2026年2月11日、衝撃的なニュースが受験業界を駆け巡りました。
その日に発表された東大推薦入試の合格者に、「合格確実」とされたある学生の受験番号がなかったためでした。
その学生は、日本でも数十年にひとりいるかいないかというレベルの、非常に高い実績を携えたにもかかわらず、東大推薦では選ばれなかったのです。
Xを中心とするインターネット上では議論が紛糾。特に、理系学生や理系出身者らは猛反発し、「東大推薦に価値はない」とまで言わしめるほどに。
確かに、圧倒的な実績を携えた学生が合格できなかった今回の騒動は、私にとっても非常にショッキングでした。
私自身、昨年より東大入試を様々な観点から研究しており、東大推薦に関する研究調査も行っていたためです。
ただ、一方で、「東大推薦の選抜機構は、おそらく正常に機能している」と判断できるような要素もあったように感じます。
昨今の大学は一般入試の割合が50%程にとどまっており、恐らく今後は推薦入試がより勢いを増すと予想されますが、今回は「推薦入試システムと選抜機構」について、独自調査を基に明らかになった内容を基に、私の予想も踏まえてお伝えします。
推薦と一般の違い
推薦と一般入試で大きく異なるのは、選抜システムです。従来のペーパーテストで振り分ける一般入試に対して、推薦では書類審査及び面接を中心とします。
非常に単純な違いですが、これこそが、今回の議論を複雑化させた諸悪の根源といえるでしょう。
一般入試の場合は合格・不合格の基準やその理由が誰の目にも明らかな形でわかる透明性を保持しているのに対して、推薦入試は基準も理由もすべてが不透明であるからです。
つまり、一般入試で東大に入りたければ、共通テストと二次試験を合わせた550点の内、志望先に寄りますがおおよそ350~400点を取れば合格できることが、傾向から判明しています。
採点結果は希望者全員に送られてきますし、合格最低点や合格者平均点なども公開されるため、合否の理由は誰の目から見ても明確です。
一方で、推薦入試の場合、「書類審査」と「共通テスト点数」および「総合評価」の三つの情報しか明かされません。
共通テスト点数はさておき、書類審査と総合評価はA~Eの5段階で示され、A・B判定の場合は合格、C以下の場合は不合格とされます。
問題は、A・B判定の学生とC~E判定の学生で、いったい何がどう異なったから差が着いたのか、明らかにされない点でしょう。
一般入試組なら「数学でコケたから差がついたのだな」とか「英語で点数を稼いだから受かったのだな」とか、自分の点数と平均点から敗因・勝因をある程度分析できます。
しかし、評価が数値化されていない推薦組は、勝っても負けてもその理由がわからないのです。
だからこそ、今回のような謎の不合格が起きることも例年ありますし、逆に合格した学生も「なんで優秀な別の学生を差し置いて自分が?」と首をかしげるようなことすらも起きている。
学生が大きく振り回されているといっても過言ではありません。
推薦システムの“真の狙い”を予想
では、批判や抗議の声をあげれば、このシステムは変わるのか?ここから先は私の完全な予想となりますが、おそらくどれほど抗議を重ねても、変わることはないでしょう。
なぜならば、不透明化こそが今回の目的であろうと私は考えているからです。
東京大学は日本最高クラスの大学でありながら、やはり東京の大学であるからか、関東圏の学生が数多く通っています。
その割合は、昨年時点で60%を突破しており、近々70%以上が関東圏の学生となることが予想されるほど。
これが、ただの東京にある総合大学ならば「関東の学生がたくさん」でもいいかもしれませんが、東京大学は日本でも最高の権威を誇る学校です。
伝統的に官僚候補生を養成してきた実績を持ちますが、日本の未来を支える官僚たちやそれに準ずる職業に就くエリートが、みな関東圏出身者になることは、特に地方部のリアルが見えにくくなるなど、ゆがみを生み出す可能性があります。
同時に関東圏には様々な進学校や進学塾が存在し、それらはみな声高に「東大合格者数」を宣伝材料として叫びます。
もちろん彼らも飯のタネである学生を多く集めるために、「東大に合格するノウハウ」を研究し、利益独占を狙う。現在白熱する中学受験ブームもこれに拍車をかけます。
要するに、一都三県を中心に教育投資をふんだんに受けた裕福な家庭出身の子弟ばかりが東大生になっている現状があるのです。
そして、東大も近年「多様性の尊重」を繰り返しており、これを憂いているだろうと予想できます。
なぜ東大から多様性が失われつつあるのか
一部進学塾や進学校出身者まみれになってしまったのは、学力試験が非常にハックしやすいためでした。東大の問題は良問ぞろいといわれますが、裏を返せば「真っ当にやれば解ける程度の問題」が揃っている。
私自身、奇を衒った問題や重箱の隅をつつくような知識問題がほぼ出ないと知っていたので、対策しやすかったことを覚えています。
学力試験は、学力という単一パラメータの長短を競うものであり、しかもこれは定式化されたトレーニングを一定期間積めば、誰でもある程度は伸ばすことができると来ている。
それに、負けても敗因は明らかなのですから、対策も立てやすい。透明性が担保された単一パラメータでは、どうしても攻略されやすくなってしまいます。
そこで東大が出した苦肉の策こそが、推薦入試なのではないでしょうか。すなわち、「パラメータを非公開にしてしまう」のです。
それに、私が調査した限りでは、おそらく複数個のパラメータを用意して、それぞれ独立の審査項目として設けているようなきらいがあります。
こうすれば、「何が評価され、何が評価されないか」がわかりにくく、ハックされにくくなる効果が望めます。
もちろん、東大側もこれによって透明性も公平性も失われてしまうことは承知の上でしょうが、それでもなお荒療治の必要があると考えたからこその推薦枠導入なのではないでしょうか。
東大から感じた本気の覚悟
昨今の大学受験はかなり窮まったところまできており、「どんな勉強をどのルートで辿っていけばいいか」がある程度定式化されてしまっています。もちろん、個別の生徒により進捗は異なりますが、それでも進むべき道筋とゴールは変わらない。
となれば、あとはどれだけ早くその道に乗り込み、進み始めるかを競うゲームになってしまっている。受験の早期化は、当然の帰結として現れました。
今回の東大の施策が、最善とはいいません。
明らかに恣意的な判断で合否を決めていますから、落とされたほうはたまったものではない。
合格しても、「推薦枠」と色眼鏡で見られる危険性もあり、勝っても負けても反応に困る試験になっている感は否めません。
ただ、それでも妥協せず当初の目的を達成しようとし続けるその姿勢からは、「このままではいけない」と本気で感じたが故の覚悟を感じます。
最近は不祥事続きの東大ですが、未来には一定期待できるのではないでしょうか。
<文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
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