引越しの繁忙期となる3月に申し込みすると、業者が忙しいこともあってか、料金や作業内容でトラブルになりがち。特に、高齢者はやり取りがうまくできず、トラブルを起こすケースが多い。

母親が引っ越し業者と一悶着を起こし、その面倒な対応に追われた経験がある新庄真守さん(仮名・39歳)に話を聞いた。

「70万円」の引越し業者が「2時間遅刻」してきた。さらに家電...の画像はこちら >>

急遽引越しをすることになった母

「一昨年に父親が亡くなったことをきっかけに、母親がそれまで住んでいた一軒家を売却し、マンションへ引っ越すことになったんです。その時に頼んだ引っ越し業者との間でやっかいなトラブルが発生したんです」

新庄さんの母親は、新しく購入したマンションの入居時期の問題もあり、引っ越しを繁忙期の3月に行わなければいけなかったそうだ。すでに信頼できる大手の引っ越し業者は予約が取れない状況で、仕方なく新庄さんの母親が知り合いから紹介された業者にお願いすることになったという。

「住んでいた一軒家の売却時期や新居の申込みの都合で、どうしても3月にしか引っ越しができなかったそうです。しかも、入居日の確定が昨年の2月上旬で、その翌月には引っ越しをしないといけない強行スケジュールになった。自分は、仕事の都合で大阪に住んでいて手伝えず、すべてを母親に任せてしまった。それが悲劇の始まりでした」

70万円? 相場を逸脱した見積もり

近くに引っ越しの手伝いをお願いできる親族がいなく、一人で準備を行わなければいけなかった新庄さんの母親は、業者にすべてを丸投げするプランで契約を結んだという。ただ、繁忙期ということもあり、引っ越し代金は驚くような高額になってしまったのだとか。

「電話で引っ越し代金を聞いて驚きました。繁忙期とはいえ、70万円近い見積もりだというんです。23区から東京郊外に引っ越しするだけなのでそんなに距離もなく、高すぎると思い他の業者にするよう説得しました。それでも母は、すでに契約してしまったし、今さら業者を変えるのは面倒だと言って……。高すぎると思いながら、引っ越しの時期も迫っていたためキャンセルしないことにしたんです」

繁忙期に引っ越し代金が急激に値上がりすることは良くあるが、新庄さんの母親がお願いした業者はかなり強気の設定をしているように思える。
とはいえ、それだけの料金を支払うのなら、手厚く引っ越しをしてくれるのだろうと、新庄さんも楽観視していたそうだ。しかし、作業でトラブルが続出してしまったという。

「引っ越し当日にトラックが足りなくなったと電話があったようで、2時間遅れで作業がスタートしたそうです。だいぶスケジュールが変わることになり、母親はパニックになって自分に電話してきました。積み込みもスムーズに終わることがなく、結局は最終的に予定より3時間ほど遅れて新居に荷物が届いたそうです。母親は、いろいろと考えていた予定が狂ってしまい、引っ越しが終わってもパニック状態だった。業者に丸投げプランだったので安心していたのですが、自分が有休を使ってでも手伝いにいけばよかったと反省しています」

業者が放った「捨てて良いと言われた」に衝撃

大幅に作業時間が遅れてしまうトラブルは良くあることだが、高額な料金を支払っているだけに、新庄さんも納得がいかない気持ちになったそうだ。しかし、時間が遅れただけでなく、引っ越し後にもトラブルが続いてしまったという。

「引っ越しの翌日に、母親から電話があって家電がいくつか無いというんです。炊飯器やポットなどの生活家電が新居に届いていないようで、困っているとのことでした。仕方なく、自分が引っ越し業者に電話すると、営業担当者は『捨てても良いと言われたので処分した』というんです。紛失した家電の中には、自分が母親にプレゼントした新品のロボット掃除機もあり、捨てる指示をするはずが無い。
母親に聞いても捨てていいなんて言っていないというし、営業担当者はリストに入っていると主張して譲らず、わけがわからない。結局は、泣き寝入りする形で処分されてしまった家電は諦めることになりました」

ありがちな引っ越しトラブルに次々と巻き込まれてしまった新庄さん親子。今回の騒動で、業者選びはしっかり行わないといけないと新庄さんは痛感したという。

「自分が面倒くさがらず、ネットで業者を探してあげるべきでした。母親が知り合いから教えてもらった業者ということで安心してしまい、すべて任せてしまったのが悪かった。それに、高齢者にはきちんと誰かが引っ越しのサポートをしてあげないといけないと痛感しました。結局、引っ越しで物がなくなっても、高齢者側が忘れたのだろうと犯人にされてしまいますからね。とはいえ、かなりの高額な料金を支払っているわけで、しっかりと作業をして欲しかったというのが本音ですが……」

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高額な料金を支払いながら、大切な家財を「捨てた」と言い張る業者の不誠実な対応は、到底許されるものではない。新生活の門出を台無しにしないためにも、高齢者の引っ越しでは、周囲が積極的に介入して業者選びから当日までをサポートする姿勢が不可欠だ。

<TEXT/高橋マナブ>

【高橋マナブ】
1979年生まれ。雑誌編集者→IT企業でニュースサイトの立ち上げ→民放テレビ局で番組制作と様々なエンタメ業界を渡り歩く。その後、フリーとなりエンタメ関連の記事執筆、映像編集など行っている
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