ついに2026年の大学受験も、ほとんどの合格発表が出そろいました。東京大学などは、これから発表されますし、今後に受験日程を控える方もいらっしゃいますが、多くの方は春からの進路に向けて準備をされていらっしゃるでしょう。
大学は都心部に集中しており、特に東京には143校が設置されています。4人に1人が東京の大学生とされるほどであり、これを機に上京される方も少なくないのでは。
ただ、東京の生活コストは近年異常な高騰を見せています。文京区など一部の都心部ではワンルームですら10万円超えが当たり前。
もちろん探せば安い物件はありますが、そういった家にはそれなりの影が差すもの。
そこで、今回は東大生30人に聞いて分かった「各エリアの一人暮らし向き・不向き」をお伝えします。住まい探しの参考になれば幸いです。
下北沢・世田谷エリア
まず挙がったのは「駒場東大前」「下北沢」「経堂」などの世田谷エリア。閑静な住宅街が広がるこの区域は、もちろん家賃相場も高めで、1Kだと10万から15万といったところ。
年間居住コストが120~180万ほどかかるので、相当余裕がある家でないと難しいかもしれませんが、やはりそこは裕福な東大生というべきか、このエリアはかなり人気です。
特に、「駒場東大前」駅は東京大学駒場キャンパスの最寄り駅であるため、京王井の頭線沿いは真っ先に東大生が検討する地域でもあります。
筆者も、かつて大雪で帰れなくなった時、急遽近隣に住んでいた友人にお願いして一晩避難させてもらったことがありました。
近辺に住んでいる現役東大生のAさん(20代・男性)いわく、
「オシャレすぎて、散歩するたびに新鮮な気持ちになれる。
とのこと。人が集まる以上は、落ち着きと人気は二者択一の関係性にあるのでしょう。
家賃が安い城東エリア
綾瀬は東京メトロ千代田線の始発駅であり、西葛西は東京メトロ東西線が通っています。
それぞれ、大手町をはじめとする都心部へ30分以内に直接アクセス可能な路線であり、交通の利便性は非常に高い。
それにもかかわらず、家賃相場は6~7万円と都内にしては低い水準なのが好まれる要因のようです。
両地域とも心配されるのが治安ですが、これに関しては実際に葛西エリアに住んでいるというBさん(20代・男性)いわく「全く治安の悪さを感じたことはない」とのことでした。スーパーもファミレスもあって生活には困らず、住宅街は比較的静かで住みやすいそう。
綾瀬に関しては、かつての凶悪事件や犯罪発生率のイメージからなかなか安心感を持ちにくいですが、2001年からの20年間で犯罪発生率が約80%減少。人口当たりの犯罪率自体は、東京23区や他の政令指定都市と比べても平均的な水準に収まっています。
実際に、綾瀬駅前は再開発が進んでおり、タワーマンションが建ったり、駅前ロータリーが整備されたりと、住みやすい街に向けた大改造が進んでいる最中なんです。
両地域とも、ファミリー層向けに近年人気が高まりつつある地域であり、それでも災害時の水没リスクなどがネックとなってまだまだ都内では安い方。
特に綾瀬駅は始発列車が設定されているため、うまく調整すれば座って出勤できます。
ただし、両駅とも「都心部から見て荒川の向こう側にある」ことはリスクとして背負う必要があるでしょう。各駅に通る路線は千代田線・東西線の1本ずつしかなく、両方とも通勤需要が非常に高いことで有名です。
もちろん、朝のラッシュ時は息もできないほど混雑しますし、それが原因で遅延することもザラ。
先のBさんも「遅延は日常茶飯事だし、そもそも電車内が混みすぎて全然乗れない」と嘆いており、綾瀬に関してもこれは同じ。
しかも、これら路線が運休してしまった際は最悪です。都心エリアに至る道は荒川の向こうへ続いていますから、「歩いて隣駅へ」なんて甘い考えは通じません。
夏なら30度以上の熱気と日射にさらされながら、冬なら強烈な空っ風に吹き付けられながら、500メートル以上もある巨大な架橋をとぼとぼ歩いていかなければならない。
仮にタクシーを使えば3000円以上は取られますし、路線バスを使おうにも、地下鉄より輸送力が落ちるバスの代行能力で朝のラッシュを捌けるわけもない。
どの道を選んでも、あなたの身体と精神(とお財布)は多大なダメージを受けるでしょう。
ただし、運休なんてめったに起こることでもなく、その度にタクシーを使ったとしても都心部に住むより総合した居住コストは低くなります。
確かに城東エリアは安く、しかも荒川を超えるとその差は顕著になりますが、「なぜここまで安いのか?」の理由は考えたほうがいいかもしれません。
西武池袋線・西武新宿線
東京の土地勘がない方には聞きなじみのない路線かもしれませんが、どちらも新宿・池袋まで直通する路線なので、交通の便は抜群です。
西落合や下井草、富士見台などは比較的静かで家賃相場も7万円台とマシな部類であり、探せば5万円前後の物件も見つかります。
駅前にはしっかり生活に関わる商店類が充実しているため、派手な駅ビルや繁華街などキラキラ感では一歩譲るものの、生活するためのエリアとしては非常に人気が高い地域でした。
こちらに住んでいるというCさん(20代・女性)からは「住宅街で静かなのがよい。逆に、静かすぎて夜は女性の一人歩きが少し不安になるかもしれないが、別に治安が悪いわけでもない。今の家は家賃も満足する価格であり、生活面で困っていることが全くないので、不満は全くない」という意見をもらいました。
ただし、地図を見ると分かる通り、これら路線は東京の西へ伸びだしているのですが、23区中心部のように複数駅が密集しているわけでもないので、物件によっては駅から遠いのに「最寄り駅」と設定されているケースもあります。
先ほどのCさんは「以前、徒歩20分の物件を選んで大変な目にあった。10分前後の物件を強くお勧めする」と忠告してくれました。
最寄り駅までの距離は、特に通学のモチベーションに大きく関わりますから、重視してほしいところです。
大学生にとって本当に必要な家の条件とは
東京は「5万円台で安い」といわれる魔境です。博多や大阪などほかの五大都市エリアなら都心駅近くに住める値段を出してすら、東京では端っこに住めるかどうか。
年間の生活コストの差は、安く見積もっても30万以上変わってくるため、上京して大学生活を送るなら、それを上回るメリットを見出す必要があるでしょう。
逆に、東京の大学生活でしか手に入らないものや情報はたくさんあります。
上京自体は悪手ではない。自身の行動力と懐事情を鑑み、それに見合った立地で家を探すことが、上京したことを無駄にしない秘訣かもしれません。
<文/布施川天馬>
―[貧困東大生・布施川天馬]―
【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
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