社会の目まぐるしい変化によって、我々の生活はかつてない脅威に晒されている。治安悪化、家庭崩壊、雇用形態のドラスティックな変化──いつ奈落の底に落ちないとも限らない危機がそこかしこに潜んでいるのだ。
そして今、新たに浮上しているのが、不同意性交等罪を悪用したとされる“示談金ビジネス”の存在だ。実刑か高額示談かの二択を迫られ、突然加害者にされる。当事者や弁護士の証言から、その実態に迫る。

5年以上の実刑か、500万円の示談金か

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「長年通ったメンズエステでハメられました。5年以上の実刑か、500万円の示談金か。今、究極の二択を突きつけられています」

そう語るのは、都内でサラリーマンをしている尾崎一真さん(仮名・39歳)。ある日突然、警察から電話が入り、絶望の淵に立たされている。

「相手は初見の女性でした。仰向けになると、向こうから誘うように“本番”が始まった。その時はラッキーだと思って応じてしまったんです。ところがその5か月後、『無理やり本番を強要しましたね』と警察から電話が……。

パニックになりすぐ弁護士に相談しましたが、『証拠がない以上、実刑を免れたければ示談をのむしかない』と諭されました。後で知ったのですが、店のオーナーが代わった直後の出来事だったそうで、最初から罠だったんだと思います……」

尾崎さんのようなケースが今、全国で多発している。
きっかけは、’23年に施行された不同意性交等罪だ。暴行や脅迫といった物理的な強要がなくとも、「同意の有無」さえ問えれば立件が可能となった。

本来、多くの性被害者を救済するための改正だったが、この法律の運用が新たな歪みを生んでいる。

女性有利な法律を悪用し高額な示談金を要求!

「もはや、法律を悪用した“合法的な美人局”です」

そう指摘するのは、性犯罪の実態に詳しい弁護士の加藤博太郎氏だ。

「弁護士やスカウトマンがナイトワーカーに入れ知恵し、性行為に及んだ男性から多額の示談金をむしり取るビジネスモデルが確立。本番行為だけでなく、口淫や指での愛撫、あるいは未遂であっても一発で5年以上の拘禁刑に問われる現行法が悪用されています。

示談金の相場は500万円と高額ですが、拘禁刑を恐れて泣く泣く応じる男性が後を絶ちません。かつての痴漢冤罪と非常によく似た構造で、極めて悪質です」

「『地雷客』からカネをむしり取って何が悪いのか」

「実刑5年以上か示談500万円か」不同意性交等罪を悪用する美人局が増加…当事者が語る“突然の悪夢”
「お酒を飲んでホテルに行けば私の勝ち。泥酔して判断力がなかったと言えばいいので」(木下さん)
風俗店で働く木下理沙さん(仮名・28歳)の証言は、衝撃的だ。

「都内の店は競争が激しく、客がつかない日も少なくありません。それに、実際に本番を強要してくるオッサンもいる。そんな『地雷客』からカネをむしり取って何が悪いのか、という感覚です。

風俗嬢が集まるLINEグループでは、不同意性交等罪で告訴し、示談に持ち込むまでのノウハウが共有されています。露骨すぎると店で干されますが、そうなれば別の店へ移ればいいだけ。スカウト経由で『融通の利く弁護士』を紹介してもらっているコもいます」

前出の加藤弁護士は、さらに踏み込んで解説する。


「弁護士が介入することで、本来は恐喝になり得る法外な金銭要求も示談交渉にすり替わります。事実、弁護士とグルになって事件を誘発しているようなケースも目立ち始めている。風俗だけでなく、キャバクラやマッチングアプリなど、今や至るところに出会いを装った罠が仕掛けられています。

警察も基本的に被害届は受理せざるを得ないそうで、証拠さえ揃えられれば数年前の出来事まで遡って立件されるリスクがあることも、男性は知っておくべきです」

令和のおじさんたちにオフィスラブはできない

この問題の根深さは、たとえ夫婦や元恋人、セフレであっても、事後に女性側から「無理やりだった」「断れなかった」と主張されれば、男性は逮捕・起訴のリスクを免れない点にある。職場の上司や部下といった権力勾配がある関係なら、なおさらだ。

