フル活用したい“三種の神器”
花粉症対策で重要なことは主に二つある。一つは不織布マスクを丁寧に着用し、帰宅時に髪や衣服の付着花粉に注意し、タオルでゆっくり拭い、洗顔などで着実に花粉を落とす、花粉を「入れない・落とす・溜めない」の徹底。そしてもう一つは、なるべく早期に病院で花粉症ケアを受け、医師の指導など確実な情報源をもとに着実な治療を続ける「初期療法」だ。このうち前者については、家庭内で使用するエアコン、サーキュレーター、空気清浄機の扱いも大きく関わってくると飯島院長は語る。
「花粉シーズンは窓を開けずにエアコンで室温調節すると、花粉の室内侵入を防げます。ほかにも除湿運転や空気清浄運転なら、空気中の花粉を吸い込んでフィルターで捕集してくれますよ。このとき設定は内部循環(内気循環)にし、外気を直接取り込まないようにするのがコツです。花粉対策用のフィルターや『空気清浄モード』『花粉モード』が備わっていれば、積極的に使っていきましょう」
このほか、市販のエアコンフィルターシートを貼り付けると花粉捕集効果が高まる。エアコン本体のフィルターをこまめに掃除し、花粉やホコリが溜まって性能が落ちないよう保つことも大事だ。さらに洗濯物乾燥にはエアコンの衣類乾燥モードを活用すると、外干しせずに済み花粉付着を防げるなど、花粉症対策のうえでエアコンが活用できる範囲はかなり広い。
「次に、サーキュレーターは部屋の空気を循環させる補助として使います。空気清浄機との併用で、部屋の隅々に滞留した花粉を空気清浄機まで運ぶのに役立ち、花粉吸引の効果を最大限に引き出せます。空気清浄機の対角線上に置いて、部屋全体に緩やかな気流を作るとさらに良いですね。
換気の際には窓近くにサーキュレーターを配置し、窓に向けて風を送り出すと部屋の空気を押し出し、花粉侵入をガードしながら効率よく換気できるという。サーキュレーターで室内の空気を動かし、「溜まった花粉を動かして除去する」イメージだ。床の花粉を舞わせないために加湿器と併用して少し湿度を上げておくのも有効だ。
「続けて空気清浄機は、とりわけ花粉対策の要です。設置場所は床に近い位置、かつ玄関や部屋の出入口付近がおすすめです。花粉やホコリは重くて床付近に溜まるので、低位置で吸引する方が効率的に捕集できます。玄関に置けば入ってきた花粉をすぐキャッチでき、一石二鳥です。また、運転モードで『花粉モード』や『自動モード(花粉センサー付)』があれば、花粉センサーの感度が上がることで、微量の花粉も見逃さず強力に吸引してくれます」
空気清浄機を使うコツは、フィルターを定期的に掃除または交換し、目詰まりさせないことだ。花粉シーズン中は24時間連続運転が理想である。就寝時は静音モードで切らずに動かし続け、夜間に舞い上がる花粉も取り除こう。このようにエアコン・サーキュレーター・空気清浄機を組み合わせ、室内の空気そのものを管理すれば、花粉症対策のうえで非常に効果的である。
加湿器も効果的、掃除機はかけ方に要注意
「まず、加湿器は適度な湿度(約50~60%)を保つことで花粉の舞い上がりを抑えられます。花粉は乾燥していると軽くなって空中に漂い、逆に湿度が上がると重くなって床に落ちます。ここで加湿器を使えば、花粉を床に沈降させて吸い込みにくくする効果が見込めます。さらに粘膜の潤いを保つので鼻・喉の防御機能が高まり、症状緩和にもつながります。使い方としては、部屋の中央に置いて均一に加湿するか、エアコンなど風の流れに乗せて部屋全体に湿度を届けると良いでしょう」
このときのポイントは湿度を上げすぎないこと。高湿度だとダニやカビが繁殖し逆効果だという。加えて水垢や雑菌が発生すると健康に良くないので、こまめな手入れで加湿器自体の清潔を保つことも欠かせない。なお、乾燥がひどい日は就寝前に加湿器をつけて寝ると、翌朝の鼻のムズムズ感が軽減することもあるという。
このほか、室内の花粉を除去するために掃除機を使用することも多いが、ここでも注意点があるらしい。
「普通の掃除機をいきなりかけると、排気で花粉が舞い上がり逆効果になることがあります。掃除機は『HEPAフィルター』搭載機種を選び、排気に花粉が含まれないようにすることが大切です。また、かけ始める前にフローリング用ワイパーや湿らせたモップで床の花粉を一度拭き取ってから、その上に掃除機をかけると舞い上がりを防げます」
