土地所有者の3分の2以上の同意が必要だったにも関わらず、この要件を満たさないまま開発計画を受理して手続きを進めていたのです。
「みんなで大家さん」の成田の開発プロジェクトは、更なる暗礁に乗り上げました。
2000億円超を集めた巨額投資
「みんなで大家さん」は共生バンク株式会社を中核とし、個人投資家向けに不動産小口化投資商品を展開するブランド。都市綜研インベストファンド株式会社が投資家から集めた資金を運用し、みんなで大家さん販売株式会社が商品を販売しています。成田のプロジェクトについては、約3.8万人から2000億円以上を集めていたとされています。
公式ホームページによると、1口100万円から投資ができ、申込手数料は無料、年6.0~7.0%の想定利回りに期待ができるといいます。「例えば、想定利回り7.0%、運用期間5年の商品を1口100万円分ご出資をいただいた場合、運用期間満了時の累計では合計35万円(税引前)になります」と明記されています。
成田空港に隣接する大型開発用地「成田空港周辺開発プロジェクト用地」の一角を、対象不動産として組み入れた商品の一つが「シリーズ成田18号」。想定利回りは7.0%、運用期間は5年で、公式ホームページに収益モデルとして掲載されている内容と一致するプロジェクトです。
しかし、分配金の支払いは遅延が生じています。今年2月18日付で、成田の開発プロジェクトへの出資を巡り、出資者が都市綜研インベストファンドに対して、契約解除と出資金約118億6600万円の返還を求めて大阪地裁に集団提訴しました。
集団提訴は2025年9月と11月に続いて3回目。合計で2500人が返金を求めています。
進捗率わずか数%…借地契約の更新拒絶も当然か
開発プロジェクトは遅々として進んでいませんでした開発用地の4割を所有する成田国際空港株式会社は、2025年11月30日に期限を迎える借地契約の延長に応じない方針であることを認めました。造成工事の遂行能力が確認できなかったのがその理由。
一方、成田市の小泉一成市長は2025年11月26日の会見で、開発プロジェクトの工事延長届を受理したと明かしました。
そうした中、開発許可段階で条例違反があったことが明らかになったのです。
開発地は市街化調整区域。都市計画法では原則として建物を建てることができませんが、成田市は開発許可を出しました。
後にこの許可を出す過程において、不適切な処理をしていたことが明らかになったのです。許可には土地所有者の3分の2以上の同意を得ることが必要と規定されているものの、成田市は同意率を土地登記単位で算定していたというのです。
定義が曖昧なままの審査にも疑問符が
成田市が公開した調査報告書では、同意率に関する定義が関係者の間で曖昧なまま議論が進められた様子が記録されています。また、「主担当が事業に精通していたことから、担当者に依存しすぎていた面も否定できない」と記されており、担当者任せにしていた可能性があることにも言及しました。もはや開発継続は困難であるようにも見えますが、成田市議会議員の中島けいすけ氏は自身のnoteで、「ただし、この地区計画自体はすでに決定されており、事業も進んでいるため(と書きましたが現時点で重機も見当たらず工事がストップしているようです)今後の対応や影響については建設水道常任委員会で議論して参ります」とコメントしています。
開発許可の要件を満たしていなかったことが明らかになっても、プロジェクト中止とはならないようです。
出資金2000億円の行方は?
気になるのは、2000億円にものぼるとされる出資金の行方。出資金の返還を求めた裁判では、会社から一部の出資金を2年で分割払いする和解案を提示されたものの、原告側はこれを拒否しました。東京商工リサーチは、成田プロジェクトの分配金の支払い遅延について、グループ会社からの賃料の遅れが発生しているなどという、資金繰りに窮している様子を明らかにしています。
さらに2026年2月27日には毎日放送が「身内のグループ会社でお金を回している」という元幹部の証言を紹介。投資商品を運営するグループ各社はほとんど赤字で、出資者に分配金を支払うために別の商品で集めた資金を流用していると報じました。
これに対し、「みんなで大家さん」は公式ホームページにて「全くの事実無根」と反論しています。
「みんなで大家さん」については、老後資金として蓄えていた貯金を出資した人もいます。投資が自己責任であることは間違いありませんが、本来は要件を満たしていなかった開発プロジェクトに成田市がお墨付きを与えたのも事実。それが投資商品の魅力に一役買ったことも否定はできません。
開発は本当に進むのか、継続困難なのであれば出資金はどうなるのか。プロジェクトは重要な岐路に立たされています。
<TEXT/不破聡>
【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
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