最近、私のもとに「最近女優さんの数減っていませんか? 特に名前の出ない作品にしか出ない企画女優がかなり消えたと思います」といった内容のメッセージが送られてきた。

セクシー女優が減っている理由

“AV新法”が生んだ「セクシー女優の残酷な構図」…「売れっ子...の画像はこちら >>
 たしかにこれは鋭い質問で、AV新法導入後から企画女優は減っている。というか、リリース作品そのものが少なくなったので、名前の出ない作品にしか出られないような女優は仕事が減り、その結果引退するしかない状況になっているのだ。


 結果的に、企画モノにも素人役として有名キカタン(企画単体女優)が出ている始末。あとは、有名キカタンから単体専属になっているケースが増え、女優全体の数が減っているといっても過言ではないだろう。

 この流れは業界にとって、メリット・デメリットどちらも発生する。業界人からして、一部で旨味を感じられても、ユーザーからの不満、そして企画女優として活動する演者など、諸々の部分で支障をきたす悩ましい問題ではある。

お金が一部にしか集中しない…得する人・損する人の差

 AV新法導入後は撮影日からリリースを4カ月~半年程度空けなければならず、スピーディーな動きが不可能となった。セクシー業界では親しまれていた時事ネタのパロディも時間差で出すことになり、リアルタイムさが失われつつある。

 リリースまで一定期間を空ける仕組みへ変更すると、新法導入前のように作品を乱発できないので、自ずと現場数が減ってしまう。言い方は悪いが「数打ちゃ当たる」が通用しないとなれば、一発あたりの数字を上げることがマストになり、絶対に数字が取れる演者が優先的に起用されることに。

 その結果、仕事が全体に行き渡らずオファーが偏るせいで、無名な企画女優へのオファーが減り、仕事がない女優は継続が困難になり、引退を余儀なくされるという悲しい構図が完成する。

 私も売れない女優だったので、今でも現役を続けていたら仕事ゼロの状態へ陥っていたかもしれない。

 苦しい人が続々と現れる一方で、売れっ子はウハウハだ。数字が取れる演者にオファーが殺到するとなれば、多忙な日々を送れて収入は青天井。作品を出せば出すほど人目に触れてファンがつきやすく、お金も手に入る“良いサイクル”にハマれる。


 売れっ子はどんどん伸びる仕組みになり、反対に数字を持たなければ本当に厳しい状況に……。現在の業界はさらに格差が凄まじく、質問者の「企画のコが減った気がします」なんて意見は間違っていないのだ。

企画女優は「不要ではない」現実

“AV新法”が生んだ「セクシー女優の残酷な構図」…「売れっ子は収入青天井、無名は引退」の現実
元セクシー女優でフリーライターの「たかなし亜妖」
「売れっ子だけで回せばいいなら、企画女優はもう不要なのだろう」という意見を持つユーザーも多いが、これはとんだ誤解である。

 業界の花形が単体作品を出せる女優であることが事実でも、企画女優は大切な縁の下の力持ち。無名でも、名前の出ない作品に出続けて、一定数の収入を得られる演者も少し前は少なくなかった。ちなみに私も現役時代、この例に当てはまっている。

 売れっ子を揃えれば数字は安定するものの、ユーザーが「またこのコか」と飽きられる危険性大。顔が知れた女の子がナンパモノに出ていれば「素人じゃないだろ!」とツッコミたくもなり、リアル感が一切なくなるのはイタい。

 もちろん企画女優もビデオに出まくっていたら大多数に“認知”はされてしまうが……。単体作品が少ないコほど、素人系現場ではありがたく思われるのだ。

企画女優が“女優ドリーム”を掴む可能性も

 それに、その他大勢からどんどんのし上がる“女優ドリーム”を掴む可能性を秘めているのも、企画女優の魅力。最近の事務所もメーカーも“育てる”ことを積極的にしなくなったが、それでも無名から売れっ子へ変貌を遂げる例は何とも輝かしい。

 最初から売れっ子よりも、育てられた女優の方が人々の心を掴みやすく、周りに希望を与えられる。この手の女優が極端に減ると、腐る演者が現れ、脱落へと繋がりやすいのが悩ましい問題といえよう。


「どうせ売れない」と一度思えば最後、早期引退が頭をよぎるのも頷ける。

AV新法がもたらした、さまざまな影響…

“AV新法”が生んだ「セクシー女優の残酷な構図」…「売れっ子は収入青天井、無名は引退」の現実
たかなし亜妖
 限られた優秀な演者が残る今のセクシー業界は、本当にサバイバル。私がデビューした2016年時点ですでに「生き残り大戦争」だったのだが、コロナ禍以降は戦いが加速し、新法導入も影響して企画女優の減少へと至った。

 裏方としても企画女優が不要だなんて思わない。ただAV新法のルールにより覆しようがない条件を飲むからこそ、現在の状況を強いられているだけなのだ。

 新法によって演者を守るような動きが安定化するのは嬉しいものの、その分のデメリットが大きくなればいずれは業界の雲行きが怪しくなる。もう少しビデオが売れて、作品数を増やせるようになれば企画女優もまた増えると思うが、なかなか良い策が出てこない。

 これはビデオ業界が長年頭を悩ませる課題であり、打破しなければならない高い壁だと筆者は考えている。

文/たかなし亜妖

―[元セクシー女優のよもやま話]―

【たかなし亜妖】
元セクシー女優のフリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ソーシャルゲームのシナリオライターを経て、フリーランスへと独立。WEBコラムから作品レビュー、同人作品やセクシービデオの脚本などあらゆる方面で活躍中。

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