120億円の減損損失を計上。自販機事業が足枷に
純利益が大幅減となった主要因が自動販売機事業の減損損失。伊藤園は自動販売機事業を直接手掛けていましたが、2026年に子会社ネオスに移管する計画を立てました。そのプロセスにおいて、自動販売機の販売数量が低下し、経営環境が著しく悪化している兆候が認められたのです。自動販売機事業だけで120億円近い減損損失を計上しました。
減損損失とは事業資産の収益性が低下し、投資額が見込めなくなった場合に帳簿の価値を実態に合わせて計算し直すもの。つまり、伊藤園は自販機事業で従来想定していた収益性が維持できなくなったわけです。
「200円」はさすがに高い…自販機から離れる消費者
商品を高値で売れる自動販売機は飲料メーカーにとって都合のいい存在でした。伊藤園が自社で直接運営していたのも、それが実入りの良いビジネスだったからに他なりません。しかし、主力商品である「お~いお茶」は度重なる値上げで600ミリリットルの希望小売価格が200円を突破。顧客がドラッグストアなどの小売店で購入する動きが加速しました。伊藤園の2025年5-10月の自動販売機売上は前年同期間の14%も減少しました。スーパーは1%増加しています。
伊藤園のチャネル別売上構成比率における自動販売機の比率は2019年4月期が15%、現在は5%ほどしかありません。自動販売機はかつてほど売れなくなっているうえ、商品の補充にかかる人件費、電気代、キャッシュレス対応の設備費用と手数料負担も重くなりました。
自動販売機事業のメリットがインフレによって失われてしまったのです。
これは何も伊藤園に限ったことではなく、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングスも2025年度に自動販売機事業において881億円の減損損失を計上しています。
伊藤園が自動販売機事業を子会社へと移管したことは、このビジネスが旨みを失ったことを象徴しています。
需要高止まり。緑茶飲料市場は限界なのか
伊藤園は今期営業減益となる見通し。減損損失という一時的な要因ではなく本業で稼ぐ力も低下しています。会社の予想通りの着地で、今期の営業利益率は4.0%。伊藤園は2022年4月期の決算からリベートを売上から控除しています。
リベートを控除しているため、営業利益率は高まるはず。しかし、コロナ禍で行動制限が敷かれる前の2019年4月期の営業利益率は4.5%でした。稼ぐ力は下がっています。背景にはこのリベート負担の重さがあるでしょう。
足元で緑茶飲料の市場は高止まりしています。2025年度の市場規模は4680億円で、前年度比で1.1%減少する見通し。伊藤園の2026年4月期上期の緑茶の販売数は0.7%低下しました。
緑茶一本足からの脱却を目指す
一方、その他茶系飲料の市場は伸びています。2025年度は前年度比2.4%増の5200億円。伊藤園の麦茶の販売数は6.0%増加しています。伊藤園が販売強化に努めているのが緑茶以外の商品。
「お~いお茶 PURE」は累計販売本数が5000万本を突破しています。
通常、メーカーが新商品を販売する際、導入リベートを採用します。導入リベートとは、新商品をできるだけ世間に広めるため、リベート率を高めに設定するのが一般的。つまり、メーカーは薄利になることを織り込んだうえで、新商品の販路拡大やシェア獲得を優先するのです。
伊藤園の売上高に対する広告宣伝費の比率は2%ほどであり、2019年4月期も今期もほとんど変わりありません。リベートが利益を圧迫する要因の一つになっている可能性が大にあります。
茶葉価格が「6倍」。抹茶ブームが仇に
原料と資材が高騰していることも収益性の低下に拍車をかけています。原料茶葉で緑茶飲料用として使われる秋冬番茶は、鹿児島市場で最大で前年の6倍という高値をつけました。背景には世界的な抹茶ブームがあります。伊藤園は2026年4月期上期において、売上増による営業利益押し上げ効果が11億円働きました。一方、原料・資材等の高騰によって42億円も押し下げられているのです。
コスト高の影響を値上げで相殺できていないことを示しています。
茶葉の価格高騰が、緑茶需要によって引き起こされているのであれば、伊藤園には追い風。価格を上げても購入へと繋がるからです。しかし、海外での抹茶ブームとなると話は別。その需要に対応する術は少なく、茶葉高騰の影響ばかりが収益悪化の要因になります。
伊藤園は海外展開を急いでいます。「お~いお茶 LEMON GREEN」は日米での同時発売でした。北米事業は2026年4月期上期が2割もの増収であり、勢いがあります。ただし、上半期で2600億円を超える売上に対して、300億円ほどと規模が大きくありません。
日本の緑茶市場が高止まりした中、いかに海外事業を伸ばすかが今後のカギとなるでしょう。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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