「極端な話、事前に合意書を交わしていても、後から『立場上、拒絶できなかった』と言われれば男性側の立場は危うくなる。もはや、『現代のおじさんにオフィスラブは不可能』と言える状況です」(前出・加藤氏)

この状況下で男性がすがる唯一の手段が「録音」だ。マッチングアプリでの出会いを繰り返す会社員の柳沢健一さん(仮名・42歳)は、入念な準備を怠らないと話す。

「強引な誘いをしない、女性を不快な気持ちにさせないというマナーは大前提です。そのうえで冤罪を防ぐ最大の手だては『録音』しかありません。動画撮影は『性的姿態等撮影罪』に抵触しますが、音声録音は法に触れず、防衛策として許容されています。

これからホテルに……という流れになれば、私も必ず録音するようにしています。ラブホテルに行く場合は、入室時に女性に部屋を選んでもらったり、コンビニでコンドームを一緒に買うといった、本人の性行為への積極性を示す客観的な証拠を防犯カメラの前で積み上げることも重要です」

事後の「アフターケア」は必須

「実刑5年以上か示談500万円か」不同意性交等罪を悪用する美人局が増加…当事者が語る“突然の悪夢”
柳沢さんのLINE履歴。「楽しかった」などの言質で合意を証拠化し、自分からコスプレなどの性的な話題を振り、女性が乗り気である状況証拠を積み上げる
事後の「アフターケア」も必須だという。

「LINEで『楽しかった』という言葉を女性から引き出し、履歴を保存しておく必要があります」(柳沢さん)

加藤氏は、改めて現状の法運用に警鐘を鳴らす。


「性犯罪は決して許されるものではなく、この法律で救われた女性が多いのも事実。しかし、『同意の有無』という曖昧な尺度のせいで、一度訴えられれば男性に勝ち目がない現状は、示談金ビジネスの温床となっています。あまりにも行きすぎたケースが増えており、危惧しています」

行為のたびに録音し、告訴に怯える。そこには情緒などのかけらもない。だが、これこそが現代の男性たちが置かれている状況なのだ。

合法的美人局の典形パターン

【風俗嬢】裏オプで合意も態度が一変!

裏オプを提示され行為に及ぶも、突如拒絶され被害届を出される。背後に店側の関与が疑われることもあるが、女性は店から姿を消しているため、事実確認が困難になり詰む。

【飲み屋型】アフター後の飲酒が争点に

アフターの後にホテルへ行くと、事後に「泥酔して抵抗できなかった」と主張される。飲酒により判断力が低下し、同意しない意思形成が困難な状態だったとされ、一方的に加害者に。

【マチアプ型】高級志向のアプリでトラブル多発!

示談金を支払える富裕層は格好の標的。特に出会い目的の高級アプリに多く、金銭で揉めた途端に被害届をチラつかされ、不同意であったと既成事実化される危険性がある。

【職場型】上司に逆らえなかった」の一言で終わり

職務上の立場がある以上、合意があったとしても「上司の命令に逆らえなかった」と言われれば最後だ。
地位を利用した心理的強制があったと見なされ、有無を言わさず加害者に。

【恋人型】関係悪化が警察沙汰に発展

長年の関係があっても、別れ話がこじれれば致命傷に。普段は合意の上でも、関係悪化後に「この日だけは無理やりだった」との主張が通用し、過去の行為が警察沙汰に発展も。

【弁護士 加藤博太郎氏】
加藤・轟木法律事務所代表弁護士。性犯罪に強く、最近ではサッカー選手・伊東純也氏の性加害疑惑で伊東氏側の弁護を担当した
「実刑5年以上か示談500万円か」不同意性交等罪を悪用する美人局が増加…当事者が語る“突然の悪夢”
弁護士の加藤博太郎氏
※週刊SPA! 2月17日号より

取材・文/週刊SPA!編集部

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