2月24日に『文春オンライン』が、高市首相がカタログギフトを自民党の全衆院議員に贈ったことを報じると、首相は会見ではその問題に答えず、同日夜にX上で経緯を説明。法的には問題のない立てつけだが、昨年は維新議員による”身内企業”への合法的公金還流が問題視されただけに、野党は反発。

ジャーナリストの岩田明子氏は「真っすぐな高市首相らしい」と評される一方で、1000万円をかけても誰も喜ばない結果を招いた今回のカタログギフト問題について、「不器用さは誠実さの裏返しであるが、チーム育成と情報共有は器用にこなしてもらいたい」と指摘する(以下、岩田氏の寄稿)。

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1000万円費やしても喜ぶ人なし?

 ねぎらいを目的としながら、受け取った側を困惑させかねない。「真っすぐな高市首相らしい」と好意的に受け止めることもできるが、その不器用さはいつか火種となりはしないか? カタログギフト問題はそう感じさせる騒動だ。

 一人当たり3万円相当のギフトを、衆院選を勝ち抜いた全議員に贈って、総額1000万円。金額は大きくとも、すでに報じられているように、法的には何ら問題がない。

 昨年、“ポケットマネー”で新人議員15人に10万円の商品券を配布した石破茂前首相が謝罪に追い込まれたのは、政治資金規正法21条の2で、個人による政治家への金銭や有価証券(商品券など)の寄付が原則禁止されているからだ。対して、高市首相は自らが支部長を務める奈良県第二選挙区支部から、物品に相当するギフトを贈ることで法的問題をクリアした。X上では「政党交付金は一切使用することはない」ことも強調した。

 だが、そのギフトに付けられた熨斗には「御祝 高市早苗」としか記されていなかった。ベテラン議員は「個人的な寄付か!?」と驚いたことだろう。新人議員は昨年の石破騒動を連想して身構えたに違いない。高市首相よりも当選回数の多い重鎮の一部は、「新人と同じ扱いか」と首を傾げたとも聞く。1000万円も費やしたのに、素直に喜んでくれる人がいないという点に、不器用さがにじみ出る。


安倍元首相との違いは“チーム力”

 高市氏が師と仰ぐ安倍晋三元首相は多くのブレーンを抱え、そのチーム力でもって安倍一強体制を築いた。だが、いまだ「チーム高市」は築けていない。ブレーンが揃っていれば、たとえ適法であってもカタログギフトが批判を浴びることを誰かが進言し、別の手を提示しただろう。

 2月26日には、そのチーム力の弱さが早くも表面化した。参院本会議で立憲議員が「(消費減税などについて議論する)国民会議への参加を要請されていない」と追及した際、高市氏は「今日正午の段階で御党にもお声がけしている」と誤った回答をしたのだ。その後、訂正・謝罪に追い込まれると議場は騒然となった。官邸と党が密に連絡を取り合っていれば起こり得ないミスだ。同日開催された国民会議の初会合には自民以外に維新とチームみらいしか出席せず、わずか10分で終了したことからも調整力不足が露呈した。

 国民が高市・自民に多くの議席をもたらしたのは、迅速な政策実現のためだ。不器用さは誠実さの裏返しであるが、チーム育成と情報共有は器用にこなしてもらいたい。

高市首相「ギフト贈呈」に身内も困惑?1000万円費やして誰も喜ばない“空回り”の結果に
岩田明子
<文/岩田明子>

【岩田明子】
いわたあきこ●ジャーナリスト 1996年にNHKに入局し、’00年に報道局政治部へ。20年にわたって安倍晋三元首相を取材し、「安倍氏を最も知る記者」として知られることに。
’23年にフリーに転身後、『安倍晋三実録』(文藝春秋)を上梓。現在は母親の介護にも奮闘中
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