飽食の時代、あらゆるものが好きな時に食べられる日本。そんな状況にあって、徹底的に同じものを食べる人も存在する。
年間で400杯以上のラーメンを食べている鬼海裕幸さん(48歳)もその一人だ。
カロリーや塩分が気になるラーメンだが、活動拠点が福岡ということもあり、食すのは「ほぼとんこつラーメン」だという。さすがに飽きることはないのか。本人を直撃した。

年間400杯「とんこつラーメン」を食べる48歳男性を直撃。体...の画像はこちら >>

年間400杯のラーメン生活

鬼海さんは、1日1食以上のペースでラーメンを食べ、年間では400杯以上にも及ぶ。こうした生活は、いつから始まったのか。

「年間400杯を超えるようになったのは、3年前くらいですね。もともと食べ歩きは好きだったんですが、コロナが広がって飲み屋さんに行きにくくなりました。そこで、好きだったラーメンを食べる回数が増えたんです。その時にラーメン専用のInstagramのアカウントを作ったら、どんどんフォロワーが増えてきたことで、さらによく食べるようになりましたね」

今では、サラリーマンとして働くかたわら、紹介記事の執筆や専門家としてメディア出演もこなす。気づけば、ラーメンは「仕事」の一部となっていた。

ラーメン漬けの生活を送る鬼海さんに、飽きないのかという疑問をぶつけた。9割近くがとんこつであり、他の味は恋しくならないのか。


「飽きないですね。“やっぱりとんこつが好きだ”と再認識する日々です。それに、昔ながらのとんこつラーメンは日常食なんですよね。あっさりしていて飽きないように作ってありますから、毎日でも無理なくいけるんです」

ラーメンを食べるための節制は?

「ラーメンは1年に1杯」とするモデル業の人もいる中、鬼海さんの体型に変化はあったのか。

「この5年くらいで4~5キロは太りはしましたね。ただ、それまでも食べ歩きが趣味だったので、天ぷらやステーキなどがラーメンに置き換わったような感じです。なので、大きな変化という感じではないです」

しかし、健康診断では痛風や中性脂肪などの数値に影響が出始めた。現在は通院と栄養指導を受け、管理を徹底している。

「健康診断で数値に変化が出たこともあって、病院には通院し始めて栄養指導などを受けるようになりました。ただ、お医者さんも私のラーメンの活動を知ってくださっていて、理解したうえでのアドバイスをいただけます」

医師の助言を受けて、メリハリをつけて食べることやサプリを飲みながら体を管理しているという。健康維持のために“通院”をする一方、逆にやらないようにしていることはあるのだろうか。

「以前は、昼にラーメンを食べて夜は居酒屋ということもよくあったんですが、昼は軽めにして夜はラーメン屋で飲むようにしています。また、自宅でも晩酌の際も、油物は避けています。
ラーメンを思い切り食べるためにも、ラーメン以外の食事は控えめにしていますね」

“朝ラーメン”もルーティンのひとつ

1日1麺以上をモットーに活動している鬼海さんだが、サラリーマンとして働きながらのラーメン生活のリアルを知りたい。もちろん、日中は仕事だがラーメン活動は朝から始まる。

「朝方の生活なので仕事前に、朝ごはんとしてラーメンを食べに行くことが多いですね。『駒や』(福岡市東区)は早朝から開いていることもあってよく行きます。お客さんも少なくて大将とも話せていいですね」

「駒や」と言えば、東京のラーメン好きにとっては高円寺の超人気店『ラーメン健太』の店主が修行した店として知られる。もちろん、昼時は混雑するが早朝ならば落ち着いて食べられそうだ。

休日には遠方まで足を延ばすこともある。。まさに、週7日ラーメンで頭がいっぱいだ。

「佐賀の唐津(福岡市から約50km)に『田の久』というすごく美味しい店があるんですが、営業時間がランチタイムの2~3時間しかないので、なんとか時間を合わせて出かけたりします。そこまで行ったら、近隣の店にも行きたくなり3軒くらい連続で行っちゃいます(笑)」

福岡で行きたい「知る人ぞ知る名店」

ここまで徹底して福岡のラーメンを愛する鬼海さんだから、観光客にバレていない名店を知っているに違いない。地元に愛されるオススメの店を聞いてみた。

「僕はラーメン屋で飲むのが好きなので、『長浜御殿 住吉店』ですね。つまみも美味しいですし、いろんなラーメン店の大将も飲みに来るぐらいラーメンも美味しいです。
1軒でシメのラーメンまで食べられるので、オススメですよ」

福岡在住の筆者は、もちろん同店を知っているが、確かに地元民が集まる店だ。また、立地としても博多駅や中洲からも遠くないため、観光で訪れて地元の空気を感じるのも一興だろう。

せっかくなので、より観光客がいないオススメ店を聞いた。

「『七福亭』(福岡市城南区)ですね。とんこつラーメンって具材はシンプルなのが多いですが、こちらはトッピングが安くて美味しく楽しめます。もちろん、麺とスープで完成されているんですが、トッピングを楽しめる珍しいお店です」

実力と売り上げが見合わない店を救いたい

サラリーマンとして働きながらという時間的制約がある中でも、これだけラーメン漬けの日々を過ごす鬼海さんに、目標を聞いてみると「いずれは会社を作りたい」という野望が。

「ラーメン店の大将は職人気質な人も多く、味は最高なのに経営がうまくいかない例もあるんですよ。そういう人とタッグを組んで、美味しいラーメンを多くの方に届けたいなと思います」

たしかに、美味しいラーメンを作ることと、飲食店を経営するのは、全く別の能力が必要だ。鬼海さんのアイデアは、苦しむラーメン店を救う光にもなりそうだ。

「それから、店主が高齢化で引退するにあたって、後継者がいなくて閉店してしまう事例もあるんです。だけど、素晴らしい味とお店なので、そういったお店を引き継いでいけないかと考えています」

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好きなものを、好きなだけ、好きな形で続ける。そのために健康と向き合い、生活を整え、覚悟を積み重ねる。
明日の一杯も、きっと鬼海さんにとっては「仕事」であり「日常」なのだ。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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