2026年春の花粉飛散予測は2月下旬からピークが続き、特に東日本から北日本で平年以上の飛散になっている。この花粉症シーズンを乗り切る上では、生活改善や医薬品など様々な対抗手段を見聞きする。しかし、その中には「本当に効いているのか?」「逆効果では?」と首を傾げたくなるものも珍しくない。
そこで今回は医療法人社団藤和東光会藤保クリニックの院長・飯島康弘氏に話を伺い、多くの人が「ついつい」やりつつ、実はムダか逆効果というパターンなど、“本当に役に立つ”花粉症対策を紹介する。目鼻がツライ時期を少しでも快適に過ごすうえでは、知識が最大の武器である。
花粉症の原因は免疫・抗体の「がんばり過ぎ」
飯島院長は2011年に東京医科大学を卒業ののち、東京・埼玉・北海道などの内科医療現場で活躍している方である。院長自身も花粉症に悩んでいる身であり、その対策については深い知見を持っている。まずは前提として、花粉症が起こるメカニズムを解説してもらおう。「スギなど花粉に反応しやすい体質の場合、最初に花粉が体に入ると、免疫は『IgE抗体』というものを作ります。このIgE抗体は、鼻や目の粘膜にある肥満細胞(マスト細胞)の表面にくっつき、次の花粉侵入に備えて待機します。次に花粉が入ってきた時、IgE抗体がその花粉に触れると、それを合図に肥満細胞が一気に反応して、ヒスタミンやロイコトリエンといった物質を放出します。これら物質が鼻や目の粘膜を刺激して、くしゃみ・鼻水・鼻づまり、目のかゆみなどの症状が出るのです」
要約すれば、花粉症は人体にとっての異物(花粉)に、体内の防衛役(免疫・IgE抗体)が「敵だ!追い出せ!!」と誤認して起きる過剰なアレルギー反応だと言える。
飯島院長は「花粉症は症状が出てからではなく『飛散前~出始めの先手』が重要」というスタンスで早めの対策を推奨しているが、それは何故か。
「それは、くしゃみ・鼻水・目のかゆみが出た時点で、鼻や目の粘膜は既に炎症反応が進んでいて、粘膜が過敏になっているからです。これにより、少しの花粉でも過剰反応して、さらに粘膜過敏になる悪循環(プライミング効果)に陥るのです。この時点で薬を始めても、効き始めまで時間がかかるので、しんどい症状が長引くことになります。だからこそ花粉症は、症状が本格化する前から初期療法(先手の治療)をすることで炎症の始まりを抑え、ピーク時のつらさを軽減する可能性が高まります」
2026年の「警報級」花粉には早めの対策を
「2026年春は一部地域で記録的な大量飛散が予測されています。東日本や北日本では例年の2倍以上という衝撃的な量が警告されており、西日本も含めても全国的に『非常に多い』所が出現見込みです。過去シーズンとの比較では、前年(2025年)が東日本・北日本で少なかった反動で、2026年はこれらの地域で飛散量が大幅増加し、地域によっては観測史上例のないレベルになる可能性があります」
これにより懸念されるのは、花粉症患者のさらなる増加と症状悪化だ。日本では既に花粉症の有病率が約40%に達し、「国民病」とも呼ばれる深刻な状況。しかも飯島院長いわく「飛散量が極端に多い年には、これまで発症していなかった人まで発症するリスクが高まる」「患者の症状も重症化しやすく、日常生活への支障や経済損失も拡大する恐れがある」という。
「近年では肌荒れなど多様な症状も注目されており、花粉症が単なる季節の不調を超えた社会的な健康課題となっています。2026年の大量飛散は一層深刻なため、対策も従来以上が求められるでしょう」
外出中は「マスクの扱い」を丁寧に
非常に深刻な2026年の花粉飛散にあたり、私達も相応の対処が求められるだろう。だが、そこでやり方を誤ってしまえば元も子もない。ここからは1日を通じて「やりがち」な行動のNG例とその理由、どう改善すべきかを飯島院長に伺っていく。「まずは朝から。換気のために窓を全開にしたり、布団や洗濯物を外に干したりは、大量の花粉が室内に入り込むので控えましょう。特に午前10時~午後3時頃は飛散のピークなので避けたい時間帯です。また、外干しの布団や洗濯物には花粉が着き、取り込むと家の中が花粉だらけになります」
これに対しては、花粉の少ない早朝や夜間に短時間だけ、窓を少しだけ開け、網戸や花粉フィルターを活用して換気すると良い。布団や洗濯物は可能な限り屋内で干し、外干しした物は取り込む前にしっかり花粉を叩き落とすことだ。