また、掃除機のごみパックやダストカップは花粉が溜まるので、いっぱいになる前に屋外で慎重に廃棄しよう。
「その他の家電としては、乾燥機付き洗濯機や浴室乾燥機があれば、花粉シーズンに洗濯物を外干ししなくて済みます。洗濯物に付着する花粉をゼロにでき、取り込みで部屋へ花粉を入れる心配もありません。同様に衣類用乾燥機や衣類乾燥モード付きエアコンも活用しましょう。また、花粉シーズンには衣類スチーマーで服にスチームを当てて花粉を落とす、空気清浄機能付き扇風機を使って循環・清浄を同時に行う、といった工夫も考えられます」
なお、家電ではないが玄関に花粉用粘着マットを敷いておくと、足裏の花粉やほこりをキャッチして持ち込みを減らせる。これらを上手に組み合わせて「花粉を入れない・舞わせない・吸い出す」環境を作ることが肝心なのだ。
換気はリスクを避けつつ行い、目鼻をこするのは厳禁
家電以外にも生活上の何気ない所作や日常習慣が花粉症対策に関わってくる。例えば部屋の換気についてはどうか。飯島院長は下記のような方法を提案した。「まず、換気はコツさえ押さえれば、花粉の侵入を最小限にできます。まず換気の時間帯は、花粉は昼前後と日没前後に多く飛ぶため、朝早くや夜遅くに行うのが理想です。例えば午前中は8時前、夕方は飛散が落ち着く夜に短時間換気すると良いでしょう。次に窓の開け方は全開にせず、5~10cm程度の隙間を作り、2カ所の窓を少しずつ開けて通風させます。
例えば、部屋の窓の1つを少し開け、そこに向けてサーキュレーターで室内の空気を送ると、室外へ排気しながら新鮮な空気が反対側からゆっくり入ってくる。窓にフィルターや網戸カバーを付けるのも効果的で、花粉対策用の網戸シートやレースカーテンを利用すれば、入ってくる花粉量を大幅に減らせるという。換気後は床に落ちた花粉を掃除機で吸い取ることも忘れないように。「短時間・低花粉の時間帯・工夫した開け方」で換気し、空気を入れ替えつつ花粉は通さないようにするのがコツだ。
続いては目鼻のケアについて。特に目の方の基本は「こすらない」ことである。
「かゆくてもグッと我慢し、代わりに防腐剤無添加の目薬(人工涙液)などで洗い流しましょう。屋外で目がムズムズしたらトイレなどで点眼すると良いです。帰宅後も洗顔時に目の周りをきれいに洗い、まつ毛やまぶたについた花粉も落とします。それでも目の充血やかゆみが強いなら、医師から抗アレルギー点眼薬を処方してもらってください。コンタクトレンズ使用者は花粉シーズン中だけメガネにするか、1日使い捨てコンタクトにすると、レンズへの花粉付着を翌日に持ち越さずに済みます」
同様に、鼻もこすったり指でいじったりすると粘膜を傷つけるので厳禁だ。
「ティッシュで片方の鼻孔を軽く押さえ、もう片方ずつゆっくりかみます。思い切り強くかむと、耳に圧が抜けて中耳炎の原因になるので注意します。どうしても鼻が詰まるときは市販の生理食塩水スプレーで鼻腔を潤し、粘膜を湿らせてからかむと通りが良くなります。鼻うがい(鼻洗浄)も効果的です。ぬるま湯に食塩を溶かした生理的食塩水で鼻腔内を洗い流すことで、付着した花粉や粘液を除去できます。ただし前述の通り水道水は使わず、専用の鼻うがい器具と清潔な生理食塩水を用いてください」
最後に保湿と防御については、鼻の入り口や目の周りにワセリンを薄く塗ると、花粉の付着・侵入をある程度防げるという。塗りすぎはベタつくが、メイク前にごく薄く伸ばす程度ならテカリも目立たない。以上のように「入れない・洗い流す・傷めない」ケアを徹底すれば、目鼻の不快感がかなり軽減されるだろう。
こんなことも花粉症の原因に
ここまで「家電」「換気」「目鼻ケア」と、身近な所の花粉症対策を紹介してきた。その一方、一般人が想像しにくい盲点のような花粉症要因と、その対策もいくつかあると飯島院長は語る。「一つはペットです。犬や猫の毛にも大量の花粉が付着しますので、散歩後に犬をそのまま部屋に上げると、毛から花粉が飛び散ってしまいます。
さらに可能であれば、ペットを週1回程度シャンプーしてあげると完璧である。犬猫の被毛ケアは意外と見落としがちだが、室内環境の花粉低減に大きく寄与するという。
「もう一つは、衣類やカーテンの静電気も花粉を引き寄せる原因です。特にウールなどは静電気で花粉が付きやすいので、服を選ぶ際はポリエステルなど、ツルツルして花粉の付きにくい生地を選ぶのがおすすめです。洗濯の際に柔軟剤を使ったり、外出前に衣類用静電気防止スプレーを吹き付けたりすると、静電気の発生を抑えて花粉付着を減らせます」
