お笑いコンビ・デンジャラスのノッチ氏(60歳)は、爆笑問題やさまぁ~ずと同期。
ただ、2017年に退任したオバマ氏の露出度に比例してか、各種メディアで姿を見かける機会が少なくなった気がする。今現在、どのような活動に身を置いているのか。本人を直撃した。
60歳で100キロ走破。マラソンをはじめたきっかけは?
ーーノッチさんといえば1990年代に一大ブームとなった「ボキャブラ天国」や、2008年頃からのオバマ大統領のモノマネを覚えている人が多いと思います。現在はどんな活動をしているんですか?ノッチ:マラソン大会のゲストランナーとして呼んでいただいたり、走る仕事が多いですね。2023年と2024年の「FNS27時間テレビ」(フジテレビ系列)で、100キロマラソンに挑戦した時には、たくさんの反応をいただきました。今は春と秋に放送される「オールスター感謝祭」(TBS系列)のマラソンに向けて燃えています。
ーーマラソンはいつ頃から始めたんですか?
ノッチ:40歳手前くらいからなので、もう20年以上前ですね。
ーー何かきっかけがあったんですか?
ノッチ:若い時は痩せていたので、その時のイメージでもやしっ子の役をやる仕事の依頼がきたんですよ。でも、僕は当時86キロ(身長168センチ)まで太っちゃってて、先方がこんなはずじゃなかったとなっちゃったんです。家に帰って、嫁さんにそのことを話したら「痩せるぞ!」って言われて、いくつかの運動を提示された中にマラソンがありました。
16キロ痩せ、仕事にも繋がった
ーー実際、それでどのくらい痩せたんですか?ノッチ:食事の管理もしてもらって、半年で16キロ痩せました。
ーー痩せて仕事をもらうために走り始めて、今は走ること自体が仕事になっているんですね。
ノッチ:バラエティ番組でもスポーツ系の企画の時は、若手に混じって出させてもらうことも多いです。運動前に、トレーナーの方が年代に合わせたストレッチをするために「30代の方手を上げてください。40代の方は?」と聞いていくんですが、50代までしか聞かれません。若手の中に60代なんているわけないと思われてるんですよね。ちっちゃい声で「あの、僕60代です」って(笑)。
空前の「ボキャブラ」ブームを振り返る
ノッチ:それがなかったんですよ。
ーーそれは意外です!
ノッチ:爆笑問題さん・ネプチューンさん・海砂利水魚さん(現くりぃむしちゅー)とかは、すごい人気でしたけどね。地方のホールで「ボキャブラ芸人集合」みたいなイベントがあっても、そのあたりのスター選手たちがいないと、5割とか6割しか埋まらなかったりしてました。
ーーとはいえ、あれほどの人気番組に毎週出ていれば安泰な気もしますが。
ノッチ:いえ、むしろ焦っていました。番組自体は長年やっていたんですが、芸人がメインで出ていたのは実質半年ほどなんですよ。
ーーそんなに短いんでしたっけ?
ノッチ:例えば「爆笑レッドカーペット」はレギュラー放送が4年もありましたけど、ボキャブラは約半年。芸人はその中でチャンスをつかんでいく。だから、「早く次を見つけなきゃ!」と焦っていました。
仕事ゼロの極貧時代、ダチョウ倶楽部が「食わせてくれた」
ーーボキャブラが終了して、実際に次は掴めたんですか?ノッチ:掴めなかったんですよ。全然仕事がなかったですね。事務所の先輩のダチョウ倶楽部さんのロケにちょっと出してもらうとか、とにかく自分の力ではなく先輩方の力で少し仕事があったというくらい。
ーーでは、芸人の収入では生活できないくらいの感じですか?
ノッチ:そうですね。だから、同じ事務所の先輩が、ローテーションで僕に飯を食べさせてくれるという日々でしたね。特に、ダチョウ倶楽部の3人にいつもお世話になっていました。
ーーかなり苦しい時代でしたね。
ノッチ:なので、太ったせいで仕事を逃しそうになった時は、痩せるためにマラソンに必死でした。
痩せていたからこそ掴めた「オバマ」という飛び道具
ノッチ:これも、マラソンで16キロ痩せていたからなんですよね。86キロあった当時だったら全然似ていませんでしたから。
ーーマラソンをやっていて良かった!似ていることは、どうやって発見されたんですか?
ノッチ:最初は、嫁さんが気付いてくれて「顔写真だけでもブログに載せなさい」と言われたので、その通りにしたんですよ。そしたら、ある記者さんが見つけて記事にしてくれて、一気にネットニュースで広がりました。
ーーそれでまた一気に仕事が増えましたか?
ノッチ:テレビもそうですが、取材やイベント出演もものすごく多くて、ボキャブラの時以上に忙しくなりましたね。おかげで、収入もやっと安定してきました。オバマさんは2016年まで大統領をなさっていたので、その間は私もおかげさまでお仕事をいただけていました。
ーーですが、オバマさん退任後はまた仕事が減ってしまうのではないですか?
ノッチ:そうなんですが、ちょうどそのタイミングで嫁さんが「鬼嫁」として取り上げていただいて、夫婦でたくさんメディアに出させてもらってなんとかなりました。だから、僕はいつも誰かに助けられてるんですよ。
警視庁の仕事からナイロビまで「なんでもやります」
ーーご自身の人柄や素質があるから、周囲が助けてくれるんだと思います。ノッチ:そうですかね。とにかく周りに助けられているから、本当に言われたことはなんでもやらせてもらいたいと思っています。
ーー「なんでも」のレベルが高い要求もあるんじゃないですか?
ノッチ:50代でいきなり「来週からナイロビに行ってください!」って急に言われたこともありましたね。しかも、現地集合・現地解散だったんですよ(笑)。
ーー何があっても出続ける精神がすごいですね!
ノッチ:出ていれば見てくれる人は必ずいますからね。こないだは警視庁の仕事をいただけたんですよ。「万引き防止広報大使」として嫁さんと二人でイベントに登壇しました。
ーー今後の目標を教えてください。
ノッチ:初めてのレギュラー番組を持ちたいですね。長らく芸能生活やってきて、まだレギュラーはゼロなんですよ。なので、何か一つでも獲得したいです! 妄想で、僕の散歩番組とかを考えたりしています(笑)。
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“オバマ以降”も、生き残り続けている理由を垣間見た気がした。同世代の芸人が大御所扱いされるなか、ノッチさんには謙虚さゆえの親しみやすい空気が漂っている。芸能界でも、一般企業でも、いじられる“余白”がある人は愛される傾向にある。これから走り続け、健康体を維持した末にはどんな未来が待っているのか。興味深く見守っていきたい。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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