こんにちは、シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)です。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。

「働くときの靴はサイズもチェックして、紐も結んでいるのに、なぜか足が痛む」――というご相談をよく受けます。そんな方は、休日の靴選びを失敗しているケースがよくあります。知らないうちに、平日より休日に足や体に負担をかけてしまっているのです。仕事を頑張っている方ほど、このパターンが散見されます。

例えば、休日にクロックスや、スニーカーのカカトを踏みつぶしたり、休みの日くらい、靴は適当でいいじゃん、という気持ちはわかりますが、足と身体を痛めてしまっては意味がありません。

デスクワークが多い方は、案外、平日より休日のほうが歩いています。オフの日まで革靴を履く必要はありませんが、適当な靴でいいわけでもありません。

とくに、スリッポンや、靴紐結びっぱなし&かかと踏みつぶしのスニーカー、サンダルは注意が必要です。

「スリッポン=ラク」ではない

中年男性が「休日に履いてはいけない靴」。その履き方がヒザと腰...の画像はこちら >>
スリッポンは、脱ぎ履きもしやすく、締め付け感もなく、軽くて柔らかいので、メーカーもオールシーズン使えるアイテムとして、「カジュアルな装いにもキレイめな装いにもマッチします」と謳っていますが、「ラク=足にいい」わけでは断じてありません。

車の運転だけとか、つっかけ代わりに「ちょっとそこまで」行くのなら問題はありませんが、30分以上歩くならやめましょう。足をまったく固定しないので、スリッパで歩き続けるのと大差なく、衝撃で足の裏を痛めやすく、気がつかないうちに脱げまいと足の裏が不自然に頑張るので、余計な力ばかり使います。家に帰ってきて足がだるい、月曜になっても疲れが取れない中年の多くは、たいて休日にガバガバのスリッポンを履いています。

中年男性が「休日に履いてはいけない靴」。その履き方がヒザと腰を壊す
リーガル「ローファー GORE-TEX」。2万7500円
幸いなことに今は「スニーカーローファー」というものが各社から出ています。
同じスリッポンやローファーでも「歩き」に特化しているものが多く、長時間の歩行でも足に負担をかけません。どうしてもスリッポンを履きたいなら、この手のものを選びましょう。

スニーカーを適当に履くくらいならハンズフリー靴を選べ

世の中のお父さんの休日靴は、紐を結びっぱなしにしたスニーカーが一番多いと思います。かかとを踏みつぶして強引に足を突っ込むと、足元も不安定で見た目の印象も悪く、いいことは何もありません。紐は本来、「靴と足をアジャストするため」のものなので、結びっぱなしでは靴の機能の数%も発揮できません。まあ、令和の時代にいまだに「紐」をくっつけるメーカーの古さも嘆かわしいのですが……。こんな時代だからこそ、ハンズフリーがお勧め。

中年男性が「休日に履いてはいけない靴」。その履き方がヒザと腰を壊す
ルコックスポルティフ「ラローラン」。8910円
ノールックで脱ぎ履きができるハンズフリー靴だとは誰も思わないでしょう。ルコックはテニスシューズスタイルでも、曲がるところで曲がるので、脱げづらく、足への負担も最小限ですみます。カカト芯も踏みつぶそうと思っても無理。ルコックのハンズフリーはABCマートや靴流通センター、ASBeeでも販売されているので、騙されたと思って履いてみてください。ベロも巻き込まれず、なんで今まで知らなかったんだと驚くはず。紐はゴム紐で、結ぶ必要はありません。
もし脱げるようであれば、ベロの裏にタンパッドを貼ってください。

ハンズフリー靴は今やどこの靴屋にも置いてあります。ただ、その存在が知られていないだけ。メーカーごとに幅、サイズ感、価格もさまざまなので、今の時代は試さないと損です。

疲れないサンダル選びは難しい

サンダルを真っ向から否定するわけではありません。例えば、誰もが一度はお世話になったことある「ギョサン」はリーズナブルで、耐久性やグリップもへたなスニーカーより上。鼻緒をつかむことで足の裏も鍛えられます。ここでいうサンダルはそうではなく、単にラクだからという意味で、無思考で履くのが体には悪いということです。

中年男性が「休日に履いてはいけない靴」。その履き方がヒザと腰を壊す
コロンビア「スライブリバイブ」。6930円
「つっかけサンダル」はどんなブランドがつくろうが、移動用かリラックス用の域を出ません。よく誤解されるのが、疲労を回復させる「リカバリーサンダル」なら履き続けても体にはいいだろうという誤解。ちがいます。リカバリーウェアを着てるからマラソンをしても疲れないだろうという発想と同じで、そんなバカな話はありません。
コロンビアのこのサンダルもリカバリーサンダルですが、あくまで「休む」のが大前提。

それでも足の蒸れが気になる、水虫でオフの日まで靴を履いてられないなら、スニーカーサンダルが正解です。

中年男性が「休日に履いてはいけない靴」。その履き方がヒザと腰を壊す
ロンビア「スライブリバイブ シャンダル」。1万3970円
同じコロンビアでも「スライブリバイブ シャンダル」ならかなりの距離を歩けます。甲からカカト周りを押さえて、甲の高さをアジャストできるという2点が歩けるサンダルの最低ライン。このモデルも昨年「マジで歩ける」と話題になったからこそ、売り切れました。今年もなんと2月から販売されているので、まだ早いと思わず店頭でお試しください。

休日はリラックスするための時間ですが、足元まで無防備になる必要はありません。むしろ、平日より長く歩く日だからこそ、足をしっかり支えてくれる靴を選ぶことが大切です。

ほんの少し意識を変えるだけで、足の疲れ方や、月曜のだるさは確実に変わってきます。何気なく続けている「休日の一足」が、数年後の体のコンディションに直結しているのです。

【シューフィッター佐藤靖青】
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。
YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』。著書『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』
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