服と同じくカーペットやソファにも静電気防止加工をしておくと良い。静電気が花粉症に関わるとは意外であり、地味ながら効果的な工夫と言える。
また、花粉症についてはよく「甜茶が効く」「ヨーグルトを毎日食べると良い」といった、都市伝説じみた民間療法も度々話題になる。これらは万人に効く保証はなく、不用意に行うと逆効果なものも混ざっているので注意が必要だ。
「しかし、『腸内環境を整えると免疫バランスが良くなる』という点で、ヨーグルトや発酵食品を適量摂るのは理にかなっています。ただし加糖ヨーグルトは、糖分が炎症を悪化させる可能性があるので避け、無糖のものを選びましょう」
花粉症に効く免疫療法・抗体薬・ワクチンが研究開発中
飯島院長は花粉症対策について、何より大事なのは食生活の見直しや十分な睡眠・適度な運動など健康的なライフスタイルだという。体質改善は即効性こそないものの、花粉症症状の緩和につながる鍵である。花粉症シーズンを少しでも快適に過ごすため、身の回りのあらゆる要因に目を向けた工夫が効果的だ。いまや「国民病」とすら言われるほど蔓延している花粉症。その対策が現在、医療分野で進行中だ。例えばスギ花粉エキスを使った舌下免疫療法が、ここ数年で実用化されて症状経験~完治の成果を上げている。
「花粉症を根本から治療できる可能性があるのは免疫療法だけですが、近年これが大きく進歩しています。日本では舌下免疫療法用にシダトレン(液体)に続きシダキュア(錠剤)が開発され、スギ花粉症の約80%に有効との報告もあります。少なくとも2~3年継続が必要ですが、約7割の患者で症状が軽減し、中には完治同様の状態になる人もいますよ。さらにヒノキ花粉にも交差効果が認められており、スギとヒノキ両方の症状緩和が期待できます」
アレルギー抗体そのものを無力化する生物学的製剤(抗体薬)の「オマリズマブ」も花粉症重症例への投与が開始されている。花粉症ワクチンの開発計画も進められており、シーズン前に2回注射するだけで効果が持続するワクチンの臨床試験が近く開始される予定だ。実用化されれば画期的な治療オプションとなるという。他にもまぶたに塗るだけの抗アレルギー薬(アレジオン点眼軟膏)、ワクチンパッチ療法や、遺伝子組換え技術を用いた新たなワクチンなども研究段階にあり、花粉症治療の飛躍的な進化が期待される。
これらに加えて、ケヤキやイチョウなど花粉を出しにくい樹木を都市緑化に使用したり、山林の既存スギを伐採してから花粉をほとんど飛ばさない「無花粉スギ」「少花粉スギ」に植え替えるなど、街づくり・環境づくりの側面からも花粉症対策は行われている。数十年単位の長期計画にはなるが、かつて昭和中期の公害問題が社会的な努力と技術発展で改善されたように、将来の花粉症リスクも大幅に下がる可能性はあるだろう。
「花粉症と付き合うのは大変ですが、正しい知識とちょっとした工夫で必ず今より楽に過ごせるようになります。症状をゼロにするのは簡単ではないものの、『少し良くなることを積み重ねる』ことで生活の質は飛躍的に向上します。今年うまくいかなかった方も、来年にはさらに良い方法が見つかるかもしれません。『情報』と『挑戦』をぜひ続けてみてください!皆さんが健やかに、笑顔で花粉シーズンを乗り切れることを願っています」
花粉症患者も前向きになってほしいと、飯島院長は後押しをしている。花粉症はつらいものだが、新しい治療法の開発は進んでいるし、適切な工夫をすれば仕事や趣味をあきらめる必要はない。頑張りすぎず諦めず、できる対策からコツコツという積み重ねが、明るい今後につながるのである。お大事に!
<取材・文/デヤブロウ>
【デヤブロウ】
東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2~3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草~上野近辺、池袋周辺、中野~高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw
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