2020年6月の改正道路交通法の施行により「あおり運転(妨害運転)罪」が創設。一定の抑止力となっているだろうが、それでも警視庁交通局の『令和6年中の交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について』によると、2024年の高速道路における車間距離不保持での取締り件数は4713件。

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 ピーク時に比べれば半分以下だが、警察がいない場所であおり運転は横行しており、ましてや一般道は含まれていない。統計はあくまで氷山の一角に過ぎない。

日中の県道で大型トラックを煽り続ける赤のSUV

 医療機器メーカーでMR(医薬情報担当者)をしている篠山健二さん(仮名・39歳)は、自身が被害者になったわけではないが、あおり運転の末の衝撃的な場面を目撃。当時の模様を次のように語る。

「昨シーズンの冬のことですが、いつものように担当する地区の病院の外回りをしていた時の話です。会社の白いワゴン車に乗って県道を走っていると、途中の交差点で私の前に入ってきた赤のSUV車が、さらにその前を走る大型トラックを煽り始めたんです」

 平日午後の明るい時間で、その県道は片側2車線のほぼ直線の道路。トラックは左車線を走っていたため、その気になればSUV車はすぐに追い抜くことができたが、車間距離を詰め、車体を左右に振るなどわかりやすい煽り方を続けていたそうだ。

「赤い車がなぜ急に煽り始めたのかはわかりません。ただ、後ろから様子を眺めていた印象では追い抜く気がなく、悪質な嫌がらせのように見えました。だから『うわぁ、タチの悪いドライバーに絡まれちゃったなぁ』と、トラックの運転手に同情しましたね」

被害者のトラック運転手が降りてきて…

 SUVはしばらく煽り続けていたが、ちょうどトラックの前で信号が赤に切り替わった時、事態は大きく変わる。なんとトラックの運転手が降りて、SUVのほうに向かってきたのだ。

「30代後半くらい、身長約180㎝のガッチリした身体つき。見た目だけでも威圧感がありました。しかも、大股で肩を揺らして歩いているし、完全に怒ってるなって。
なんか叫びながら近づいて来たため、少し寒かったですが気になって窓を少しだけ開けてみたんです。そしたら『オイ、この野郎! 何さっきから煽ってくれてんだよ! 文句あんなら出てこいよ!』って声が聞こえてきまして……。それも窓を強めに叩き、ドアノブを掴んでガチャガチャとやっていました」

煽り運転をしていた男性は車内から平謝り…

「文句あんなら出てこい!」大型トラックに“あおり運転”して返り討ち…調子に乗った“赤のSUV男”が平謝りするまで
※画像はイメージです。 画像生成にAIを利用しています
 ちなみに煽っていたSUVに乗っていたのは、アラフォーくらいの男性。トラック運転手のあまりの剣幕に恐れをなしたのか、車内から彼に向かってペコペコと何度も頭を下げている様子が見えたという。

 ただし、その謝罪に対しても「謝るくらいなら最初からするんじゃねーよ。そもそも何で煽ってきたんだよ。ちゃんと理由を話せって言ってんだよ!」とトラック運転手は追撃の手を緩めない。

「単にブチ切れてるだけかと思ったら意外と冷静だったみたいです(笑)。けど、SUVのドライバーは謝るだけで何も言わなかったんでしょうね。そろそろ信号が切り替わるかなというタイミングで『テメェの顔、覚えたからな。二度とこんな真似すんじゃねーぞ!』と言って、最後にスマホを向けていたので写真を何枚撮ったんでしょうね。それで自分のトラックに戻っていきました」

 なお、信号が青に変わって車が動きはじめると、SUVは逃げるようにトラックを追い抜き、そのまま走り去ってしまったとか。

煽り運転したバチが当たった?

 篠山さんは、毎日営業車に乗っていることもあり、あおり運転自体は何度も目撃したことがあるという。
それでも今回のようにぶち切れた被害者が車を降り、加害者側に詰め寄った場面に遭遇したのはこれが初めてとのこと。もちろん、直接関わりのない第三者だったが、心の中でトラックドライバーに拍手を送ったという。

「正直言って痛快だったというか、いいものを見せてもらいました。トラックの車体には会社のロゴや名前が一切なかったですし、その辺があそこまで強気に出られた理由かもしれないですね」

 さらなるトラブルに発展する可能性があるため、いくら被害者であってもトラック運転手のような振る舞いは慎むべきだろう。でも、煽り運転をした側にとっても、相手によっては返り討ちに遭う危険性がある。そのことを肝に銘じてほしいものだ。

<TEXT/トシタカマサ>

【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。
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