「次に外出時。マスクや眼鏡を着用し、服装も花粉の付きにくい素材を選ぶと安心です。ただしマスクについては鼻出し・隙間だらけで着用したり、布製マスクを使ったりはやめましょう。マスクは鼻を出していたり隙間が空いていると、そこから花粉が侵入して防御力が激減です。布マスクも不織布に比べ花粉を通しやすいので奨められません。さらに目や顔を手でこすると、花粉を粘膜に押し付けてしまい症状が悪化します。乾いたタオルでゴシゴシ拭くのも肌を傷め逆効果です」
対策として、まずはマスクを丁寧に扱うべきだ。
帰宅後や薬の服用にも要注意
「続いて帰宅後ですが、 帰宅して衣服についた花粉を払わずに室内を歩き回ったり、外出着のままソファや布団に座らないよう注意してください。外から持ち込まれた大量の花粉で、室内環境まで汚染されてしまいます。室内でも花粉が再飛散して症状が長引く原因になりますし、寝具に花粉が付くと就寝中も花粉に晒され、鼻づまりで熟睡できないので睡眠にも悪影響です」室内ですら花粉に侵略されてセーフゾーンでなくなるのは、何とも恐ろしい話である。飯島院長は改善策として、玄関先で上着や帽子を脱ぎ、衣類は念入りに払い落としてから室内に入るよう奨める。払うときは雑に手で払うのでなく、濡れタオルで叩くように拭うと花粉が舞い上がりにくい。髪や身体に付着した花粉は、可能なら帰宅後すぐシャワーを浴びて洗い流すと効果的である。
「少なくとも顔や鼻は洗い、うがいもして喉についた花粉も落としましょう。着替えた後は空気清浄機や掃除で室内の花粉除去を行い、就寝前に加湿しておくと鼻喉が楽になりますよ」
ここまでは一日を通じて花粉を避けるコツを紹介してもらったが、それとは別に医薬品で症状を抑える方法もある。
「花粉症対策用の抗ヒスタミン薬などは、症状が出る前から毎日服用してこそ最大効果を発揮します。症状が辛い時だけ都度薬を飲むと、効き目が追いつかず『効かない』と感じる原因になります。また、複数の市販薬を自己判断で併用すると成分重複による副作用リスクも。加えて、即効性を期待して鼻づまりスプレー(血管収縮剤の点鼻薬)を何度も使うと、粘膜の『慣れ』によって逆に鼻づまりが悪化する恐れがあり危険です」
推奨は初期療法として、花粉飛散の1~2週前から医師指導のもとで薬を服用し、シーズン中は症状が軽くても定期的に飲み続けることだ。これでピーク時の症状を大幅に抑えられるという。市販薬の使用時は種類を一本に絞り、用法用量を厳守。点鼻薬の血管収縮スプレーは連用しないようにし、長引く鼻づまりはステロイド点鼻薬など医師に相談して、根本的に炎症を抑える治療を選んだ方が良い。
「そのほかセルフケアとして、鼻の中や周りにワセリンを塗る方法もあります。鼻腔入口に薄く塗れば花粉を絡め取って吸入を減らせるとされ、安全性も高いです。鼻をかむときは片方ずつ優しく行い、決して強くすすらないようにしましょう」
「コレだけで一発OK!」などの情報はまず疑うべき
飯島院長の語る花粉対策は、医療現場からプロの目線で花粉症を見続けてきたことで培われたものだ。一方、花粉症対策についてはTV・雑誌・ネット・SNSなどで、膨大な情報が日々氾濫しています。これらを参考にする際の注意点や見極めポイントなどを聞きたい。「テレビやネットの花粉症対策情報は玉石混交で、正確な割合を示すのは難しいですが『半分近くは科学的根拠の乏しい』という専門家の指摘もあります。「○○の食品を食べると花粉症が治る」「△△のサプリを飲めば症状が出ない」等の謳い文句は往々にして根拠薄弱で、一時的なブームに終わるのも多いのが現状です。マスメディアやSNSでは話題性優先でセンセーショナルな内容が取り上げられがちですが、鵜呑みにするのは危険です。
こうした情報を参照する注意点は、情報源の信頼性だ。公的機関や専門医の発信か、不明確な肩書のインフルエンサーなのかで信憑性は大きく異なる。他にも(1) 医学的な検証結果やデータのエビデンスがあるか、(2)過剰に効果を謳っていないか、(3) 商品を売りたい広告目的の情報ではないかなどをベースに、なるべく正しい情報だけ取り入れるよう心がけよう。可能ならば掛かり付けの医者や専門家にも相談し、最終的には自分の目で確かめて判断する力(ヘルスリテラシー)が肝心である。
絶対NGの治療法は?
