彼女はいったい何者なのか? 一般的なダイエット投稿とは真逆の発信スタイルで注目を集めたが、その裏には、地下アイドルとしての挫折や突然の解雇、そして心身を崩した過去があったのだ。
“神様”のつくった曲が歌いたくてアイドルデビューを決意
「そもそも芸能志望ではありませんでした。当時付き合っていたパートナーの方にこっぴどく振られて“自分って何なのだろう?”と自暴自棄になっていたときに、芸能事務所にスカウトされました」
中学の頃からサブカルチャーが大好きだった藤田さんは、その影響でエッセイをはじめとする表現の活動をしてみたいという気持ちが漠然とあったという。
「神様から楽曲提供していただける予定があったわけではないのですが(苦笑)、アイドルというカテゴリーに属したら、もしかしたら彼らの曲が歌えるのかもしれないし、そのバンドさんが『鬱フェス』というフェスを主催していることもあり、憧れの方とご一緒できる可能性があるかもしれない。邪な気持ちでは一切なく、可能性がゼロではないなら、人生かけてアイドルしようと決めました」
事務所に所属した当時は54kgだった体重を、パーソナルジムに通って50kgまで減量。半年間、歌と演技とダンスのレッスンをしていたようだ。そして、満を持してデビューするわけだが、「正直、うまくいっていたとはいえませんね」と肩をおとす。
炎上も経験「当時はアンチとの戦いでした」
歌って踊れて、メンバー全員がよーいどん!で麻雀を始めて女流雀士を目指すというコンセプトのグループだったんですが、麻雀は競技の世界なので、なにせ目の肥えている方が多かったもので……」
麻雀ガチ勢たちは未経験の子がキャピキャピと麻雀をすること自体をよく思わず、洗牌をした動画をXに載せた際には、「下手くそ!」と炎上したようだ。
「洗牌を教えてくれた人にも炎上が飛び火してしまい、申し訳ない気持ちでした。わたくしとしては、麻雀も真剣に頑張りたいという気持ちがありましたし、こんなひどいことを言われ続けなければいけないのかと……今でこそ、炎上ものりこなしていますが、当時はアンチとの戦いでしたね」
色々と大変なことがありつつも2022年12月に豊洲PITで行われた「インディーズアイドルチャンピオンシップ」という200組の地下アイドルが出場するコンテストで準グランプリに輝く。
「出場者には有名グループもいらっしゃる中で準グランプリをいただくことができて、これが人生のピークだな、と思いました」
ここから上がっていくだけかと思いきや、状況は徐々に変化していったという。
「決勝出場祝いとしてファンの方に還元する形で新衣装をいただいたのですが、その1ヶ月後のワンマンライブで“目標動員に達しなければ衣装を没収”という方針が打ち出されたんです。本来は応援へのお返しという位置づけだったはずなので、戸惑いの声もあったのではないかと感じました」
生誕祭の3日後に「クビ」
「ゴキブリを食べる動画が流行っていて、“波に乗っていこう”という流れになりました。基本的には運営の方針に従う形でしたが、私はどうしても抵抗があり、別の個人仕事を入れて参加は見送らせていただきました」
企画自体は大きな反響にはつながらず、現場の空気にも少しずつ変化が生まれていったという。動員は伸び悩み、藤田さんは「状況の難しさを感じていた」と振り返る。
「話題づくりも大切ですが、長く続けていくには今いるファンの方を大切にすることが必要だと感じていました。その思いは、わたくしなりに伝えていたつもりです」
しかし、生誕祭から3日後、藤田さんは「方向性の違い」ということでグループ脱退を告げられる。
「レッスン後に呼び出され、今日でクビと伝えられました。
急な出来事に心の整理がつかないまま、グループを離れることになったという。
トンチキな過去さえも自分の歴史として“糧”に
「ただ、そんな状況でもこのままでは終わりたくなかった。だから、アイドルの肩書きを無くして、代わりに何かひとつ肩書きを作って、わらしべをしていこうと考えました。何者かになるには、ライバーがまず第一歩だなと配信を始めました」
金銭的に困窮し、パックごはんしか食べられなかったことや、穴があいた靴下を縫っていたことなども全てネタにしたようだ。
「ひとつの肩書きを得たら、全力でわらしべして、次の肩書きを手に入れる。ライバー、グラビアを経て、インフルエンサーの収益だけで生活していけるまでになりました。
ツラいことやクビになった経験があるからこそ、今のわたくしがあるんです。こういった取材のときに話すとだいたいウケるので、トンチキな過去があってよかったとさえ思います。それも含めて全てが自分の歴史として“糧”になっていますね」
<取材・文/吉沢さりぃ、撮影/長谷英史>
―[藤田シオン]―
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
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