少しずつ春めいてきた今日この頃だが、花粉症の人にとっては憂うつな季節の到来でもある。しかも、2026年は花粉症持ちにとってツラい年になりそうなのだ。

花粉症シーズンが長期化!? “花粉症ゾンビ”にならないため...の画像はこちら >>

「1月中旬から、早くも花粉症の患者さんが来院しています。今年の花粉症シーズンは長期化すると予想しています」。
そう話すのは、池袋ながとも耳鼻咽喉科院長の長友孝文先生だ。

さらに、「シーズン長期化によって、花粉症をきっかけに風邪や体調不良を起こしやすく、“花粉症ゾンビ”が懸念されます」と長友先生は言う。鼻水をダラダラ垂らしながらゾンビのように徘徊するのか⁉と思いきや、そうではなく、「倒しても倒しても襲ってくるゾンビのように、体調不良が次々に襲ってくる」ことが、“花粉症ゾンビ”の意味だという。

花粉症シーズンが長期化!?  “花粉症ゾンビ”にならないために、すぐ始めるべき習慣とは【医師監修】
長友孝文先生
そんな「体調不良の連鎖」は、なぜ起きるのか? どうすれば防げるのか? 長友先生に、前後編でじっくり解説してもらった。

花粉症シーズン長期化、原因のひとつは「二季化」

日本気象協会やウェザーニュースなどの予測によると、2026年春の花粉飛散量は、「西日本では例年並みの所が多い」「一方、東日本と北日本では例年より多く、非常に多い所もある見込み」。関東ではすでに花粉の飛散が観測されている。

この「花粉量」は、実は前年の夏の気象に左右される。夏の日照時間が長く、気温が高い場合、雄花の量が多くなることで、春先の花粉飛散量が増える傾向にあるのだ。

花粉症シーズンが長期化!?  “花粉症ゾンビ”にならないために、すぐ始めるべき習慣とは【医師監修】
花粉症
近年、「二季化」と呼ばれる気候変動(春・秋が短く、長く暑い夏から急に冬になる)が問題になっているが、これは花粉が増えやすい気象と言えるわけだ。
2025年の夏も、ウンザリするほど酷暑だった。そのせいで今年の花粉量が増えて、花粉症シーズンが長くなるなら、ますますウンザリである。


花粉症が、体調不良の引き金になるわけ

ではなぜ、花粉症がきっかけで体調不良に襲われる“花粉症ゾンビ”現象が起きてしまうのだろうか?

長友先生によると、花粉症とはアレルギー性鼻炎のひとつで、「免疫システムの暴走」が原因だという。

「異物である花粉が侵入したことで、鼻やのどの粘膜の免疫が過剰に働き、炎症を引き起こす。これが花粉症です。
炎症の結果、粘膜が腫れて、ウイルスなどが侵入した際に免疫細胞や抗体が届きにくくなり、対応が遅れます。そのため、体調不良や他の感染症を引き起こしやすい。
例えば、花粉症シーズンは風邪をひきやすくなり、『風邪か花粉症かわからない』と訴える患者さんも少なくないです」(長友先生、以下同)

本来は、異物をやっつける“良いシステム”の「免疫」が、花粉症では働きすぎてしまい、くしゃみ、鼻水、涙などの嫌な症状が出るのだから皮肉なものだ。そして、免疫システムがバグることで、風邪、インフルエンザ、新型コロナなど、感染症のリスクも高くなってしまうわけだ。

対策の基本は「手洗い、うがい、鼻うがい」

では、花粉症を防ぐには、何をすればいいのだろう?
基本は、よく知られているとおり「花粉にふれないこと、ふれたら早めに洗い流すこと」だ。

「まずは、手洗い、うがい、鼻うがいを習慣化すること。できれば、帰宅後にそのままお風呂に入って、体や髪をしっかり洗うのがベストです。
また、モコモコの毛羽だったコートやマフラーは花粉が付きやすいので、注意しましょう。
私もひどい花粉症でしたが、空調が管理された大学病院などで勤務していたため、花粉に接触する機会が減り、症状が軽くなりました」

花粉症シーズンが長期化!?  “花粉症ゾンビ”にならないために、すぐ始めるべき習慣とは【医師監修】
「鼻うがい」までしている人は多くないのでは?やってみよう

花粉症を改善する「プロバイオティクス」とは?

前述のとおり、花粉症を含むアレルギーは免疫システムの問題なので、日頃から免疫バランスを整えることも大切だ。
『鼻アレルギー診療ガイドライン 2024年版』(編集:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会、金原書店)は、10年ぶりの改訂で、以下のような「プロバイオティクス」のページが追加された。

花粉症シーズンが長期化!?  “花粉症ゾンビ”にならないために、すぐ始めるべき習慣とは【医師監修】
鼻アレルギー診断ガイドライン
「アレルギー性鼻炎症状を改善する有効なプロバイオティクスが存在する」
「プロバイオティクスとは(中略)腸内フローラのバランスを改善することによって、宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」(同書より)とのこと。


具体的には何をすればいいのか? 長友先生によると、
「プロバイオティクスとは乳酸菌などの有用菌のことで、多く含まれる食品の代表例はヨーグルトです。ヨーグルトなどに含まれる有用菌は、カラダの中で働く期間が限られるため、毎日摂り続けることが必要です。
プロバイオティクスを多く含む発酵食品、食物繊維、ビタミンDの“三部隊”が、花粉症ゾンビと闘う味方になります」

花粉症シーズンが長期化!?  “花粉症ゾンビ”にならないために、すぐ始めるべき習慣とは【医師監修】
ヨーグルト
また、ハードな花粉症の人は、医療機関で経口薬、点鼻薬、注射などの治療を受けることも選択肢のひとつだ。後編では、これらの標準医療や、根本的に治す治療法、免疫バランスを整える生活習慣などを、より詳しく長友先生に聞く。

【長友孝文(ながともたかふみ)先生プロフィール】
耳鼻科医、池袋ながとも耳鼻咽喉科院長。
2007年国立大学法人浜松医科大学医学部医学科卒業。東京大学医科学研究所先端がん治療分野特任研究員、自治医科大学病院耳鼻咽喉科病棟医長、外来医長などを経て、2022年池袋ながとも耳鼻咽喉科を開院。自身が長年アレルギー性鼻炎に悩まされていたことに加え、すべての世代を一生涯通して診療が行えることで耳鼻咽喉科に尽力。

<文/川崎かおり>
編集部おすすめ