第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が、3月5日に開幕する。井端弘和監督率いる侍ジャパンは、メンバー30人をすでに発表済み。
2月14日には宮崎での事前合宿が始まる。
大谷翔平は1番?侍ジャパン「打順問題」…プレミア12で批判殺...の画像はこちら >>
 歴代最多となる9人が選ばれたメジャー組は、今月末に合流を予定。連覇に向けた戦いは、3月6日の台湾戦からスタートする。

過去2度の準決勝敗退に共通する「打線の分断」という悪夢

 侍ジャパンは過去5大会中3大会で優勝しているが、優勝を逃した2大会を振り返ると、ある共通点にいきあたる。どちらもアメリカ本土での準決勝だったが、ともに投手戦の末、打線がつながりを欠き惜敗を喫していた

 第3回大会の準決勝は、プエルトリコとの対戦だった。山本浩二監督の下、第1ラウンドでキューバに敗れ、2勝1敗で2位通過。第2ラウンドは3連勝を飾ったが、初戦の台湾戦は1点ビハインドで最終回を迎える薄氷の勝利だった。

 そして迎えた準決勝は、アメリカへの長距離移動や時差などもあって難しい調整を強いられた。さらに相手のプエルトリコは第2ラウンドの敗者復活戦でアメリカに競り勝ち勢いもあった。

 プエルトリコ戦の先発マウンドを託されたのは前田健太。5回1失点の力投を見せたが、2番手の能見篤史が7回に痛恨の2ランを被弾し、土俵際に追い詰められた。それでも8回、侍ジャパンは上位打線に3連打が生まれようやく初得点。
打線に火が付きかかったが、追い上げムードの1死一二塁の場面で一塁走者だけがスタートを切ると痛恨の走塁ミスが出てしまった。

井端監督自身も経験した“つながらない打線”の現実

 このときの二塁走者が他でもない井端監督である。その試合に2番指名打者で出場し、2安打1打点の孤軍奮闘の働きを見せたが、6番以降の下位打線が振るわず11打数無安打。勝負どころの走塁ミスも痛かったが、最大の敗因は“つながりを欠いた打線”だったといえるだろう。

 そしてその4年後の第4回大会でも、侍ジャパンは同じ過ちを犯してしまう。小久保裕紀監督の下、2大会ぶりの優勝を目指し、無傷の6連勝で決勝ラウンド進出を決めた。

 ところがアメリカと激突した準決勝で再び悪夢に襲われる。それまでの6試合で合計46得点を挙げた侍ジャパン打線がつながらない。得点は6回に菊池涼介が放ったソロ本塁打のみで、散発4安打。投手陣は強力アメリカ打線を6安打2失点に抑えたものの、1-2で2大会連続の準決勝敗退となった。

 これまで3度優勝している侍ジャパンだが、決勝進出を逃した2試合は奇しくも同じパターンによる敗戦。今大会も1次ラウンドを勝ち抜くのはまず間違いないが、アメリカに移動後の準々決勝ラウンド以降で真価が問われることになる。

最大の焦点は6番以降の下位打線

 今大会はメジャー組が過去最多となる9人集結。打者だけでも大谷翔平のほか、鈴木誠也と吉田正尚の2人に加えて、今季から活躍の舞台をメジャーに移す村上宗隆と岡本和真もいる。


 実績からも、メジャー組が上位打線を担うことになるだろう。井端監督の構想では主砲の大谷はおそらく1番か2番を打つことになりそう。打線の火付け役としてリードオフマンが適役か。それとも1番に出塁率の高い近藤健介あたりを据えて、大谷を2番に配置する打順も選択肢の一つとなりそうだ。

 クリーンアップは大谷以外のメジャー組が占めることになる。ただし、守備に不安のある吉田や村上は相手先発が左投手ならスタメンを外れるケースも出てくるかもしれない。

 そして、やはりカギとなるのが6番以降の下位打線ではないだろうか。

 特に二塁手の牧秀悟が、ポイントゲッターとして機能するかどうかが侍ジャパンの命運を左右しそうだ。

プレミア12敗戦で噴出した「6番・牧」への猛反発

 遡ること2024年11月。就任から約1年が経過した井端監督はプレミア12で指揮を執った。無傷の8連勝で決勝進出を果たした侍ジャパンだったが、台湾との最終決戦でまさかの敗戦。これを受けて、SNSなどでは井端監督の采配に批判が殺到した。

 特に批判の矛先となったのが、井端監督が牧を6番に据えたことだった。
実力的には3~4番でもおかしくないメンバー構成だったため、「牧を6番固定してたの意味分からん」「打席が多く回るのは上位です」「最後は牧に回らず敗退」などの声が寄せられた。

井端監督が描く“6番・牧”の長期シナリオ

 このように、当時 “6番・牧”には多くのファンが拒絶反応を示していたが、井端監督には明確な意図があったようだ。

 1月28日の『サンケイスポーツ』の記事「侍ジャパン・井端弘和監督、『プレミア12』で牧秀悟を6番起用していた理由」によると、「当然、ここ(WBC)でと思って、最初から代表に呼んでいたので。ここを見据えたら、そのあたりになるのかなと思って、あえて打順も(プレミア12では)6番とかで」と、牧を6番に据えた意図を明かした。

 そのうえで「力関係でいったらクリーンアップではあったと思うんですけど、それよりもここ(WBC)で結果を出すことが大事だと思っていた。それは本人にも伝えていた」と、牧の打順はあくまでもWBCを見据えたものだったと説明。

 たしかにWBCにはメジャー組が集結したことで、牧は下位打線を任されることになるだろう。プレミア12の決勝では、牧の直前で試合が終了したが、その伏線がWBCで回収されることになるのか。

 山田哲人とスタメンの座を争った3年前のWBCでは、15打数3安打ながら2本塁打2打点をマークしたが、決勝では出番がなかった。侍ジャパンの連覇のカギを握るのは、「6番・牧」で間違いなさそうだ。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。
ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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