特殊清掃現場で働いていると、定期的に過酷な現場に遭遇するという。過酷と言っても肉体的なものから精神的なものまで様々だ。
想像以上に過酷だった現場とは!? そんなときは、事前の見積もりとは“ズレ”が出てくる。
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都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに、詳しい話を聞いた。

尋常じゃない量の体液が床下に

何年も特殊清掃という仕事に従事していても、見抜けない被害で見積もりを甘くしてしまう時がある。

「フローリングの床の上で亡くなっていたケースで、畳一枚分くらいに体液が広がっている現場はかなり多いです。見た感じ被害はそこまで酷くなさそうで、ふつうの特殊清掃でなんとかなるかなって思い、甘めの見積もり金額を出してしまうことがあります。これ以上追加料金は発生しませんといった契約です」

通常、予想以上に体液が浸透している場合の見積もりを一緒に出すことが多いが、その現場は、さほど被害が酷くないように思えた。

「冬場は気温が低いので、被害が表面化しにくいんです。臭いも目立ちませんし、一見ラクな現場に見えることがあります。いつも通り、表面の体液を清掃して、臭いも完璧に除去しました。大丈夫だとは思うが、一応、床の下も見てみようかと思い、体液が広がっていた部分を解体して覗いてみました」

すると、想像していなかった量の体液が床下に滲み出ていたという。

「完全に、見積もりを担当した人間の目算が外れたなと思いました。きちんと事前にマニュアルを作って見積もりを出してるはずなのですが、完全に被害を甘くみていました。床下一面に滲み出ている感じで、被害は表に見えている体液の3倍くらいです。


材質によって体液の広がりやすさは異なりますが、今回の現場のフローリングはかなり広がりやすいもの。しかし、まさかここまでとは…。作業工程としては床を切る機材を使って、汚染部分より一回り大きく切り抜くんです。床下は狭く体が入れないので、床下用の機材を使うのですが、範囲が広がっているときちんと清掃するのに時間がかかってしまいます」

畳は被害が少なくて済む

フローリングでの孤独死というのは一見、被害が少なく見えてしまうことが多い。

「フローリングの木目は1セット3つという基準があるんです。それをつなぎ合わせて組み立てるんですが、つなぎ合わせの部分に隙間が多くて、染み込む箇所が多いんです。フローリングに見せかけたクッションフロアも、つなぎめが多く、床下に浸透しやすいです。この二つの素材は、比較的被害が大きくなりやすいです」

被害が少なくなりやすい素材とは何なのだろうか。

「畳は被害が少ない場合が多いです。畳自体が体液を染み込んでくれますし、床下に落ちたとしても、真下にポタポタ垂れてくれるので。床下の清掃の過程も畳を浮かせて下を掃除するだけで済みます。畳自体もラッピングして搬出して処分するだけなので、フローリングよりは手間も費用も少なく済みます」

事前に床下の被害を目視ではなく、見つけることはできるのか。

「赤外線で湿気を測定できるモイスチャーチェッカーという機器があり、湿気の度合いをもとに汚染箇所を特定していきます。
表面を目視するよりもセンサーで湿気が多い部分がわかるので、大変な現場になると予想でき、きちんとした見積もりを出せます。

でも湿気が多い季節とか場所では、うまく機能しなくて。実は冬場が一番得意な道具なんです。持っている台数にも限りがあるので、すべての現場に持ち込めるわけではありません。モイスチャーチェッカーがない場合の見積もりは、個人の今までの経験が大事になってきます」

最初の見積もり以上の額は請求しない

特殊清掃業者が明かす「想像以上に過酷」見積もりと“ズレ”が出てきた現場
見積もり
会社の方針として、最初に出した見積もりを超える額を請求しないことに決めている。

「今回は基本の作業工程よりもさらに薬剤や器材や人件費も多くかかってしまったのですが、オーバーしてしまった費用を弊社で負担させていただく形になりました。創業当初は右も左もわからずやっていたので資材や薬剤を消費して大変だったのに、見積もりが甘く、作業に見合った費用をいただいていない現場も多くありました。慣れてきた今でも気をつけないと、たまにやらかしてしまいます」

他に過酷な現場は冬に増えてくる。

「冬場に多い火災現場もかなり過酷です。ダイオキシンとか有害物質が出ているものを清掃するため、人体に被害がありますし、木造の古い家で、清掃中に焼けた屋根が突然落ちてきたこともありました。幸い誰も怪我などの被害は出なかったですが」

なぜ、復旧不可能な焼けた現場を清掃する依頼が入るのであろうか。

「解体業者にお願いする前に、焼けた重金属類とかの有害リスクをなくしてくださいという依頼があるんです。
マナーとして、清掃作業をして綺麗にしてから解体業者に依頼するような流れができてきているように思えます。昔なら最初から最後まで全て解体業者に丸投げだったはずなのですが、最近は火災現場のリテラシーが上がってきてるように思えます」

<取材・文/山崎尚哉>

【特殊清掃王すーさん】
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
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