以上のように裏付けのない花粉症対策は危険なものだが、飯島院長が過去に見聞きした実例の中には「やらない方がいい」レベルを飛び超えて、「絶対やってはいけない」という禁忌例がいくつかあると言う。いずれも傍目には「何故やろうと思ったのか」と疑うものばかりなのだが……。「まずは鼻腔に刺激物を塗る民間療法です。ネット上では『高濃度のハッカ油やメントールを直接鼻に塗布すると通る』といった情報もありますが、粘膜を刺激して一瞬スーッとするだけで、炎症が悪化したり鼻粘膜を傷めてしまいます。他にも唐辛子スプレーやお酢を染み込ませた綿を鼻に入れる等、民間で囁かれる荒療治は粘膜をただ刺激するだけ。絶対に真似してはいけません!」
実例として、メントール系軟膏を鼻孔に塗って逆に鼻内がただれたケースや、民間療法の点鼻液で鼻粘膜が傷つき、激痛と鼻血が出た例もあるという。
「また、『シーズン前にステロイド筋肉注射を一本打てばシーズン中楽になる』とも言われていますが、重篤な副作用リスクが高いのでやめてください。一時的に症状は抑えられますが、体内で長期間ステロイドが作用する結果、糖尿病悪化・感染症・骨粗しょう症・ホルモン異常・大腿骨頭壊死など将来的な重大リスクが上がります」
これはいわゆる「ケナコルト注射」と呼ばれる方法で、「一度かかるとやめられない」「副作用で生理が止まった」等の報告もあので、安易に手を出すべきではない。医師から提案があったとしても、将来の健康を考えて慎重に判断してほしい。
「全く論外なものとしては、『根性で治す』としてマスク無しで高濃度の花粉を浴びに行くのも自殺行為。当然ながら症状が悪化しますし、アナフィラキシーショックなど激しい反応が出る危険もあります。近年は考えにくいですが、過去に『山に行って花粉に慣れろ』など誤った根性論も蔓延っていたようです」
これらはいずれも「即効で治したい、治そう」という気持ちにつけ込む危険行為、悪魔の誘いである。花粉症対策に近道や奇策はない。地道でも安全性が確認された正攻法で症状改善を図ることが大切である。
なるべく花粉に触れない&早めの治療が大事
飯島院長は花粉症対策について、「花粉を入れない・落とす・溜めない」「早めの初期療法」といった身近で基本的な対策こそが、最も効果的だと繰り返し強調している。「花粉症対策の基本は『花粉を体内に入れない』こと。上述のように身体の付着花粉に注意するほか、床に落ちた花粉もこまめに拭き、空気清浄機や換気で室内に滞留させないなど、『入れない・落とす・溜めない』の徹底で花粉に触れる機会自体を減らしましょう。飛散が多い日は無理な外出を控えるなど生活パターンも工夫し、花粉予報で「今日は多そうだ」と分かれば洗濯物は部屋干しにするなど先手を打つことも大事です」
また、初期療法については、厚生労働省のガイドラインで「スギ花粉飛散の約1週間前、遅くとも症状が少し出始めた時点で治療開始」が強く推奨されている。例えば抗ヒスタミン薬やロイコトリエン受容体拮抗薬を飛散前から継続投与すると、シーズン中のくしゃみ・鼻水の程度が明らかに軽減するという。
「初期療法により日常生活の質(QOL)が向上したとの報告もあります。反対に治療開始が遅れると炎症が広がって薬が効きにくくなるため、「花粉かな?」と感じたら早めに受診して対策を始めることが大切。初期療法は花粉症の先手必勝策とも言え、結果的に少ない薬量で快適に過ごせる有効な方法です」
花粉症対策も通常の健康対策と変わらず、今後の状況を早い段階で見越しつつ、普段から小さな工夫と心がけを積み重ねることが結果的には近道ということだ。まずは適切なマスクの用意など、簡単にできる所から始めてみよう。
<取材・文/デヤブロウ>
【デヤブロウ】
東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2~3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草~上野近辺、池袋周辺、中野~高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw
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