チームみらいとして初めて臨んだ衆院選で、比例381万票を獲得。特に都心部での人気が高く、比例東京ブロックの中央区、港区などを含めた10の区で自民に次ぐ2番目の得票を記録した。
これを受けてSNS上では「自民党の選挙不正から目を逸らすためにみらいの票を水増しした」と陰謀論を唱える人も……。
ジャーナリストの石戸諭氏は「躍進の背景を冷静に分析すれば、不正や陰謀では説明できない“支持の理由”が見えてくる」と指摘する(以下、石戸氏の寄稿)。

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「参政党票を盗んだ」陰謀論も吹き荒れる、みらいの課題とは?

衆院選を経て、野党の勢力図が激変した。大敗を喫した中道改革連合は小川淳也新体制で再起を図ろうとしているが、参院立憲民主・公明が合流しなければ、所属議員数で野党第2党に転落する。共産党、れいわも大きく議席を減らし、リベラル・左派勢力は今や消滅の危機に瀕している。

対照的に、躍進したのは結党1年足らずの「チームみらい」だった。公示前ゼロ議席から11議席を獲得しただけでなく、東京ブロックでは自民、中道に次ぐ88万もの得票で“比例第3党”に躍り出た。その人気ぶりを妬むように、陰謀論まで噴出している。「動画再生数に比べて得票数が多すぎる」「財務省がバックについている」などの邪推はまだかわいいもので、「参政党の票を盗んだ」とする不正選挙論まで飛び出した。それも、著名人や政界関係者まで疑惑の拡散に加担しているのだから頭を抱えるほかない。

彼らにとってみらいの躍進は異常なのかもしれないが、安野貴博党首ら関係者とも付き合いがある私に驚きはなかった。想定よりも獲得議席数が多かった程度か。


当初、安野氏が掲げていた目標は5議席だった。高すぎる目標だったが、高市首相が消費減税に言及してから潮目が変わったという。恒久的か時限的かの違いはあるにせよ、各党が「下げる」ことで一致するなか、党首の中で最も若い安野氏だけが反対を表明すれば否が応でも注目される。消費減税は世論の中でも一定数の反対派がいる。選挙後の読売新聞の調査でも減税や廃止に関して、実に38%が「評価しない」と回答していた。

みらいは結果的にではあるが、「消費減税は無責任」「将来世代の社会保障はどうなるのか」と考える人々の受け皿をつくった。これはかなり効果的だったのではないか。

安野氏らが演説で強調した「相手を貶めない」姿勢も好感を呼んだと思う。取材では、若い世代を中心に与野党の批判合戦に呆れ、テック活用や政治的課題の解決策を提案するみらいの姿勢への共感を聞くことができた。

もっとも、問題は“この先”だ。テクノロジー問題特化型の政党でいくのか、幅を広げた政策パッケージを打ち出す政党になるのか。社会保険料引き下げを訴えるが、具体策は他党と比べて明らかに弱い。
加えて、今後はみらいとしての国家ビジョンも求められることになるだろう。いずれにせよ、彼らは昨年の参院選以上に有権者の支持を得た。それは陰謀論とはまったく無関係のシンプルな事実である。

「参政党票を盗んだ?」陰謀論も拡散。チームみらいが躍進した“本当の理由”/石戸諭
石戸諭
<文/石戸諭>

【石戸 諭】
ノンフィクションライター。’84年生まれ。大学卒業後、毎日新聞社に入社。その後、BuzzFeed Japanに移籍し、’18年にフリーに。’20年に編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞、’21年にPEPジャーナリズム大賞を受賞。近著に『「嫌われ者」の正体 日本のトリックスター』(新潮新書)
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