それは、あくまでもフィクションなので……』と断られてしまいました(笑)。だから、どんな仕上がりになっているのか、私たちも非常にドキドキですよ。ティザームービーを見ましたが、結構過激な内容になっているような気がします。私も、他人ごとであれば面白そうな作品だと思いますが、あくまでも親族のことなので(笑)」
複雑な心境を語るかおりさんだが、主演・戸田恵梨香の演技には衝撃を受けたそうで。
「最初、母の役が戸田恵梨香さんとうかがったときは驚きました。すごく細身な方ですし、あの威圧的な雰囲気を出せるのかしら? と思っていたのですが、さすがでしたね。私もあの作品は、一視聴者として、フィクションとして楽しみたいと思います」
身内だけが知る「意外な素顔」
「地獄に堕ちるわよ」のティザームービーでは、数子さんを「女帝」「妖怪」「詐欺師」などと皮肉る場面が登場する。実際、生前は批判にさらされることも多かった数子さんだが、かおりさんの目にはどのような人物として映っていたのだろうか。「私と母(数子さん)は、もともと伯母と姪の関係でした。
戦時中を生き抜いた人なので、私がティッシュを使いすぎると『私たちの時代は紙が貴重で、手で鼻水をぬぐっていたんだぞ!』と叱られたり、古いバスタオルを縫い合わせてバスマットとして使っていたり、意外にも物をすごく大切にする人でした」
厳しくも温かい“ばあば”の顔を持つ一方で、マスコミでは豪胆な毒舌家として脚光を浴びるように。当時のかおりさんは、数子さんとの血縁関係を周囲に隠していたといいます。
「細木数子の親族ということが知られると、それを利用するために近づいてくる人もいると思ったので、若いころは母との関係をあまり人に話さないようにしていました。でも、母は私のことがかわいくて、学校の卒業式などに平気で来てしまうんですよ(笑)。私がせっかく隠していたのに、本人はまったく気にしないんです」
細木数子が「結婚と出産」に執心したワケ
「私がまだ中学生のころに、母からお見合いを勧められました。そのときは冗談かと思いましたが、母は本気で。何を考えているんだろうと思いましたが、なんだかんだで10代のうちに10人以上の男性とお見合いをしましたね。一番年上だと、ひと回りくらい上の方と会ったこともありました。
実際、私が中学二年生のころに母から紹介された6歳上の男性と、19歳で結婚しました。彼は一般家庭の感覚を持つ、本当に普通の男性です。
若いうちの結婚や出産に強いこだわりを持っていた数子さんだが、その背景には、彼女が生き抜いた激動の人生があった。
「母は、女性の幸せは子どもを生み育てることだと言い続けていました。それが女性の役割であり、子孫繁栄がこの国においてなによりも重要なのだと。しかし、母自身がそれを成せず、女性ひとりの力で厳しい世の中を生きていかなければならなかった。財も地位も手に入れたけれど、母が一番欲していたのは、お金では決して買うことのできない“家族”だったのかもしれません」
細木数子には「なれないし、なりたくない(笑)」
1982年に刊行がスタートした数子さんの著書「六星占術シリーズ」は、累計発行部数1億部を突破し、「世界で最も売れている占い本」としてギネス世界記録に認定。テレビでは“視聴率女王”と謳われ、一躍時の人となった。誰もが認める日本一有名な占い師、細木数子。そんな数子さんから後継者として直々に指名されていたかおりさんだが、その後を継ぐことには抵抗があったという。
「私はどう頑張っても母のようにはなれないし、なりたくない(笑)。後継ぎは無理だろうと思っていました。でも、母から『細木数子にならなくていい。
母が一番大事にしていたのは、お客様と一対一でおこなう個人鑑定でした。そこは母とお客様だけの空間で、数十年在籍しているベテランスタッフでも中には入れてもらえません。でも、ある日から、その神聖な場所に私を招き入れてくれるようになったのです。母は本気で私を後継者にしようとしているんだなと思いました」
誰も足を踏み入れたことのない、個人鑑定の場に同席することとなったかおりさん。数子さんと依頼者のやり取りを一番近くで見守り続け、感じたこととは。
「皆さんが思い描く細木数子は、毒舌で、誰に対しても威張り散らしているような女性だったかもしれません。でも、お客様に寄り添う母の姿勢や、何度も足を運ぶうちに笑顔を取り戻していく方々を見て、やりがいのある仕事だと感じました。自分なりのやり方、発信の仕方でよいのであれば、私にもできるかもしれないと思い、30代後半で後を継ぐ決意をしました」
あくまでも人生の判断材料のひとつとして…
「過去にも母との共著は出しているのですが、より現代に寄り添った内容が必要だと思い、本書を執筆いたしました。いまは非常に情報過多の時代。
しかし、占いを信じすぎるあまり、かえって生きづらさを抱えてしまう人も少なくない。六星占術との向き合い方について、かおりさんは次のように語る。
「これは母の時代からお伝えしてきていることですが、占い結果に一喜一憂しないようにしてください。六星占術は統計学のひとつであり、皆さんの人生を決めつけるものではありません。六星占術で運気の流れを知り、それを踏まえて決断するのはご自身です。あくまでも人生の判断材料のひとつとしてお考え下さい。母が編み出し、40年以上愛されてきた六星占術を、皆さんの人生の羅針盤として活用いただければ幸いです」
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世間で大きな賛否を集めた細木数子という人物。だが、彼女が生涯をかけて守り続けた六星占術が、多くの人の背中を押してきたのも事実だ。人生に迷ったとき、少しだけ力を借りてみるのもいいかもしれない
<取材・文・撮影/渡辺ありさ>
【渡辺ありさ】
1994年生まれ。フリーランスライター兼タレント。
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