昭和の産物とされる暴走族が、令和の今、拡大傾向にある。令和7年の警察白書によると、最新データで全国で144グループ・5880人いるとされ、微増しながらここ5年で最多を記録している。
絶滅寸前だったはずの暴走族が、なぜ増えているのか。

令和の暴走族の特徴とは?

暴走族が令和にふたたび増えているワケ。「バカだと思われるのは...の画像はこちら >>
現役暴走族やOBを数多く取材してきた『実話ナックルズ』編集部のバーガー菊池氏は、こう語る。

「不良漫画や映画の影響だったり、また彼らの親世代に元暴走族の人がいるので、家族が暴走族に理解があることも大きいでしょう。暴走族全盛期の80年代は100人規模の大所帯も多かったですが、最近の暴走族は数人から30人程度の小規模になっているのが特徴です。また、小規模ゆえに学年ごとの上下関係の序列が薄れ、絶対的な縦社会から同世代の仲間意識が強い傾向にあります」

目立ちたがり屋が選んだ暴走族の道

 埼玉県の暴走族に所属するルイさん(仮名・16歳)は、かなりのイカつい風貌で現れた。髪型は高く刈り上げたハイフェードカットで、手首にはゴールドの腕時計がギラつく。通信制高校に通いながら、週の大半は解体業で働いている。

「暴走族に入ったのは中三のとき。インスタでチームの先輩の走りを見て、カッコいいなって。先輩を通じて入隊して、お年玉で5万円の窃盗バイクを買って改造車にしました。俺らのチームは歴史があって、親世代からあったチームの名を復活させたんっすよ」

 チームは最大50人程いたが、違反運転などで逮捕者が続出し、現在は実質10人程に縮小。解散寸前のため、無免許禁止のルールを敷いており、さらに警察対策のため、連絡は秘匿性の高いSNSを使用しているそうだ。

「チームの人数は多いほうが箔がつきますけど、走るのは10~20人くらいが一番気持ちいいっすね。大人数だと自分が目立たないじゃないですか。
スピードも出せねえし、音を出しても誰の音かわかんねぇし」

 暴走族といえば、パンチパーマやリーゼントのイメージがあるが、今は別の髪型が流行っているとか。

「髪型は黒髪でハイフェード。フェードの高さ(刈り上げの位置)を競っていますね。高ければ高いほどカッコイイっす。週一で散髪してて、うちのチームを専門で切ってくれる人がいるんですよ。服装は普通の私服で、特攻服を着るチームはほぼ見ないですね。自分は一度は着てみたいけど、安くないっすから」

 どうやら、暴走族は“数より質”という持論があるようだ。

「昔と違って今ってSNSとかでいくらでも情報を得られるじゃないですか。だから上の人間のファッションとかを真似して、見かけだけ強そうにするヤツがいるんですよ。でも話し方とか挙動でザコだってわかるし、そういう形だけの“ファッション暴走族”はいらない。暴走族はやっぱり喧嘩上等で気合が入ってるヤツじゃないと」

 世間の冷ややかな目線も感じてはいるが――。

「バカだと思われるのはわかってるんですよ。
けど、俺はカッコいいと思ってるんで。例えば何か特技があって、スポーツで全国トップとかで注目を浴びられてたらやってなかったかもしれないっすけど。俺にとっては目立つ手段が“走り”だったから」

入隊後に目の当たりにした暴走族の現実

暴走族が令和にふたたび増えているワケ。「バカだと思われるのはわかってる」16歳の少年が語ったリアルと、昭和とは違う“特徴”
中二で暴走族に入った15歳のコウさん(仮名)。もうすぐ中学卒業を控える
 中二で千葉県の暴走族に入隊したコウさん(仮名・15歳)も、いわゆる“ヤンキー家系”で、暴走族に入るのも自然だった。

「父さんが東北のチームの頭、母さんもバイク好きなのもあって、小さい頃からバイクが大好きでした。暴走族に入る前は、やっぱり怖いイメージでしたよ。でも逆に自分の目で確かめようと思っていざ関わってみたら、優しくしてくれるし、何かあったら助けてくれるし、いい人じゃんって」

 約30人いるチームのLINEグループで、集会の声がかかる。深夜の国道を無免許運転で爆走し、行く先々で原付スクーターの窃盗を繰り返した。ただ、楽しい思いばかりではなく、暴走族の世界の怖さを目の当たりにしたという。

「自分のバイクが事故ったとき、運転してた先輩の下半身から血がドバドバ出ててガチ怖かった。あと抗争もヤバくて。タイマンでキンタマを蹴られてパンパンに膨れた人とか、足の骨が曲がっちゃったり、耳が半分取れかけてたり。何かあっても救急車とか警察を呼ぶわけにもいかないし……」

暴走族が令和にふたたび増えているワケ。「バカだと思われるのはわかってる」16歳の少年が語ったリアルと、昭和とは違う“特徴”
コウさんが愛用する日章コルク半。「コルク狩り」は今もあるとか
 暴走の事故、抗争トラブル、そして暴走族につきものなのが逮捕だ。

「暴走族やってると、いつか警察に捕まっちゃうじゃないですか。
僕も何回警察で取り調べを受けたか数えきれないですよ。もう中三だし、ちゃんと高校に入って卒業もしたいと思うと、このまま暴走族にいてもなぁって思っていました。今は、暴走族OBがいる旧車會にも顔を出しています。基本的に交通ルールを守っているし、僕は暴走行為がしたいんじゃなく、みんなで走るのが好きだって気づいたんで」

味わいたいのは“青春”?

 
 今回取材した2人に共通するのは、気合こそ入っているが“逮捕されたくない”という気持ちだ。前出のバーガー菊池氏曰く、その理由をこう分析する。

「昔は基本的に現行犯だけで、『警察が来ても逃げ切れば大丈夫』という状況だったので、運転技術を磨いてパトカーを巻いてました。それが今は、パトカーの車載カメラや街の防犯カメラなど、証拠となるものがたくさんあるんで、後日でも逮捕されやすい。それよりも、一緒に走りたいなど“青春”を彼らは味わっている印象がありますね」

 監視社会のなかでも、目立ちたい。認められたい。仲間と同じ時間を共有したい――。数は減り、規模は小さくなっても、彼らの衝動そのものは消えていないのだ。

編集者・バーガー菊池氏
岩手県出身。
実話ナックルズ編集部在籍。不良からエロまで手掛ける。編集担当した『旧車會天国 2nd』(大洋図書)が発売中

取材・文/ツマミ具依

―[[令和の暴走族]の肖像]―

【ツマミ具依】
企画や体験レポートを好むフリーライター。週1で歌舞伎町のバーに在籍。Twitter:@tsumami_gui_
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